「保護すべき国家機密とは」オフィシャル・シークレット bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
保護すべき国家機密とは
キャサリン・ガン事件の映画化。
そもそも。イラク戦争に関する米英政府の公式な開戦理由は以下。
1:サダム・フセインは大量破壊兵器の所持を公言しており国際社会の脅威たり得る事。
2:クルド人への弾圧をはじめとした圧政は人権への罪である。
3:度重なる国連査察の妨害(国連議決違反に該当する事案を含む)
4:3は第一次湾岸戦争の停戦条件破棄の要件となる事。
5:アルカイーダとの協力関係が強く疑われる事。
で、ブッシュjrとチェイニーによる証拠・証言のでっち上げ、意図的な情報操作大会が始まります。周知の通り、1と5には何らの証拠も見つかっていません。最終的には、非常事態下における大統領権限により、先制的自衛権の発動としてイラクへの侵攻が始まります。
この頃、ニジェールからのウラン入手情報の捏造、国連盗聴事件、プライム事件、そしてこの「キャサリン・ガン事件」などが起きます。イラクで各国の利害が交錯していた事は、見方を変えればサダム・フセインが如何に戦略的に外交を展開していたかを表しているとも言えますが、その狡猾さ故に、より狡猾なブッシュと言う悪魔に殺害されたのがフセイン。
戦争の結果。4万近い戦死者を出し、10万人を軽く超える民間人を犠牲にして(正確な人口動態不明につき数は調査機関により大きくバラついています)しまう。サダム・フセインは死刑となり、イラクの石油利権はアメリカとイスラエルに収奪される(外資に陥ちた事を穿った見方をすればです)。
何にしても、国連安保理常任理事国の議決は見込みが無かった訳ですから、キャサリン・ガンの告発はショッキングではあったけど大勢には影響せずに終わります。イラク壊滅で困る国もあった訳ですから。
国家の機密法案である「公務秘密法」は機密保持対象を政府が指定する、とされており、一見して恐怖を感じるものですが、個別には、その妥当性を裁判で争う自由はあるものと考えられます。日本でも「特定機密法案」で野党が騒ぎました。小池新党前の事でしたから、民主党時代。「暴力や恐喝等、違法な手段で情報を入手してはならない」と言う条項に、何故か強硬に反対する不審をメディアに指摘された野党は、以降、ことある毎に審議拒否を繰り返す様になりますが、我が国の国会が崩壊したのは「スパイ防止法」の入り口を入った頃だと言うのが可笑しい。身バレしてますやんw
キャサリン・ガンは、誰かに頼まれたのでも無く、脅されたからでも無く、国民に仕える身としての義務感から、非常任理事国の盗聴を指示するメールをリークする。政府による起訴は有耶無耶のうちに取り下げられます。
「メールは保護すべき国家機密にあたらない。何故ならば、捏造されたものであるからだ」
もうね。開戦理由がでっち上げだもんね。何でまアリかよ。色々と、トランプの方が分かりやすいし、まだ可愛い。石油より産業と金融。少なくとも、戦争のリスクは低いでしょ。
無駄を感じさせる演出も、偏った政治的主張も無くて、安心して見ていられる映画でした。左翼な記者は変人扱いだしw ただ、彼は無茶苦茶有能だったし、アクティブでカッコ良かったです!
良かった。凄く。
よかった。自分も同感です。
> 左翼な記者は変人扱いだしw
米国に駐在してる人のことですね。電話を終えた後、本国側の記者の一言は「変わり者め」でしたもんね。すごく頑張ったのにな。(笑)