「悪くないのにモヤモヤする」映画 えんとつ町のプペル 壱川 ようさんの映画レビュー(感想・評価)
悪くないのにモヤモヤする
絵本やサロンは何も入ってない完全初見の人間の感想。
悪くない。悪くないけどよくも無い。
伝えたいことは伝わってきたし、痛いほど言いたいことは分かるし、優しい絵本の中に大人でも大切にしなきゃならないエッセンスが仕組まれてるのもよく分かる。
雲で隠されてる世界を今の日本的な物を暗喩している事も、夢を笑う人間の足を引っ張る人間が居る事も、それでも夢に向かって突き進めば見えてくる世界は違ってくる的なことを言いたいのも分かる。痛々しいくらい分かる。
ただ、一通り通して見たけれども何故かぱっとせずモヤモヤを抱える作品だった。
そもそも主人公に共感が持てなかった。
自分で首を突っ込みゴミ人間に文句を言い、1人と分かれば友達になろうと持ちかけ、彼がトラブルを起こせば「何でお前なんか現れたんだ!」と癇癪を起こす。
確かにゴミ人間は約束を破ったし分からなくは無いけど、自分が友達が欲しくて危険なのは承知で匿って、トラブルを起こせばイライラ爆発的な流れが何というか…。
…ゴミ人間が一度でも匿ってくれと言った事があっただろうか?自分の性質上の事まで非難されてて可哀想だった。
周りの人間関係の描写が薄いせいで最後のみんなが加勢してくれる熱いシーンが冷めてしまった。煙突掃除する人ってゴミ人間なんかと関わったから…とか怒ってませんでしたっけ?何故急に…?
絵本読みを最後までプペルと聴いてた少年があのジャイアン的なやつなのも知ってるし、プペルに意地悪してる訳じゃなく愛があるのも知ってる。ゴミ人間にブチギレしたのも自分が信じたかった事、蓋をしたことを堂々と話してるから逆上したのも分かる。
分かるけどゴミ人間ボロクソに殴って、致命傷負わすセリフを吐いて、主人公もいじめ倒して(愛だけど)最後に加勢はちょっとしっくりこない。映画版ジャイアンフィルターは効かなかった。
悪役として描かれてる国の成り立ちとして、そもそも国が腐る通貨を発行し、世界が平和になったが中央銀行に追われ、平和な国を作ろうとして作られたという内容。
あれ?悪役そこまで悪くなくね?と単純に思ったし、そんな…意味深に隠す必要性があったかと言われるとそこまで無いというか…。てかそこまでして隠蔽する必要あるのか?
謎を明かしたとしてもそこまですっきりしないし、国民に明かしたとして結局どうなったのかが描かれても無くて…国家の守りたかったことはなんなの…。
というかゴミ人間ってだけでそんな国動く?異端者というワードが一人歩きしてるというか。というかゴミ人間結局なんだったの?なんとなく父親なのは分かったけど心臓だけの状態になったの?ゴミ人間として生まれ変わったの?
前半ほぼいらない下りというか、本題は星を見るという事をひたすらあってる少年の話かと思ったらそこまでスポットは当たってなくて、なんなら公言するのも憚るような状態で、船を見てあの話本当なんじゃね!?って確信してから行動に移し始めるという打算的な動きでうーん?夢って結果が確定みが帯びたから行動するもんだっけ?みたいな…。
伝えたいメッセージ性は強くて、ただこれって自分を正当化したいんじゃないかな…?って考えがチラチラして見てて辛かったかもしれない。逆ルサンチマンというか…。これに関しては完全に偏見で申し訳ない。
やりたい流れ的なものはあって、そこに後付けでストーリーを押し込めてるせいでなんとなく流れが不自然になってる感がある。主人公が怒ったり、社会が動いたり、ちゃんと起爆になる理由があり、ストーリーかあるけれどもどれも説得力や整合性欠けている。
明らかにおかしいだろというのはないが、違和感を感じる程度の、理由の弱さだったりストーリーの薄さがある。
悪くない。いや、そこまで酷評する物ではない。ただ感想が悪くはないという感想にしか留まらなかった。
ついでに言うと私を誘った当本人は途中で寝ていた。