今宵、212号室で
劇場公開日:2020年6月19日
解説
キアラ・マストロヤンニが第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門最優秀演技賞を受賞した、パリのホテルを舞台に展開する恋愛ドラマ。マリアとリシャールの夫婦は付き合って25年、結婚して20年になる。ある日、密かに重ねていたマリアの浮気が夫のリシャールにばれてしまう。怒った夫と距離を置くため、マリアは一晩だけアパルトマンの真向かいにあるホテルの212号室に宿泊する。そんなマリアのもとに20年前の姿をしたリシャールが現れ、さらに元カレたちも次々と登場するという不思議な一夜が幕を開ける。マリア役をマストロヤンニ、若き日の夫リシャール役を「アマンダと僕」のバンサン・ラコスト、夫役をフランス・ポップス界の名プロデューサーであり人気ミュージシャンのバンジャマン・ビオレがそれぞれ演じる。
2019年製作/87分/R15+/フランス・ルクセンブルク・ベルギー合作
原題:Chambre 212
配給:ビターズ・エンド
スタッフ・キャスト
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ネタバレ! クリックして本文を読む
夫に浮気がバレた妻。しかも問い詰めてみたら、浮気の数が尋常じゃない超常習犯だった! 冒頭のツカミに思わず笑ってしまう。やがて物語は夢うつつの世界に迷い込み、会いたい人、会いたくない人がのべつまくなしに乱入してくる。演劇的といえば演劇的だし、空間と時間の広がりは映画的でもある。
形としては古典的なドタバタ喜劇だと思うのだが、妻も夫も、最初の印象以上に「夫婦」という関係を信じていることがわかってくる。世間一般的な「いい夫婦」ではないが、明らかに他人には伺い知れない結びつきがあるのだ。
「理想の夫婦」「夫婦があるべき姿」なんてものが幻想なのはわかっているつもりだが、この夫婦のあり方にしみじみと共感するのは難しい。しかし、人生の点描を交えて語られることで、この二人にはアリなのだろうと納得させられるものがあった。大きなことを学んで改心するのではなく、やはり不器用なまま言葉を交わすラストシーンの夫婦の姿がとてもよかった。
2020年6月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
妻が夫に内緒で長らく続けてきた情事。それを今改めてつまびらかにしたとしても、私たち夫婦には長年の信頼があるんだから別に問題ないでしょ?と言われても、夫は夫で易々と納得できないわけで、結局彼らは一晩の熟慮期間へ突入するのだが・・・。かくもフランス映画らしいといえば非常に「らしい」本作。よくありがちな男女の会話劇として形作ることも可能だったろうが、しかしオノレ監督は二人が暮らした部屋と、それを向かい側から客観的に覗きみることができるホテルの一室を用いることで、そこに不可思議な空間性を出現させる。さらに時間や空間を超えてゆかりある人々が部屋を訪ねてくることによって、人間関係がファンタジックに可視化され、物語が「横へ」の広がりを持って、ユニークに紡ぎあげられていく。二部屋に挟まれた通りにはなぜか映画館が。この国では、人と人が愛を育む媒介として映画が欠かせないのだと暗に示しているようにも感じられた。
2021年7月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ー マリア(キアラ・マストロヤンニ:今作でカンヌ国際映画祭ある視点部門最優秀賞受賞!父は、マルチェロ・マストロヤンニ。母は、カトリーヌ・ドヌーブ。凄いなあ・・。)と、
リシェール(パンジャマン・ビオレ:フレンチ・ポップスの名プロデューサー)は結婚20年。子供はいない。
教授である、マリアは教え子と浮気・・。それが夫にバレて・・。ー
◆感想
・ぶっ飛んだ、凄い映画である・・。
だって、マリアが浮気がバレて逃げ込んだ家の向かいのホテルの212号室にいきなり現れた若きリシェール(期待のヴァンサン・ラコスト)と関係を持っちゃうし・・、マリアの過去の浮気相手がゾロゾロ出てくるし・・。
ー 何人と不倫しているんだ!マリア!ー
・リシェールが且つて恋心を抱き、関係を持っていたピアノ教師イレーヌ(カミーユ・コッタン)が、若い姿のまま現れて、独り悶々とする現在のリシェールの部屋に現れるは・・。
・25歳と50歳のリシェールが、お互いにイロイロと結婚とはについて、話すは・・。
・そして、何故か全然似ていない、”シャルル・アズナブール”まで現れるし・・。
<昔の恋の思い出たちが、ホテルの212号室に大集合!エロティックで、幻想的で、クスクス笑える狂騒の夜が始まった・・。
翌朝、マリアとリシェールが、お互いの”部屋”から出て来て、普通に”今夜は帰って来るのかい?””ええ、予定はないから・・”と言って別れる姿も、うーん・・、おフランス・・、と思ってしまった作品。いやあ、イロイロと凄かったなあ・・>
2021年7月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
妻が浮気をして怒る旦那に対し、「長く夫婦関係を続けるための秘訣だし、昨日で終わったことだからいいでしょ」と平然と言い放つ妻にとてつもない違和感がある。
気分転換にホテルに泊まった妻だが、昔の男が10人くらい現れたり、旦那の元カノが登場したり、若かりし頃の旦那が現れたりと何とも荒唐無稽。
最終的に夫婦仲はかろうじてつながったようなエンディングだが、心温まるような感じでもなく、もやもやした気分になった。