ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語のレビュー・感想・評価
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総じて、ルロイ版の方が好みかなぁ…
「若草物語」は、
49年公開の
「哀愁」「心の旅路」のマーヴィン・ルロイ版と
94年版に続いての3作目の観賞。
キネマ旬報では
一番評価の高い「若草物語」映画だが、
最も映像美に溢れた
最も映画らしい「若草物語」と言えそうだ。
時系列を複雑に入れ換える構成で、
四姉妹の資質と感情を丁寧に細やかに
描いていたのではないだろうか。
ただ、作品に深みをもたらした
その複雑な構成だが、
私は前2作品を観ていたので
何とか時系列を判別出来たが、
初めてこの「若草物語」に接した方は
各場面がどの時点での描写なのかに
戸惑いを覚えたのではないだろうか。
また、名優メリル・ストリープの
配役はどうだろうか。客寄せ以上には
あまり彼女を使う必要性を感じなかった。
例えば、藤沢周平原作映画
「たそがれ清兵衛」での岸惠子や
「山桜」での富司純子のように
作品の肝の部分で
印象的に登場させる邦画の方が
この点では優れているように思う。
また、理解不能なのは
ローリーの想いなのだが、
彼が最も恋愛感情を抱いたのは
ジョーだとしても、
全姉妹に興味を持ち続けたようにも描かれ、
彼はキリスト教的慈愛に満ちたマーチ家
そのものに恋していたようにも感じられる。
それはキリスト教思想が
色濃く反映された結果なのだろうか。
原作ではどのように
彼は描かれているのか知りたいところだ。
ベス以外の三姉妹は結果的に
金銭感覚に支配されない結婚を選択する。
そこに原作者オルコットの
女性の自律的期待を感じるが、
この映画では更に一歩進んで
女性としての選択と言うよりは、
人間のそのものの尊厳的選択を感じて欲しい
との作り手側の意思があるのだろうか。
原作がどんな点にウエイトを置いて
書かれたものかは分からないが、
多分にこの映画は
男女間の垣根を取り払うべく
今風に昇華させた作品に感じる。
一方、ルロイ版は、エイミーとローリーの
パリでのシーンを全てカットするなど、
大胆な話の集約と演劇的デフォルメ手法で
まとめた印象だったが、
特に、
「私のベス」とした題名本の出版交渉は
ベア教授を通して行われたとの改変で、
彼が終盤マーチ家を訪れるのは
出版された彼女の本を持ってきたためという
愛の成就の感動的なラストシーンは、
「ストーリー…」とは異なる設定の
見事なまでに磨き抜かれた
脚本の賜物だった。
残るは33年の
キャサリン・ヘップバーン主演で
「マイ・フェア・レディ」の
ジョージ・キューカー版「若草物語」だ。
観る機会があれば嬉しいのだが。
若草物語だった
すっごく面白かった。最初四姉妹のビジュアル発表されたときはこれでイメージ合うかなーって思っていたけれど、実際見たらちゃんと若草物語の姉妹達が存在してました。ジョーは映画でより生き生きとしてましたね。原作を読んでいたときからローリーと結婚してほしいと思っていたけれど、結局しないのがあの二人……。映画を見てたらそういう運命だったんだなと改めて切なくなりました。私が一番好きなベスが亡くなるところはやっぱり悲しくて泣いた。
個人的には最高でしたけど、若草物語を知らない人が見たら多分わけわかんないですね。時系列で混乱して着いていけない人がいそう。若草物語の続編まで読んでから映画を観ることをおすすめします。
読んでないと全くわかりません
最後
結婚したのは小説の中の話で、完成した小説を抱きしめてるのが現実かな?とも取れる作り方になっている気がしました
女性は美しいだけじゃない、知性もあるという台詞は原作にもあるのかしら
原作未読なので、どれくらい現代目線が加わっているのか、原作通りなのか気になりました。
製本、装丁シーンに感動した
原作読まなければ。
終盤でやっとわかった
時代が南北戦争の頃。そんな昔の設定ね。
その頃「女性は結婚しなきゃ、しあわせになれない」的な展開なのもうなづける。
4姉妹の成長物語っていうのは、すぐわかったのですが。
話の流れが、今と過去と行ったり来たりするんです。
姉妹たちの顔立ちも、時間で変化ないし。
時間幅は5〜6年とはいえ、脳内???で。
最後でわかりました。これは「4姉妹物語」=若草物語を。
思い出を回想しながら描く、時間軸ってことのようで。
はいはい、そういうこと(多分)。
多感な青春時代から大人になっていく。
あのモヤモヤ〜っとした時代、いつも同じだな。
主人公と私を、ちょっと重ねて観てました。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「命をかけて本気で誰かを愛する時がくる」
自分の幸せ 家族の幸せ
4人姉妹の楽しそうなやりとりを見てるだけで幸せになれる作品。
なんだか、テディがその中に入って戯れているのをみて、うちの家族を見てるみたいだった。そこに恋愛感情を除けば。
家族と一緒に楽しく過ごせることがなによりもの幸せで、ただそれは少女時代から大人になるにつれて薄れていってしまう。どこの家庭だってそうだろう。
でもこの家の子たちは皆それを望んでいたし、そこに強い絆があった。女性だからって職が決められていた時代に、それぞれが夢を持ってそこに懸命勝負する。
潮が引くように抗えないことだってある。ベスの死のように。その潮にあらがうように自分の信念を曲げないジョーは素敵だし、ほんとに強い女性だ。
少しテンポが速く場面が飛び飛びするけれど、家族愛が溢れて心温まる作品。
テディ演じるティモシーシャラメ、凄い。あの4人の姉妹の中に溶け込んで戯れてる感じとか、いまはどこにでも出てるもんな。
衣装がとっても素敵。見ていて飽きない演出でした〇
やっぱベストかっこいいなぁ。
4姉妹それぞれの幸せ
逆境の中を力強く生きる人々の「物語」
私は本作が昨年劇場公開された時は、予告編などを観てもあまり興味が湧かなかったので鑑賞していませんでした。しかし、多くの映画レビュアーさんたちが2020年の映画ベスト5の中に本作を挙げているのを見かけ、鑑賞していなかったことを後悔しました。アマゾンプライムで鑑賞できるようになりましたので、このタイミングでの鑑賞になります。原作となるルイザ・メイ・オルコットの小説『若草物語』は見たこと無く、ざっくりとしたあらすじを知っている程度の事前知識での鑑賞です。
結論ですが、非常に楽しめました。本作は今とは比べ物にならないほどに抑圧的な時代に生きる人々を描いた物語です。時代に翻弄されながらも懸命に生きるその姿には勇気をもらうことができますね。単純にストーリーだけ追ってても面白いですが、特に私はあのラストシーンに舌を巻きました。映画の終盤の、結末を観客の判断に委ねるような「物語論」の提示は思わずため息が出てしまうくらい良かったです。
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マーチ家の4姉妹が南北戦争時代の厳しい荒波の中でも自分たちの夢のために力強く生きる物語。「女は金持ちと結婚して家庭に入るのが一番の幸せ」という価値観が色濃い時代において、マーチ家のジョー(シアーシャ・ローナン)は小説家になる夢を持っていた。
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ラストの展開に何となく見覚えがありましたが、『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』という映画にちょっと似ている気がします。詳しいことはネタバレになるのでここでは書きませんが、ラストシーンで「そういうことか」と膝を打つような感覚は本作と近いですね。
時代の流れに翻弄され、その時代で必死に生きる強い人たちが描かれている映画だったと思います。予告編の映像であったり主人公が女性ということで「強い女性を描いた女性向けの作品なのかな」と思っていましたが、実際観てみると全然そういうわけでは無かったですね。「(男女関係なく)弱い立場の人が逆境にめげず頑張る」という感じでした。男目線で刺さる描写も多かったです。特に長女メグの夫が貧乏貴族であるという点は思わず夫目線で見てしまいましたね。最近読んだMIT教授のダン・アリエリー氏の書籍に「給料の満足度は、妻の姉妹の夫との比較で決まる」という一文がありまして、それを考えると三女のエイミーがお金持ちであるローリーと結婚したことによって更に惨めな気持ちになってしまうんじゃないかと勝手に深読みして同情してしまいました。
ラストシーン、自分の本の製本過程を見つめるジョーの眼差しや出来上がった本を抱きしめる姿は非常に感動的です。小説の製本という「物語」が完成する描写で、映画という「物語」の締めくくりをする演出はお洒落で良かったですね。
非常に面白く、絶対に観て損はない名作でした。オススメです!!
まず、ティモシーシャラメが好きすぎてエイミーと結婚しちゃったのがち...
まず、ティモシーシャラメが好きすぎてエイミーと結婚しちゃったのがちょっと嫌でそこばっか頭に残ってるけど笑ジョーとローリーがいっしょになれなかったのもそれは運命というか巡り合わせも含めて人生ってそんなもんなんだろうな。と思ったり。
そこはおいといて、ジョーの誰よりも家族想いな優しいところ。女として一人で自分の好きなことを追いかけて生きる強さ。彼女の生き方はかっこいいし誰にでも出来る生き方ではない。この映画が描いているのはお金以上の幸せというより十人十色の人生、選択肢ということかな。絶対的な幸せも正しい生き方も存在しない。わかっていてもそれにとらわれてしまう、周りのことを気にして自分の選択を狭めてしまう自分の小ささも感じた。
新解釈版若草物語
一筋縄ではいかない作風が、A24っぽいと
思ったら・・・
A24の人の監督脚本でした
(コロムビアに引き抜かれたとか?)
不朽の名作「若草物語」の大筋をなぞりつつ
新たな解釈を加えて細かいエピソードは
改変しまくり・・・
話の大筋知っていても
新解釈版若草物語と言ってもいい程の
意外な展開に驚き、クオリティーも高く
見ごたえがありました
原作の若草物語が書かれたのは1860年代
だったそうで・・・
結婚して家庭を持つことが女性の幸せ
働くなんてとんでもないし
男性と同等には扱われない
そんな時代に生きて一石を投じた作家の
自身の話を基にした少女小説の世界を、
華やかに(ビジュアルとても美しくて
見応えがあった)色調を明暗使い分けて
テンポも話も軽重織り交ぜて、上手く料理
したなぁ・・・というのが感想
ラスト、ジョーの本の
著作権の主張とか報酬の駆け引きとか
この監督らしくて思わずほっこり
自分にとっての幸せとは
過ぎ去った子供時代を懐かしみつつ、その儚さを噛みしめ、今目の前にある現実の厳しさにもがきながらも懸命に自分の生き方を模索する四姉妹。今とは異なる“当たり前”があった当時、彼女達を突き動かしていたものは何だったのだろうか。
楽しい子供時代は終わり、それぞれの道を進む四姉妹。そこにはあの頃思い描いていた夢の世界はどこにも無く、ただ暗く険しい道が続いているだけ。それでもそこに希望を見出し、助け合いながら生きていく彼女達の姿が心に刺さります。
強がりを言って後からこぼれ落ちた切ない本音も、“これでいいんだ”と自分に言い聞かせて呑み込んだ心細さも痛いほど伝わってくる。だから自身の人生と真摯に向き合い、ひたむきに生きていく彼女達が尊く、美しい。
毎日が悩みや不安、後悔や葛藤の連続だけど、それをエネルギーに変換し、懐かしい子供時代に再び息を吹き込み紡がれた物語。それは他愛ない日常だけど、かけがえのない大切なものである事を気付かせてくれます。
泣いても笑っても歩き続けなければならないのが人生で、そんな中で自分にとっての幸せの意味を考え、自分らしく生きていこうとする姿が時代は違えど今の私達に響いてきます。
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