一度も撃ってませんのレビュー・感想・評価
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似非ノワール
冒頭から胡散臭いバイク乗りをだしてフェイントを仕掛けた殺しのシーン、これは監督ただものではないぞと期待が膨らむ、ところが本筋に入ってからは只管、役者の無駄遣い、友情出演で集めたのだろうか、気をもたせるが中身のないセリフばかりで華を添えるだけ。
もともと蓮司さん主役で一本撮りたいというのは桃井さんの発案だから終始テンション全開ではしゃいでいましたが浮きまくり、昔は良かったというのは本音でしょう。
蓮司さん、せっかく渋くてダンディな役どころなのにしじみ汁を啜らせる演出は興ざめです、中国マフィアの軍人崩れの殺し屋と気持たせしておいてあの落ちは何なのでしょう。サスペンスで敵役が漫画では締まりません、一事が万事、梯子を掛けては外すの繰り返し、ほどほどにしてほしい。
結局雰囲気だけ楽しんでという中身のない中途半端なプロット、正統派ノワールは時代遅れと思うのは勝手ですが自虐的に描くのはファンへの冒涜です、まだ「探偵はバーにいる」の東直己さんのようなハードボイルドの継承者もいるのですから本くらいはまじめに練って欲しかった。
雰囲気こそ往年の正統派ノワール調なのだが、これだけ円熟した俳優陣を集めたのに製作陣が馬鹿になりきれず斜に構えたパロディに逃げてしまったのは勿体ない。
御前零児、夜はこれからだ。
2020年映画館鑑賞53作品目
阪本順治!
石橋蓮司!
大楠道代!
岸部一徳!
桃井かおり!
いきなり大砲5発
落ち目のハードボイルド作家が実行犯と手を組んで検察出身弁護士崩れに依頼を受け殺しをするという話
朝の市川はかっこ悪い普通のおじいちゃんだが夜はめちゃくちゃカッコいい
バーでの大楠道代と桃井かおりのツーショットも良かった
桃井かおりが即興で歌ったのか日本語の『サマータイム』が良かった
バーの雰囲気にマッチしている
そのほか佐藤浩市江口洋介豊川悦司渋川清彦妻夫木聡濱田マリ柄本明などなど豪華な顔ぶれ
佐藤浩市は息子と共演
3人とも苗字が違う
松方弘樹だってそう
夫婦別姓どころか親子兄弟で苗字が違っても全然問題ないね
反省しなさい自民党
カクテルバーの女の子は前田亜希だったことはエンドロールで知った
拳銃のがっぷり四つも迫力あった
お洒落なバーに足繁く通うかっこいい大人になりたい
サントリーブルーのロング缶に安い豆腐の冷奴で家飲みして満足している場合ではない
あと井上真央の「おちんちんを輪切り」って台詞にどきっとした
輪切りってそういうことか
いやあ馬鹿な男子中高生じゃあるまいし井上真央が「おちんちん」と言ったくらいで興奮はしないけどね
多くは語らないスタイル
全体的にスローな老人目線のフラットな作りで感情が揺さぶられにくかったが、やってる事はかなりハード。小説のネタにする為に自分の手を汚さず裏稼業。初めはたまたまか妄想かと思わせて実はマジモン。それも今までの人間関係があっての事で、徐々にほどけていって終焉を匂わせる。昔の映画によくあった語らない手法で物語を膨らませているので、二度目見れば後半は冷めるかも知れないが、前半は風呂敷を畳むような作りを楽しめるはず。序盤でポパイに渡していたトリカブト、思い残すことなく渡せたセーター、店を出ての礼、Zに返された看板で何を連想する?
オヤジの渋さを×100ぐらいで満喫出来るいちいち渋い作品ですw
予告編を観た時には"コメディか?"と思い、なんとなく面白そうだったので、チェックはしていましたが、観た人の感想がかなり高めで好みな感じだったので観賞しました。
で、感想はと言うと、良い♪
渋い!いちいち渋いw
全然コメディではない。一度も人を撃った事を無いと言うのはハードボイルド設定で言うと確かにコメディではありますが、そこはかと流れる面白さがコメディチックなだけでコメディでないので、タイトルで騙されたと思う人もいるでしょうし、タイトルだけで観るのが疎遠になってしまった人にはかなり勿体ない。
ハマる人にはビシッとハマる作品ではないでしょうか。
まず脚本の丸山昇一さんが良い♪
80年代の角川映画ハードボイルド作品の担い手で、松田優作さんの作品を紐解いていくと必ず挙がるのが脚本家の丸山昇一さん。
古き良きハードボイルド作品を描きながらも根底に流れるのはデビュー作の「探偵物語」で培われたユーモアの融合。
なので、どことなくユーモラスな雰囲気とハードボイルドの組み合わせが好きな人にはたまらん!
伝説のドラマ「探偵物語」をハードボイルドではなく、ハートボイルドと言う風に言われたのは有名な話。
まさしく何処かハートボイルドでありますが、ハードボイルドに憧れるオヤジの胸をズキュン!と撃ち抜きますw
出演者もいちいち渋いw
石橋蓮司さんが渋すぎる。良い声♪台詞カッコ良すぎ!
「酒が夜を連れてくる」「夜が女を作る」と口にすると馬鹿みたい聞こえるが、言ってみたい!w
立ち振舞いも渋い。ラストのエンドロールで港の倉庫を思わす様な赤レンガの壁にもたれかかる様に佇み、タバコの煙を燻らす。
もう“ギャ〜ス!”と叫びたくなるw
だけど、オフの時の抜き方が良い。
朝のシジミの味噌汁を飲んで、具をチュパチュパとすすってるのなんて、もうThis is オッサンw
アナログ人間の様でスマホは持たないが秘密の部屋の書斎のパソコンはMac。デスクトップの画面は自分の渋い写真w
楽しい~♪
桃井かおりさんがやっぱり良い!
歳をとっても格好いい大人の女性を描きまくっている。
「女は猫」と言いたくなるぐらいに自由気ままに振る舞うのが良いんですよね。
来店していきなり「SUMMER TIME」を歌い出す際に持たれたシェイカーのトップ(蓋)をヒョイと外して歌い直すのなんてコミカルかつカッコ良すぎでしょ!
惚れるなぁ〜w
MVPはなんと言ってもBAR「y」のマスター、ポパイ役の新崎人生さん。
台詞は少なめですが、左腕から見えるタトゥーがアンダーグラウンドな雰囲気を醸し出しますが、鍛え上げられた筋肉が圧倒してます。
カウンターをヒョイと飛び越えるのなんて素敵w
御前零児と殺し屋との対峙が終わって、店に入ろうとする田酔の客にクローズ!と言うのがカッコ良い!
BAR「y」も良いんですよ。
キャッシュオンデリバリーもシンプルで明朗会計。店内も程良く暗く、程良く狭い。今のソーシャルディスタンスなんか絶対無理w
歴史を感じさせる木の具合も素敵。
閉店時の看板をひっくり返すと「Z」文字が檄渋い。
なんでもこの看板は亡くなられた原田芳雄さん協力だとか。
また、「y」のお客も良い感じ。
渋い感じの店に集う人達になので、何処か修羅場を潜り抜けてるのかな?と思いきや、意外とその他大勢w
最後の殺し屋と御前零児との戦いが始まる前にはそそくさと退散する。でもそのモブ加減が緩急付いてて良い。
惜しむらくは小説家で殺し屋(仲介人)と言う事で、何処までが本当で何処までがファンタジーなのかが分かり難いと言うか認識し難い事。
また、酒とタバコにはもう少し拘っても良かったかな?
御前零児がBARで飲んでいたカクテルはなんとなくギムレットの様な感じでしたが、「y」で桃井さん演じる玉淀ひかるが飲んでいたウイスキーはなんとなく「グレンフィディック」みたい。
タバコも銘柄指定ではありませんが、何吸ってたのかな?と聞きたくなる。
ここは「Peace」缶で渋く攻めて欲しかったかなぁ。
この作品が製作された背景として、2011年に死去した原田芳雄の自宅で行われた飲み会で桃井かおりが阪本順治監督に「次は石橋蓮司主演で映画を撮って欲しい」とリクエストしたことがきっかけとされているとか。
製作総指揮を務められた「キノフィルムズ」の木下直哉さんは御年54歳。
角川映画を一世風靡した角川春樹さんになんか通じる物が感じられて、多分角川映画にはかなりの影響は受けられているかと思います。
石橋蓮司さん、桃井かおりさん、大楠道代さん、阪本順治監督、丸山昇一さん、原田芳雄さん、木下直哉さんと言う方々の名前を連ねると必ず浮かび上がるのがキーワードが角川映画。そして松田優作さん。
この作品の背景には松田優作さんの作品へのリスペクトとスピリッツが感じられるんですよね。
ハンフリー・ボガードの様にはなれなくても、「探偵物語」の工藤ちゃんの様ならなれるかもしれない。そんな憧れと楽しめる要素の硬軟の融合とオヤジの渋いカッコつけ方がズキュンと胸を撃ちます。
“分かるかな〜分かんねえだろうなあ〜”ではありませんがw、渋いオヤジに憧れる方は是非観て頂きたい作品です!
クローズ!!
苦み・エグみ・旨み
久々の映画館、タイトルで選定。
正直そこまで期待していなかったが、味のある作品だった。
ひと昔もふた昔も前に流行ったハードボイルドな世界観に憧れつつ、その世界に身を投じることができないまま年老いてしまった「ちょいグレ作家」が主人公。
自分の家族にも松田優作好きの公務員がいるが、そういう人って意外と多いんじゃなかろうか…
展開はゆっくりだし、細かく見ればやや無茶な設定もあるのだが、
悪役含め登場人物それぞれに愛嬌があり、つい魅入ってしまうシーンが多かったのは、やはり超豪華キャスト陣の成せるワザか。
(鑑賞目的の一つだったトヨエツなんて、「え!?これだけ!?」という扱いだったけど、それでも出演するトヨエツ素敵。)
ベテランたちの掛け合いはまさに「神々の遊び」といった感じで、そこが拝めるだけでも見る価値があったと思う。
そういう余地を残したシナリオ・演出が出来ているのも、満足できた要因の一つかと。
ラスト、ピンチを乗り越えた一行が祝杯を上げるシーンで終わらず、解散シーンまで映したのがよかった。
思い描いた通りには人生を歩めなかった登場人物たちが、危機を通して一時の高揚感を得る。けれどそれが過ぎ去れば、再び独りに戻っていく。
「夜は酒が連れてくる」令和にはクサすぎるような台詞だけど、心地のよい厭世観というか、終わらせ方の美学のようなものを感じた。
スケールで魅せる作品が多くなっている中で、こういうものが小規模でも作られ続けるのはうれしい。
登場人物たちがさらにヨボヨボになった続編、出来ないかな…
「団塊の世代」「全共闘世代」には懐かしいくもホロ苦い!
昨日(7/6)は、4/9以来3カ月ぶりの映画館でした。入場者はガラガラの10人。「1人置きの座席」でしたが自由席でした。
映画評コメントを読んだ限りでは若い人には「?」らしいが、団塊の世代、全共闘世代には「しんみりできる出演者」と舞台設定でした。
ヤクザ家業にまで身を落としたヤメ検(岸部一徳)と、彼から「殺しを請け負っている」謎の殺し屋・実は売れない自称作家(石橋蓮司)。その二人が秘密に会っている新宿の小さな地下BARでいつも一緒に呑んでいる落ちぶれた女優(桃井かおり)が主な登場人物。『一度も撃ってません』というとぼけたタイトルの意味は、その殺しを請け負う作家は、いつも「凄腕の本当の殺し屋」に下請けをさせていて、「実際に自分では殺しはしない」という意味。
(ここからはややネタバレ)
観客は「この3人の関係」が気になるが、それは最後に明かされます。
この3人は、50年前、新宿騒乱のとき、機動隊から逃げて、逃げ込んだ地下のBARで「出会った」時からの関係だったという設定でした。当時は、司法試験を目指すガリ勉学生、小説家を目指す文学部の学生、女優を目指す売れていない劇団女優。
その時から、このBARだけで「会ってきた」という旧くて長い間柄。だから、「まっとうな人生から踏み外してからも関係が続いている」という設定でした。
これが、「同じような旧友を持っている」全共闘世代には「しみじみ」「ほのぼの」としました。同世代のオジサン、オバサンにはお薦めです。
私の父親世代なら「戦友」でしょうが、それは男だけの世界。これに対して全共闘世代は女子学生が不可欠。そのまま結婚したカップルも多かった!
他の出演者の顔ぶれも「もったいない」くらいの多彩さ! 佐藤浩市、江本明、妻夫木聡、豊川悦司、江口洋介、小野武彦、江本佑、大楠道代、井上真央、濱田マリ、他。
丸山昇一節炸裂!
令和の現代、こんな粋でオシャレで恥ずかしい(ほめ言葉です(笑))セリフを書けるのは丸山昇一さんしかいない!
酔いしれました!
石橋蓮司さん、かっこいい!
桃井かおりさん、キュート!
大楠道代さん、セクシー!
岸部一徳さん、マイペース!(笑)
是非、続編を期待します♪
なんとも俳優の無駄遣い
予告で気になったので観賞
感想としては
キャスティングのお祭り映画かなという感じで
テーマも特に深くなく淡泊な作品でした
日中は夫婦でシジミの味噌汁をすすりガウンで
ゴミ出しに行く売れない初老の小説家「市川進」が
夜の街のハードボイルドな世界では「伝説の殺し屋」
の噂と共に「御前零児」となる一面を持っています
元検察も職を追われいわくつきの仕事を請け負う
「ヤメ検」石田からいきつけのバー「Y」で
殺しの依頼を受けますが自分でやるわけでなく
実行は他人に依頼しその詳細を小説にまとめて
出版社に持ち込みますが古くさいと相手にされず
デビュー当初の純文学以来本になったことはありません
ある日依頼主の石田自身が殺し屋に狙われたことで
その殺し屋を特定するよう石田から頼まれた市川
調べるとそのヒットマンの依頼主は石田が依頼する市川を
ヒットマンとして特定しており行動範囲を特定され
それを知った市川は周囲の人間に逃げるよう指示します
しかし旦那の行動を不審に思った妻も絡みややこしい
事態に…
テーマとしては「終わりゆくハードボイルドの世界」という感じ
古くさい物としなくなっていきつつある渋い大人の世界を
ノスタルジーに扱っています
ところがこれがあんまりストーリーの重みに関わってきません
なんで殺しの詳細を小説に書くようになったのか
なぜ熟年になるまで旦那の仕事が妻にバレていないのか
真面目にやっているようでおちゃらけたいのか
映画を観ていて興味の持って行きように困ります
スケール感も小さく舞台のほうが向いていそうな内容ですし
○谷○喜のほうが得意そうなテーマです
マジックアワーがそんな映画だったような…
だからどちらかというとベテラン俳優のアドリブ交えた
演技を楽しむお祭り映画なのかなと解釈してしまいます
故・原田芳雄にゆかりのある監督・俳優さんが結集した
感じからも伺えます
脇役で輝くことの多い石橋蓮司主演も新鮮でした
オトナな画面の雰囲気は悪くないのですが
前述のように中身が伴っていないので
どうしてもコント風に見えてしまう今作
あんまり長くは覚えていなさそうです
キャストの無駄遣い感が強かったです
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