「深くて静かな優しさに包まれます」星の子 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
深くて静かな優しさに包まれます
観賞後に引きずる余韻が静かで深くて暖かい。
とても心地よい作品です。
怪しげな新興宗教が出てきます。
確かに宗教への熱心さが高じると、それを信じていない人にとっては、ある種の偏狭さや奇異さ、非寛容に繋がることは否定できません。
でも、永瀬さんと原田さんが演じるご両親は奇異ではあるけれど、さほど非寛容ではありません。帰ってこない長女のことについても、許すとか許さないという〝裁き〟の観点では見ていないのです。ただ寂しい状況を受け入れて自然体で待ち続けています。
ちひろの学校での交友関係にも、あの子に近寄ってはいけない、みたいな干渉はしません。ただ、金星の水を通して神秘の力を授かりながら順調に育っていく姿を見守り続けているだけです。
ちひろの素直で穏やかな感受性もその賜物なのだと思います。
疑いはしても、短絡的に自分が宗教の被害者だったんだ、と反抗的になることもないし、南先生(表面的には〝良識ある〟人たちの側にいる人)の胡散臭さも直感的に見抜き、恋愛対象として、というよりひとりの人格として失望を覚えます。
『魂の救済』みたいなものには、宗教とか、神秘の水などなくてもいい。
代わりに結婚してあげようか、と言える友達。
今晩一緒に星が見たい、と声をかけてくれる人。
そんなさりげない優しさが、実は身近にある。
そんなことに気がつくことができれば人生も捨てたものじゃない。
もし、台風一過で晴れてくれるのであれば、今宵は空を見上げて、流れ星でも探してみるか。
と、気取ってみたけれど、天気予報ではしばらく晴れそうにないですね。
ゆたぽーさん、コメントありがとうございます。
本当に難しいですね。
元々信仰があれば、自分の宗教が一番、というかそれ以外は邪教である、と言い切ったりできますが、無宗教の人間にとっては、どう自分に関わってくるのかが重要になるので、そもそもの判断基準が違ってくると思います。
宗教・教団の描写が、ちひろの主観の範囲を超えないので「主題はこれじゃ無い」ってのは思いましたが。ネタとしては、見る人に固定観念が出来上がってるんで、どうしても、信仰宗教の是非に目が行ってしまいましたねw
ご心配いただきありがとうございます。
いくつか共感もいただいておりますし、特段のコメント(以前の◯◯さんのような)もなさらないので、ご好意でフォローいただけてると理解しております。
信仰宗教と言うと、勧善懲悪の血がザワザワするし、なんとか一家を救ってあげたい、せめてちひろだけでも。と思ってしまう訳で。大森監督は、あえて何の変化も無く「世ずれした感覚で仲良く暮らす一家」を描いて終わりたかったんだと思います。まさに「家族のかたちのコレクション」。先のマザーや、過去作との比較も面白いんじゃないでしょうか?
って考えながら、私はBEMへ移動して叩きのめされた金曜日でしたw
それはそうと、「グレシャムノ法則」さんなるストーカーが現れた模様。悪質な類のヤツでしょうか?
コメントありがとうございます。
「歯切れが悪い」確かにそうかも知れませんねw
宗教の位置づけや意義という意味では、非常に判りやすく、ある意味リアルに描かれていましたからね。
そういう意味ではとても面白かったのですが、個人的な宗教観を述べるべきではないし、自分のボキャブラリーでは言えることが見つからなかったというのが本音です。
現実問題として、自分に関わってきたら嫌悪感しかありませんし、徹底的に撥ね除けますけどねw