「熱い想いが一番大事」フード・ラック!食運 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
熱い想いが一番大事
オープニングへんてこなんだよね。キャベツ切るシーンからなんだけど「広告の続きかな?」って本編はじまったのに気が付かなくて。それから子供のころの主人公が「わー!」って石階段あがって来るんだけど「あり得ねえよ、こんなシーン!」って思うの。
さらに「18年後」のタイトルのあと、街中の人混みで主人公だけがこっち向いて歩いてくるんだけど「これも無えよ、いまどき」って思うのね。
そこからのキャラ紹介も説明セリフ連発なんだけど、そこは、まあ大丈夫だったかな。
それでNAOTOと土屋太鳳が最初の焼肉店に行ったところは、笑いのシーンなんだよね。ここはうまい。さすが寺門ジモン、呼吸が解ってる。
それでNAOTOは多分、寺門ジモンに言われたとおりに演じてるだけだと思うんだけど、合いの手いれる土屋太鳳がうまいね。コメディはうまい俳優でないとスベるんだけど、土屋太鳳で良かった。
そこから、NAOTOのお母さんが倒れたり、芝居が入ってくるんだけど、芝居のパートは、まあ全滅だね。「いや、そこはもっとこお、あるでしょ」って感じで脚本も演出も足りてない感じがする。
でも話はうまくて、ちょっと泣かされそうになるところもあんの。「笑いがいちばん難しい」って言うから、そこをずっと考えてる寺門ジモンは、人を泣かそうと思ったら簡単なんだろうなと思ったよ。
冒頭の主人公登場シーンからなんだけど、ハズすシーンは思い切ってハズすから、逆に可笑しくて笑っちゃうのね。ハズし方が清々しいの。
それでも全編通じて観るとすごく面白い。熱いんだよね。「この話を撮りたいんだ!」っていう作り手の熱さが伝わってくるの。拙い脚本や演出も、逆にその熱さを伝えてるかもね。
「この話、最後はNAOTOと土屋太鳳が結婚して焼肉屋再開させんだろ」と思って観てたら、全然違うラストにもっていったのも良かった。そこまで甘い話は書かないんだね。
畑の違う人が監督をやると「手慣れた監督ならもう撮らない」っていうシーンが連発して、でも底に作品に対する熱さがあると、そこが逆に面白かったりするから、寺門ジモン監督には次回も是非、焼肉の話を撮って欲しいと思ったよ。