ステップのレビュー・感想・評価
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映画は観る人によって完成する
(何でもそういうものだろうけど)それぞれのライフステージや境遇、経験で輪郭が変わる作品。
涙腺が崩壊する部分は、その人の人生が滲み出る。
僕は同じぐらいの小さな子どもを持つ親として、子育てや我が子の成長に対する感情はいちいち共感してしまう。
その大変さは、おそらく育てたことがないと、どれだけ映像で見ても本当のところは分からないと思う。
一見、親子の物語だと思ったら、人が生きていくこと、生死にまつわる普遍的なテーマの映画だった。
「ステップ」とはそういう意味があったのか。
苦楽を積み重ね歩んでいく一生を改めて見つめ直せる。
ところで、カメオ出演?の中川大志の意味はなんだったのか…最後まで回収できなかった。笑
それと、いきなり似ている人が出てきたり、死者と会話できてしまう演出はちょっと現実に引き戻されちゃったかな。
また秦基博の歌がいい!
今回オンライン試写会で鑑賞。コロナの影響もあったが新しいかたちで今後拡がっていくと思う。でも気持ちが途切れないようにインターネットの通信環境が大事だし、やっぱり映画館の没入感と特別な空間と時間が好きだ。
定点観測映画
同じ道、同じ部屋で語られる、ある家族の10年の歴史。
変わっていく部分と変わらない部分。それに加えて“変わらなくても良い部分”も描いていたように感じました。
章に分かれているところや、モノローグが気になり「原作が小説だから、その感じを出しているのかな?」と思いながら見始めましたが…
シングルファーザーで子育てに奮闘する姿や、仕事との両立の悩みも描かれているけれど、それに対しての強い問題提起があったり、一つの解決策が提示されるわけではなく…。
次の章でも、新たな問題に対して悩む姿が描かれますが、どうも問題がスッキリ解決したとは思えないし。そのアプローチが最良だったのかも疑問が残る。
何よりエピソードがひと段落したスッキリ感が今ひとつ得られないところにモヤモヤしていました。
でも…。繰り返し出てくる道や、繰り返し出てくる部屋の壁を見ているうちに、徐々に家族の変化が見えてきて、エピソードに対するFAQではなく、家族の時間の積み重ねを描いている映画に思えてきました。
→原作が小説だから章に分かれているのではなかった(^◇^;)
人生に答えなんて無い。
思いがけない事が起こって、計画通りにはいかないものだし、その時その時の問題に向き合っていくしかない。
でも、問題と真摯に向き合うなかで、周りの人との繋がりや、ふとした一言の中に自分なりの答えが見つかる事がある。
自分が出した答えが正解だったかどうかなんて誰にもわからないけど、自分が納得出来る方向に進むしかないし、間違ったと思ったらやり直せば良いと言ってくれている気がしました。
そして、いかにも重松清の原作らしい“試練と共に乗り越える道も備えてくださる”という聖書の教えに絡めて、人との繋がりの大切さを強く描いているようにも感じました。
辛い時に心を閉じてはいけない。孤立してはいけない。
人は人との繋がりで成長する。
この映画のタイトルである『ステップ』には
様々な意味が込められていて
歩んできた足跡(ステップ)であり
積み重ねた段階(ステップ)であり
そして血の繋がらない義理の関係(ステップ)でもあり…。
特に3番目のステップが、物語を広く深くしていたと感じます。
直接的に助ける事が出来なくても、人と人はどこかで繋がって影響を与え合っている。
たとえそれが死んでしまった人間でも、繋がっている事は変わらないのではないかと思えました。(T-T)
いろんな年代や立場によって心に響く部分が違う映画だと思いますが、個人的には國村さん演じる義父の目線に共感しました。
あそこまで気遣いの出来る舅と姑には、なかなかなれないと思いますが(^^;;
義理の兄夫婦も含めて、とても理想的な関係で憧れます。
でも、当初は美紀ちゃんを引き取りたいと思っていただろうし、主人公からすると油断ならない相手だった。
やはり、相手を尊重して、お互いの距離感を計りつつ、時間をかけて出来上がった関係なのだと思えました。
美紀ちゃんが可愛い!生意気な物言いも可愛い。
幼稚園のシーンでは自分の子供の卒園式とイメージが重なり…
そういえば当時、子供を抱っこして寝かしつけているうちに、自分が子供を抱っこしているのか、子供に抱っこされているのかわからなくなる瞬間があった事を思い出しました。
癒しているようで癒されていたのだろうし、
今になって思うと、子供を育てているつもりで、実は人として子供に育てられていたのだなぁ。
子供の成長は本当に早い。
シングルファーザーの忙しさは尋常じゃないだろうし「母親が居ないから…」という悩みは尽きないでしょうが、両親が揃っていてれば問題が無いって訳でもないから厄介です。σ(^_^;)
あっと言う間に過ぎていく時間のなかで、一緒に家事をする生活のシーンが心に残りました。
一緒に料理をした記憶とか、意外と覚えているものですね。
そんな風に実体験のいろんな記憶が蘇る映画でしたが、
逆に若い世代の方がこの映画を見たら、どんな印象を受けるのか、とても気になります。
あと、東京03のファンなので、角田さんの出演が嬉しかった!
しかも、メニューを読むだけで感動を生み出す域の國村さんと、カメレオン俳優の山田さんと同等に並んでも、全く侵食ない演技が素晴らしかった。
むしろ一番好きなシーンかも。
苦難を乗り越え、笑顔を作る場所、それが家庭(^^)
子を持つ親はみんな大変。
もし、シングルファザーだったら、もっとずっと苦難の連続だと思う。
掃除、洗濯、料理は最低条件。
プラス保育園の送り迎え、細々とした家事、先生からの連絡帳。
あっという間に1日が過ぎる。
だからこそ、子供の世話はローテーション化してしまいがち。
抱っこも絵本も読んであげていたって、子供はそれが愛情の不足した義務的作業だって薄々感づいているんだね。
そして、2歳半の子供の感覚は侮れない。
子供だって1人の小さな人間。
大人のことなんて何もわかってないと思ったら痛い目見ることもあるのだと思いました。
でも、そんな大変な中にも、子供の成長に救われることはたくさんあるんだってことを実感。
保育園から小学生に上がると、できることはたくさん増えていって、いつの間にか親に口出しする年齢になっている。
手が離れた分ちょっと寂しい気持ちになるけれど、それも一つの成長だと思って見守ってあげたくなる。
まだ小学生だし、いくら大人ぶっていても、細かな気持ちはまだまだ小さな子供。
育児っていのは、体の成長だけじゃない。心のサポートをしてあげることも、子育てには重要だってことを身に染みて実感しました。
秘密や嘘も、どんどん増えていって、友達には話すけれど親には話さないこともたくさん出てくるお年頃。
そんな思春期の時期を乗り越えようと頑張る父親の姿がとても愛おしく感じてしまいました。
やっぱり山田孝之さんの、演技が素晴らしい。
コメディの時とは打って変わって、繊細で未熟な父親の姿がとてもリアルで素晴らしかった。
父と娘という関係って、母と息子以上に複雑で大変だと思いますが、それを見事に表現していたところが凄すぎます!
更に、今回演技で光っていたのは、伊藤紗莉さん。
繊細な子供の心を親身になって受け止める、心の優しい元気いっぱいの保育士役がとても似合っていました。
彼女は役によって色々と性格から表情からガラリと変わってしまうから凄すぎる!
彼女のような演技は女優は、なかなかいないと思います!
この映画でもっとブレイクしてくれることを期待するばかり(笑)
最後に余談ですが、ちょいちょい中川大志さんがちょい役で出てくるのが面白かった(o^^o)
こんな贅沢な使われ方で良いのか⁈
重松清さん原作の『ステップ』。
毎度のことながら、彼の描くヒューマンストーリーは本当に完璧。
一人ひとりの心の悩みや苦しみを丁寧に、繊細に描けるのは彼しかいない。
今回、この映画化された事で、この世界観がより一層現実的になり、家族の存在が尊いものになったように思います。
笑顔を作る「笑顔工場=家族」。
最高の言葉でした(^^)
素敵な映画をありがとうございました。
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