劇場公開日 2020年7月17日

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「二つの親子関係を描く佳作」ステップ ヤスリンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0二つの親子関係を描く佳作

2020年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 若くして妻を亡くしたサラリーマンが、悪戦苦闘しながら残された一人娘を育てる10年間を描いた映画。主演の山田孝之は相変わらずの名演で、押さえた演技でその大変さや内面を実に見事に演じています。

 この作品、父と娘の10年間を描いているのですが、同時に、亡くなった妻の父すなわち義父と息子との10年間の物語でもあります。最初ぎこちなかった二人の関係が、娘を挟んで徐々に近づいていき、最後は本当の父と息子のような関係になっていくのが感動的です。國村隼演じる義父とのクライマックスシーンは涙無しには観られません。

 父と娘、そして義父と息子の二つの親子関係が絡み合って時を重ねていくさまは、家族とは、親子とは何かを教えてくれます。話としては大きな山は無く、淡々と日常を描いていくだけなのですが、一つ一つのエピソードを丁寧に描いているため、濃密で観ていて飽きることはありません。こうした演出は小津安二郎以来の日本映画のお家芸ですね。

 脇を固める俳優陣も良い演技をしています。個人的にお気に入りなのが、保育園のケロ先生役の伊藤沙莉と、義理の兄の東京03角田です。特に伊藤沙莉は前半での感動シーンがありますのでお見逃しなく!

 仕事や最近のコロナの影響でちょっと心が疲れている人に、是非ともお薦めしたい作品です。観れば心が温かくなること間違いなしですので。

ヤスリン