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ケルベロスは、ギリシャ神話に登場する冥界(地獄)の門番の犬で、3つの頭、蛇の尻尾を持ち、死者が冥界から出ないように見張る怪物。
原題はO Doutrinador、ポルトガル語で「教義を伝える人」や「教化者」、あるいは「洗脳者」「教え込む人」という意味を持つ言葉でブラジルの同名のコミックや映画において、汚職政治家を独自の信念で処刑するダークヒーローの通り名として使われています。
「DAE」(特殊武装部隊)の連邦捜査官ミゲルは娘とサッカーを見に行く途中、娘が何者かに銃で撃たれます、病院に駆け込むが医師不足で手術も間に合わず娘は死亡。医療施設の衰退の原因は州知事による6割にも及ぶ公的医療費の横領だが大統領令により捜査は打ち切り、街では知事に抗議するデモと警官隊の大騒動。娘の悲劇をきっかけに、汚職政治家どもへの制裁、暗殺を開始。国民は暗殺者を啓発者と讃え、さながらダークヒーロー。
普通に考えれば先ずは娘を撃った実行犯の逮捕だろう、娘が何故撃たれたのか?撃った犯人は誰なのか?という肝心の部分は全く解明されていませんし、主人公は娘を直接殺した犯人を捜索しようともせず、いきなり悪徳政治家へ向かう矛先、ちょっと過激な復讐劇仕立ての社会派ミステリーに寄せていますね、気になって調べてみたら、ブラジルでは
「メンサロン(Mensalão)事件」(与党労働者党(PT)幹部が、公的資金や違法な銀行融資を使い、野党議員の投票権を買収していた)や
「ラバ・ジャト(洗車)事件」(2014年3月から始まった、ブラジル史上最大規模の汚職・マネーロンダリング捜査でブラジル政財界のトップが国営石油会社ペトロブラスを巻き込み、数千億円規模の賄賂やキックバックを巡らせていた実態が明らかになり、ラテンアメリカ全体に激震を与えた)や
国立社会保障機構(INSS)において、退職者の年金から約11億ドルが不正に差し引かれていた巨額詐欺事件
など多くの不正事件が起きていたそうで国民の6割が「汚職」を国内最大の懸念事項と考えているそうです。
原作はコミックだそうだがルチアーノ・クニャ氏が当初はスケッチを描いて出版社に売り込んだが、腐敗した役人の処刑というテーマに関連する潜在的な法的リスクを理由に却下されたそうです。やはり、微妙なテーマであることは否めませんね。