リチャード・ジュエルのレビュー・感想・評価
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正義はどこに
正義の置きどころ
それにしても凄いですよね、クリント・イーストウッドさん。ここのところ毎年映画を作ってて、昨年は主演までして、とても90歳の仕事ぶりとは思えない。映画への愛が溢れてますね。大好きですし、大尊敬です。
さて、本作もイーストウッド節。普通の人々が、苦難に立ち向かい、何かを成し遂げる。職業や個性はそれぞれだけど、たいていは善良な市民が、事件に巻き込まれながらも、それに立ち向かう。自分の中では、「グラン・トリノ」が特別な作品だが、本作も負けずに米国市民賛歌を叫び続けている。現実でも、いろんな問題がありすぎるけど、こうした市民の心があれば、この国は大丈夫なのさ。と言った話を真っ当にはせずに、背中で見せるのが男ってもんだ。
主人公のリチャード・ジュエル。法律を守る正義感が強いうまり、杓子定規過ぎて周囲とうまくやれない性格。だが、そのおかげでイベントの最中、ベンチに放置されたバッグを、手順に従って警察に通報。結果、爆弾は爆発するも、被害は最小限に収まった。一躍ヒーローとなるも、数日後FBIから容疑者として狙われ、マスコミがそれを大々的に書き立てたために、今度は悪人にされる。FBIの執拗な調査が始まるが…。
リチャードの母親役キャシー・ベイツが良かった。ミザリーのアニー役からだいぶお年を召されたが、老いた母親を自然に演じた。昨年の「ビリーブ 未来への大逆転」でも重要な役どころを見事に演じた。また「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェルも、皮肉屋の弁護士を軽妙に演じて見せた。
でもやはり、ポイントはイーストウッド監督
これからも元気で、良い作品が発信されるとこを期待してます!
とっても良い作品、でもマスコミは?
マスコミが全然宣伝しないのも納得の実話ネタ
警備員必見。
1996年アトランタオリンピックはリアルタイムで見ている筈なのに覚えていない爆弾テロ事件。
地味に90年代らしい映像を再現していてちょっと前の映画をみているような気分に。
少なくともシャンテ辺りで上映する映画でわざわざTCXスクリーンで観るタイプの映画ではない笑
マスコミは今も昔も変わらぬマスゴミっぷりで目新しさはないが、FBIのやり口がお粗末すぎて開いた口が塞がらない。
映画では捜査機関が88日間もリチャードを捜査対象にした理由がわかりにくい。メンツだけなのかと思う。
最近の風潮から逆行するアトランタジャーナルの女記者のキャラ付けもあって評価が高くないのか、とうがった見方してしまう。
何やら意味深な黒人母子が全く絡んでこなかったたり、事件自体が解明されるわけではないのでちょっと肩透かしな部分も。
弱々しいキャシーベイツが新鮮。
ナディア役の女優が効いてる。
クレジット通りサムロックウェルが主役の映画
中国の見て見ぬ振り
権力を持つものこそ謙虚に
爆弾テロの第一発見者がメディアとFBIによって犯人として追い詰められていく中で母親と弁護士は最後まで彼を信じたって話。実話ものって尻すぼみ感がちょい苦手なんだけどこの映画は熱かった
のほほんとしたリチャードと熱いワトソンの対比が面白かったし女性記者とFBI捜査官のイヤな感じも最高によかった
実話だから酷い結末にはならないだろうという安心感も良かった笑
この作品は『権力を持つ恐ろしさ』がキーワードになっているように感じた
FBIとメディアは力を振りかざしリチャードを追い込んでいくし、のほほんとしたリチャードも職務中は命令口調で少し横柄に感じた。
力は人間を変えるのかもしれない。だから力を持つものは謙虚でなければならないと思う。
この映画アメリカでは少し問題になっているらしい。女性記者のFBI捜査官への取材描写(枕)が実在の記者を貶めているからとのこと。リチャードを貶めといて自分達は文句を言うのかとも思ったがそれとこれとは別の話。
やはり監督も力を持つものとして記者のことも考えてあげて欲しかったと思います
FBIの操作ってこんなに杜撰って事に・・・唖然@@!
まず映画を見て1960年代ならまだしも1996年で、こんな捜査で容疑者にされてた事にビックリです。
正直この事件は、記憶にないのですが、日本でも大々的に報道されたのかな!?
普通ならこんな中坊の犯人探しみたいな失態こそメディア操作したいよね。
過去作のようなパンチ力に欠ける気はしますが、この部分を臆せずに題材映像化するイーストウッド監督に脱帽です。
ここ最近日本では、人は見かけ通りって有名人の逮捕者が出てますが、この映画の主人公もまさに・・・疑われても仕方ない身なりや体型だけならまだしも曖昧な発言や態度にも問題はあったんでしょうね。
冤罪が晴れた後も職を転々としてるのは、正論に伴う詰めの甘さに雇う側の苦労も伺えます。
ただ現在は、メディアリンチ+一般人のSNSリンチも加味され怖い世の中になりました。
あと・・・
お母さん役のキャシー・ベイツが、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされてますが、ジョジョ・ラビットとこの作品で、いぶし銀の名演で魅せるサム・ロックウェルが、ノミネートされてないのが・・・
両作品とも彼なくして成り立たないと思うけど・・・ね。
事実と虚構を混ぜる実録娯楽作の難しさ
すっかり実録物の映画監督となったクリント・イーストウッドも89歳。
「リチャード・ジュエル」の物語の粗筋を聞いたときにまず思い出すのはやはり松本サリン事件だった。河野義行氏は実際にリチャード・ジュエル氏に会ったことがあるそうである。
人の思い込みというのは恐ろしいもので、この人はこう、と思い決めたら中々柔軟に考えを変えることができない。とにかく都合の良いストーリーを作りたがる。それがたとえ、最初描いたストーリーから外れたとしても。
「アイ、トーニャ」の怪演が心に残りすぎるポール・ウォルター・ハウザー(あれはマジで実在のひとに似てたよ...)。お世辞にも「ふくふくしてますね」だけでは表現できないふくよかさと、恐ろしい程の融通の効かなさ。あまりにも無邪気な権威への信頼。
彼のイメージがあまりにも犯人くさい、という理由だけで(しかも都合よくそういうイメージを補強するネタが集まるのである)、獲物捕らえたり!になってしまうジョン・ハム。思い込みは恐ろしいのだ。一旦思い込みで「こいつ犯人だ」と思ってしまうと、そのバイアスからは逃れられない。本当は捜査官こそそういう思い込みから解放されていないといけないのだが、人間はそうそううまくできていない、とジョン・ハムが教えてくれる(特に彼の最後の台詞がね...)。
実際は証拠などない(というかむしろ、彼には無理という証拠はある)のだが、メディアにすっぱ抜かれ(この描き方が炎上している)、メディアスクラムを形成されてFBIには追い詰められてリチャード・ジュエルと母の生活は崩壊する。プライバシーも何もない。最近いつも思うが「容疑者」、しかも逮捕されていない時点でここまでプライバシーを身ぐるみ剥がされなければならない社会は何かおかしいよね。幼い頃は当たり前に思ってたけれど。
リチャードの味方は「10年前、自分を職場で唯一人間扱いしてくれた」弁護士サム・ロックウェルと母キャシー・ベイツだけ。このふたり、さすがオスカー俳優。ポール・ウォルター・ハウザーを食うことなく、それでいてその存在感を遺憾なく発揮する。キャシー・ベイツの会見は素晴らしかった。伝わるものが凄い。
そして、この映画で問題となっている記者の描写。あまりにも類型的に描かれたオリヴィア・ワイルド演じるキャシー・スクラッグス。彼女は2001年に亡くなっている為、「身体を使ってスクープを取った」ことへの反論ができない。
ものすごく前向きに解釈すると、イーストウッドは「彼女もFBIに利用された存在である」ことを描きたかったのだろう(最後の取ってつけたような描写で推測する)。それでも、あのような演出は必要だったのか? メディアスクラムは恐ろしい。確かに恐ろしいのだが、それを増幅する為の装置としての、彼女の描き方は軽すぎるのではないか。彼女だけに焦点を当てて(そこに大袈裟な演出とフィクションを混ぜてまで)描く必要があったのかは疑問だ。そういう意味で、悲しいことに、この映画は中途半端な正義でしかない。
リチャード・ジュエル側が本当によく描けている(タイトルロールなんだから当然だが)だけに、メディアスクラムの問題は雑に扱って欲しくなかった。
アトランタオリンピックの映像やニュースの映像を絡めた演出は骨太で、さすがクリント・イーストウッドと思わせるところも多いだけに難しいものがある。
人間の浅はかさよ
メディアリンチというパワーワード
すばらしい!!!
私も前日にオリンピック公園にいた(・_・;)
たまたまアトランタオリンピックに行っていました。どこの会場もセキュリティチェックで長蛇の列。日本では考えられなかったので、アメリカは怖いと思いました、、が、オリンピック公園はセキュリティチェック無しで誰でも出入り出来ました。私が行ったのはテロの前日の昼間。ちょっとズレていたらと恐怖を感じました。
実話+クリント・イーストウッド監督+冤罪ということで、思い出すのはハドソン川の奇跡です。ハドソン川の奇跡の方が、話が派手で、アメリカ人が好きそうなヒーロー像。それに比べるとちょっと地味だし、主人公もかっこよくない。その分実話のリアルさがありました。
主人公をカッコイイとは思わなかったし、頑張れとも思えなかった。あと、ネタバレになるので詳細は無しで「お前が原因だろう!お前が泣くな!」とイラついた。
いい作品ではあるのだが
お話自体は実話なので、そういうものとして見られたし、考えるところもあるいい作品だと思う。
女性記者は実在の人物がいるのかなと気にはなったけど。
彼女には大いに笑わせてもらった。
FBIも相当無能な描かれ方してるけど、これがアメリカのFBIなら終わってるよね。
メディアリンチといったテーマはいつの時代にも当てはまる事なのかもしれないけど、最近ではSNSでたたきにたたくといった行為もその部類に入って来る時代だと思う。
ただ、そのテーマをやるのならもう1年半から2年早くないといけなかったのではないかとも思う。
最近では一般市民がメディアに踊らされる前に自分で情報の取捨選択を行うようになってきていると感じるからだ。
とはいえ、数で言えばまだまだ少数派なのかもしれないけど。
イーストウッドというアーチスト
年に一作のペースで、老いても尚コンスタントに作品を送り出すイーストウッド監督。そしてその作品の完成度の高さ。いやむしろ完成していて当たり前。近年の作品のどれもが傑作揃い。本当に凄い人だ。
本作も題材が興味深く面白い、しかし大袈裟なエンタテインメントに走らず、静かにじっくりと、徹底して丁寧に描き出す物語は、イーストウッドの年輪を感じさせる味わいの深さとなってエンディングへと繋がってゆく。そのエンドロールが流れるとき、なんとも言えない優しさで包まれる。どんなに鋭い映画であっても最後は心に暖かい。これこそがアート。価値のあるものだ。
FBIやメディアに追い込まれてゆく主人公の内面演技の巧さ。その主人公に関わる弁護士と母親役の好演。女性記者の使い方は難しかったと推察されるも、登場人物のすべてがテーマから逸れずに活かされている。
エンタメに走るならもっとドロドロさせたりとやりようがあるのだろうが、そこまでを良しとしないイーストウッドの最適なさじ加減で収まっている演出が、それだけでも凄みを与えている。
素晴らしい映画をありがとう。そしてまだまだ多くの作品を作り出して欲しいと願う。
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