リチャード・ジュエルのレビュー・感想・評価
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イーストウッド監督にはいつも襟を正される。
『イーストウッド監督の映画に通底するもの』
この映画を観て確信しました。
クリント・イーストウッド監督は『仕事に真摯に取り組む人』そして『仕事として引き受けたことは当たり前のようにきちんとすること』への関心と敬意と感謝の気持ちが本当に強いのだと思います。
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以上は『運び屋』の時のレビューですが、今回も『仕事』というもののあり方や取り組み方について、説教臭さを微塵も感じさせないさり気なさで見事に教えてくれました。
リチャードは、アメリカの正義を信じており、その執行に携わることこそが自分の使命であり、それを実現できる仕事への憧れと誇りを強く持っている。
その無邪気さは、『ジョジョ・ラビット』の少年ジョジョがヒトラーに憧れているのと変わらない。
だから、ワトソン弁護士が呆れるほど、アメリカの正義の頂点に君臨する(と信じている)FBIにも独りよがりの親近感を抱き、妙に協力的になってしまう。
そのような純真さは備品係だろうが、警備員であろうが変わらず発揮され、その仕事でやれるべきことは労を惜しまずやり遂げることが誇りであり、リチャードにとっては正義の執行なのだと思う。
イーストウッド監督はそういうアメリカ人男性の無邪気さが好きだし、愛おしくて仕方がないのではないでしょうか。
そして、そういう危なっかしい男を強く優しく見守る母親的な女性の存在(男女の役割を差別的に決め付けるような意図は全くありません、あくまで構図として)。
アメリカ社会の歴史も現状についても何も知らないのになんとなく、『古き良き、世界中の若者が憧れていた頃のアメリカの原型』のようなものを感じてしまうのですが、全然違うのかな。
正義の執行などというと大袈裟ですが、どんな仕事においても、工夫ややり方は人それぞれですが、当たり前のように〝責任を持ってきちんとやり遂げる人〟は誰からも信頼されます。ワトソン弁護士の彼への信頼の根拠もそこにあります。
この事件においては、メディアもFBIも本来の仕事に求められる責任や誠実さを始めから欠いています。
終盤、リチャードがFBIに突き付けた言葉の大意。
こんなことがまかり通ったら、次の警備員はリチャードの二の舞いはごめんだと思って、責任を果たさなくなる。
正義の番人が〝正義の執行〟という仕事において誇り(=責任感)と誠実さを失ったら、誰が安全を守ってくれるのか。
正義や安全という言葉を社会秩序とか社会基盤などに置き換えてみると、我々一人ひとりへの問い掛けでもあります。
原発、電気・水道などの社会インフラ、物流・小売などの安定による食と物資の確保。
世の中のすべての仕事が、市井の人それぞれの責任感で成り立っています。
イーストウッド監督の映画を見た後はいつも、明日からもちゃんと仕事しよう、と襟を正されるのです。
本当にこわい
この安心感が心地よい。
感動の実話に涙
第一発見者が怪しい、これは今も良く聞く事だが、証拠が無くても明確な根拠が無くても、過去の小さな傷や外見、そして統計的なものや経験値だけで容疑者にされる...実に怖い。正義とは何か?触らぬ神に祟りなし、そんな風に生きないといけないのか?色々考えさせられた。
当時のマスメディアの恐ろしさを痛切にうたっているが、現在のネット社会の恐ろしさに十分通ずる。
イーストウッド映画らしい、重厚かつ胸に響く素晴らしい映画だった。
も少しエグくやられ最後に痛快な逆転劇、を期待したが、比較的大人しめな展開と結末だった。まあ、実話につきやむを得ない。
不器用だが一貫して正義を貫く主人公、それを支える男の友情と母親の愛情、色んな意味で泣けた。
正義
いまの日本の司法制度をあぶり出す
ジュエルが取り調べにあおうとした時、言った。
「弁護士を呼んでほしい。でなければ僕は喋らない」と。
そこが大きなポイントだった。
もし、そのままの状態で、収監されてしまったら、
もし、あのまま検査官の誘導に乗ってしまったら、
もし、わけも分からないまま100日間も自供を迫られていたなら。
この作品ほど、いまの日本の問題をあぶりだした映画はないと思った。
クリント・イーストウッドにそんな意識はなかったろうが。
だからこそ、それは普遍的なものに感じるのだ。
①弁護士の立会いがない。②いつ解放されるかわからない取り調べ。
③人を人とも思わない高圧的な検査官の人権無視的態度
いまの日本ではその全てが許されているのだ。これでいいのか?
少なくともアメリカでは人権が優先されている。
また、メディアと個人の問題も取り上げられている。
キャシーという女性記者がFBIとつるんで不確かな犯人を実名記事化する。
ともすれば女性差別につながる一般にハニートラップという手法で。
ここはイーストウッドは慎重に言っている。
キャシーという記者はいろんな面を持っていた。
彼女のヒロイズムがそうさせたのでは、と描いた。
しかし、キャシーは自分の間違いに気づき、ジュエルの母親の言葉に涙した。
イーストウッド監督の繊細で大きな度量を感じさせる場面だった。
いずれにしても、「リチャード・ジュエル」は、アメリカよりも、
いまの日本にとって、最も重要な映画だろうと切実の思うのだった。
パーフェクト
60分でまとまる
作品を120分にするには、、、、
と言ううがった見方もできるほど、導入部がユルイ。
ハドソン川が傑作だとすると、今回は題材に架空のエピソードを入れたりすることなど無意味だと思ったのだろうか?過剰な盛り上げをやめた感がある。
この作品を観て思ったこと
もはや映画での役者の演技に、ことさら悲しみの演技に、真実味や感動など感じなくなってしまったかも。
日本の映画に有りがちな、無駄なシーンを思い出した。
スクープした女性記者の後悔の演技や、母親の訴えかける演技にしらじらしさを感じつつも、、、
そこはイーストウッド!
納得させられる終盤へグイッと持っていかれる。
観て損はしない
帰り道、映画の話に花が咲いたことを付け加えたい。
メディアが持つ力の恐ろしさ
さすがの秀作
反撃のスニッカーズ
イーストウッド監督らしく、過剰演出無しで生真面目に、丹念に作られているところが好き。悪く言うと、地味であっさりしてます。
物語の幕開けの場面では、傲慢・高圧的な人物として描写される弁護士ワトソン・ブライアントは、リチャードの本質を見抜く眼力を持っていました。職務に忠実で「そうあるべき」と思った事は、手を抜くことなく実行する男。スニッカーズのパッケージをゴミ箱から見つけたリチャードに、レーダーと渾名を付け親しくなって行きます。
この出会いが、FBIとメディアの犠牲になった母子に、反撃の力を与える事になります。
「第一発見者を装い、事件を起こすヒーロー願望者」のプロファイルや、あの大学学長からの告発がリチャードへの嫌疑の発端。なの?まじか?物証が無いFBI はリチャードの失言を誘導し、公訴の提起を目指す。もうね、このくだりが事実だとしたら、ファーック!だす。マジですか?この人達。犯罪者はFBI の方じゃん。
野心の塊がブラジャー着けて歩いている新聞記者キャシーはトム・ショウのリークを大々的に報じてしまい、その失点を「一刻も早い犯人逮捕」と言う実績で穴埋めしたいショウは、合理性をつないでいく捜査から完全に逸脱し、FBI が作ったシナリオに合致する事実の収集に走り始める。冤罪一直線だす!
公衆電話まで移動する時間が無い?共犯者がいたんだよ。しかもホモ達。
生真面目に職務遂行した結果も、やられた側から言わせりゃ「異常行動」。
夢の実現のために努力している生真面目さは「歪んだヒーロー願望」。
もう、捻じ曲げまくりです。
加熱するメディアのココロ無い報道、FBI の行き過ぎた捜査で痛めつけられたジュエル母子。リチャードとワトソンは、FBI のアトランタ支局での証言録取の場面で反撃を開始します。と思いきや。リチャードには、単に反撃する気持ち以上の動機が作用する。彼の純粋な法執行官としての正義感は、FBI の誤ったやり方が許せなかった。「証拠はあるのか?」は、自身の無罪の主張にあらず。そうしている間に、真犯人が次の犯行を実行したらどうする?コンサートの場面で、彼が見掛けた母娘。絶命していた母親。脳裏に焼き付いた凄惨な場面。リチャードは、単に正義感に突き動かされ、FBI に抗議する。
ここが、すごく良かった。刺さった。パイプ爆弾の釘じゃなくって、リチャードのハートが。
1994年の「松本サリン事件」でも、同様の出来事が起きました。妻も犠牲者となった河野義行氏は、第一発見者でありながら、長野県警から家宅捜査を受け、県警のリークを報道した信濃毎日新聞を皮切りに、全国主要紙・メディアは河野氏を犯人と決めつけた報道を延々と垂れ流しました。家宅捜索で見つかった農薬からサリンを生成したそうですが、当時のコメンテーターによると。作れるもんなら作ってよ。
結局、オウム真理教の施設周辺で証拠が発見され、更に1995年の地下鉄サリン事件の発生により、河野氏の潔白は確定的になります。
でね、謝罪があったかどうかですよ。
・公安委員長-->直接謝罪
・長野県警-->「遺憾の意の表明」
・メディア各社と関係者-->概ね謝罪するも、バックレるもの多数。
事実に基づかない誤った報道や、売り上げ・視聴率の為に扇動的な報道をしながら、知らん顔するのは、今も変わってない。と言うか、今の方が酷いw
役者さんが、渋くて、皆良かったです。
個人的にはベイビー・ドライバー以来のジョン・ハムとビリーブ以来のキャシー・ベイツ、エロくて下手な英語の演技がバカ受けだったナディア・ライトが嬉しかったです。と、サム・ロックウェルは、明日の晩、ジョジョでの再会が楽しみっす!
良かった。そこそこ。
ジュエルは見ててイライラする
9本目
実話なので面白いんだけど、ジュエルの行動、特に「喋るな」と言うことに対して、要らんことはかりペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ喋る
ちょっとした障害かと思うくらいワトソンの言うことを聞かない
まあ、FBIもそこを狙っての行動を起こすんだけど、見てるこっちは「また余計なことを!」となる
それさえなきゃ満点に近い
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