劇場公開日 2020年1月17日

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「明確な偏りを感じる、しかしそれが事実と思わせる表現力」リチャード・ジュエル SHさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0明確な偏りを感じる、しかしそれが事実と思わせる表現力

2020年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

起こった事実を淡々と描きながら、時に音楽などで効果的な劇的表現─。正直、悲しみの涙が止まりませんでした。
表現が過剰にも感じましたが、不思議と違和感を感じることなく、素直に事実として受け入れることができたような気がします。
偏見に満ちた表現も数多く出てきて、嫌悪感もありましたが、それが全て感動に持っていかれて、実に巧みだなぁと思ってしまったので、いやらしさを感じる人が多いかもしれません、自分は単純にボロボロ泣いてしまいましたが…。
役者のパフォーマンスが特に素晴らしく観じたのは、展開がシンプルためだったのか、あるいは役者の演技を生かすためのこの展開だったのか─。とにかく酷すぎるこの事実を単純明快に伝えることだけに注力したようにも感じました。確かにステレオタイプ的な人物像や表現があまりに多いようにも思いましたが、実際にあったこの事実があまりに単純で偏見に満ちた“暴力”であると感じる上では効果的だったようにも思います。
英雄で変わり者のリチャード・ジュエルを最強に肯定的に描き、彼を貶めようとする輩すべてを徹底的に糾弾している─単純なこの視点を受け入れるか否か、それによってこの作品の感じ方が全く違ったものになるような気がします。
個人的には、この一方的で安直な表現が実に爽快に感じたし、それがむしろ意図的であり知的にもところがありました、攻撃している者の力を借りて、徹底的にやり返すような─。

SH