「フタを開ければ、やっぱり100%イーストウッド映画」リチャード・ジュエル regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
フタを開ければ、やっぱり100%イーストウッド映画
ここ数十年のクリント・イーストウッド監督作は実話をベースにしたものばかりだが、本作を観て改めて確信したのは、そのテーマ選びの上手さ。
メディアによる言われなき誹謗中傷の怖さや、善きことをしたはずなのに一転して糾弾される側になってしまう不条理。『恐怖のメロディ』や『ハドソン川の奇跡』といった過去作にも通底するように、本作もフタを開ければ、やっぱりイーストウッドらしいテーマ。
クライマックスでのリチャード・ジュエルが、『ハドソン川』のサリー機長とダブって見えたのは自分だけではないはず。
母親役のキャシー・ベイツの名演は涙を誘う。
他人の人生を描いているのに、サラッと自身の作家性を盛り込んで映画化してしまうマジック。まさに映画作りのお手本。
新作が発表されるたびに思うことだが、イーストウッドには気力が続くまで映画を作り続けてほしい。
あと余談として、今回の試写の主催がテレビ朝日だった。テレ朝関係者、特に報道部は、本作をちゃんと人材育成の教材にしてほしいもの。
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