劇場公開日 2020年6月5日

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「【”自由か死か” 艱難辛苦、汝を”神”にす。奴隷主の元から命懸けで脱走した女性が行った尊き事を描く。】」ハリエット NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”自由か死か” 艱難辛苦、汝を”神”にす。奴隷主の元から命懸けで脱走した女性が行った尊き事を描く。】

2020年6月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ー奴隷”ミンティ”から、”ハリエット・タブマン”と改名した後の、ハリエットの眼力の変化が凄い。怯えたウサギから闘士の眼になっていくのだ。-

 ■感動的なシーン
 ・ハリエット(シンシア・エリヴォ)が自分が命からがら奴隷制が廃止されていたペンシルベニア州に逃げ込み、自由になった後も、命を懸けて、家族や仲間を過酷な環境から救うため、”地下鉄道の車掌”として、数多くの黒人を救う姿。
 -“彼女は何時の間にか、”モーゼ”と呼ばれるようになっている・・。あの神秘的な、靄のかかる川を皆を率いて渡るシーンだね・・。-

 ・ハリエット達、逃げて来た元奴隷たちを匿うペンシルベニア州の宿屋の女主人マリエ(ジャネール・モネイ)や”地下鉄道”の中心人物ウィリアムスや彼らを密かに運ぶ船の人々、そしてハリエットの姿を見て生き方を変えるウォルターの姿である。中には、命を失う人もいる・・。

 ■印象的なシーン
 ・ハリエットが自分を追って来た、かつての奴隷主ギデオン(ジョー・アルウィン)と対峙するシーン。彼女は、撃ちあいの末、ギデオンを自らの前に跪かせ、ギデオンが乗っていた白馬に跨り、去るシーン。

 ■少し残念だったところ
 ・ハリエットは後半生、更に奴隷解放運動家として南北戦争でも闘って多大なる貢献をした事がナレーションで流されるのだが、(尺の関係もあるだろうが・・)その姿も観たかった。

<苛烈な物語であるが、近代アメリカで実際にあった事実である。そして、その問題は現代アメリカで、今でも蔓延っている。
 だからこそ、シンシア・エリヴォが、自らエンドロールで歌い上げる”スタンド・アップ”が心に沁み入る作品でもある。>

NOBU