花束みたいな恋をしたのレビュー・感想・評価
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なぜか泣けない
この映画を観るためにUnextに入り、配信された翌日、仕事から帰宅して期待しながら観た。
偶然の出会いがあり付き合い始め、盛り上がって5年間同棲し、互いの思いがすれ違って別れた話。
平たく言うとそういう話。
後半、麦君と絹ちゃんが泣いて別れ話をしたが、感情移入できなかった
どうしてだろうと3回見たが、理由が分からなかった。
別れた後、出会ったファミレスで再開するということは、お互いを思い出して「ここに来たら会えるかも」という淡い期待も合って来ていた可能性もあり。
別れた1年後にそこで再開したところ、双方ともに別の恋人がいたのは早いかも。
5年間も同棲した相手と別れての切り替えの早さに、ついていけなかったのかもしれない。
お互いシングルのままファミレスで再開してエンドロールだとしたら、その後を想像して余韻に浸れたような。
まあ、北海道まで遠征しなかった分、「糸」よりは製作費をおさえてそれなりの恋愛映画におさめたという点は評価していいのかもしれない。
明るい未来
いいラブストーリーだ
無さそうでよくある人生のドラマ
なんとも言えない気持ちにさせる映画でしたね。
起きていることは、本当にありふれたことばかり。
おそらく、世のほとんどの大人が経験してきたであろう
出会い・ときめき・喜び・すれ違い・ケンカ・別れを
静かにリアルに描いている「だけ」の映画。
ヘタな役者に演らせたら「え?これだけ?」ってなりそうなくらい、さほどドラマティックではない展開。
でも、30代以上なら、誰しも自身の若い頃を重ねて胸をギュッとされるんじゃないかしらね。
菅田将暉と有村架純は、上手いですねぇ。
21歳の大学生の初々しさから、社会に出て疲れてきた姿、
ふたりの関係がこなれすぎてしまった姿、
別れた後の思いの外ふっきれた様子も、
すべて自然に演じて見せてくれています。
なんか、所謂ハッピーエンドというわけではないと思うんだけど、妙に後味の良い映画でした。
いまどきのラブストーリー⁈
花束をあなたに
「有村架純がかわいかった。」
キラキラ恋愛映画に見せかけて、固有名詞出しまくりも普通のお話。
誰かが難病で死ぬわけでもなく、二人に立ちはだかる身分といった壁もない。
壁の代わりになるのが”社会”という名のお風呂。
ある人はお風呂で溺れ、主人公の山音麦(菅田将暉さん)はお風呂に入ろうともがく。
普遍的な物語に時代性を散りばめながら余白を作っているので、いろいろな解釈が成り立つ。
最近はYouTubeなどでいろいろな人の感想や解釈を、その人の表情を見ながら聞くことができる。
そんな新たな映画の楽しみ方をわかりやすく提示してくれているように感じた。
いろいろな感想や解釈を聞いてみよう。
私は自分の娘に解釈を聞いてみたら「有村架純がかわいかった。」の一言だった。
それもこの映画の大きな魅力に違いない。
♪木綿のハンカチーフ
コメント表題と点数の乖離にある『矛盾』
コンテンツとしては”映画”としてのみが表現出来る媒体なのだと思う。深夜枠のテレビではあの二人の主人公は余りにもギャラが高いw ドラマの内容としてのターゲット層は余りにもニッチ。それでいて
そのドンピシャの自分の斜め上を行く落とし処と、題名の過去形でシッカリと発表している結末。今作品のその全てがマーケティングに基づいてしかしその人達の腑には落とさない意地悪さ、人生の苦みをきっちり表現しているところが突出した内容だったと思う。
と、総括的には前置きしつつ、細かいギミックとしてのコンテンツで、”小説”に関しては読書を殆どしないのでこれを評することが出来ないが、”夜電波”の件は自分的には直球ど真ん中のラジオ番組だ。と同時にどれだけの人がこの番組を知っているのかの心配を勝手にしてしまうのも複雑な心境であるw
京王線沿、特に調布、川沿い、これも又自分の過去に色濃く沈殿している紛れもない青春。そんなロケーションの中で繰広げられるキラキラした物語は、しかし確実に1点のみ欠けている事実がある。それはカルチャーのベクトルが限りなく近似値な異性の存在が居なかったということw
但し、その人生最高の出会いが同時に相対的に残念な結果になる”寓話”を表わしてる方法に驚嘆である。果たして幸せだったのか、不幸だったのか、鑑賞後もその答えは見いだせない。それ程割り切れない”素数”的な作品なのであろう。
余りにも自分史に被る会話の中身と、余りにも自分史には影も形もない理想の恋人。そんな引き裂かれるほどの矛盾を落し込んだ今作品の表現コンテンツが”映画”で本当に良かった。もし、配信ドラマだったら鑑賞する事も無かったことだろう。
クライマックスでの通い慣れたファミレスでの別れ話での男の弱さと女の同情を断ち切るようなフラッシュバックと見紛う、ほんの数年前の自分達と同じような初々しいカップル。それはもうあの頃には戻れない、最上の宝物の幻を引き吊り出されたようで、その尊さと現在の煤けた現実との余りにも乖離した事実に涙が止まらない。全てを諦めること、そしてそこからのみ次のステージが開かれる”扉”なのだろうから・・・
でも、それでも自分の正直な気持は、恥ずかしいが二人は会話も無くなったカップルであっても別れて欲しくはない。そうです、だらしない男の代表です(泣) 他のコメントにも『単なる共有できるコンテンツのみで繋がってるカップルである』という表現で切って捨てている人も居るが、では何で人は人を愛するのかを明確に説明できるのかと問いたい。というか、”愛”って何ですか?今作品は"愛”とは程遠い繋がりで愛情を果敢に表現しようとした矛盾のストーリーテリングなのである。
PS.有村架純の布団中から外したブラを外に出すあの演技が今作品の最も秀逸なカットであることは内緒であるw 彼女のギャップ感を最大限に生かしたエロティシズムを見事に引出した監督に称賛の拍手である
地植えの多年草が理想です
よくある恋愛映画だと思って避けていたんですが、カルテットの坂本裕二さんの脚本でしかも書き下ろしと聞いて、劇場へ足を運びました。
ノマドランド→ミナリ→花束の順番で鑑賞したのですが、今作が一番良かった。
やはり脚本でしょう
台詞でしょう
それを表現する演技力でしょう
日本映画は世界で評価されないけど、それは国が映画と言うコンテンツに金をかけないからだと思ってる。
アニメも映画も素晴らしい才能に溢れたクリエイターが沢山いらっしゃるのに、ネームバリューや損得勘定でしか芸術を評価できないクソみたいな感性の権力者の采配で社会の価値観が決められていくのが本当に残念でならない。
さて、今作では有村架純さんと菅田将暉さんのダブル主演。
有村架純さんて、いまいちパッとしない水のような女優さんだな〜と思っていました。
邪魔にならないと言うか、主張しないけど思いはあるんだろうなって言う目をしている。
今作では心の声をナレーションしているので、心情が分かりやすい。
男女間での会話の後の居心地の悪い感じだったり、共感したことで相手との距離が縮まっているって思う心情の些細な変化がとても共感できた。
あるよねぇ。この人は私より私を知ってくれてる〜と。まさに恋は盲目。
物語中盤までは有村架純さんの演技に引き込まれて、コロコロと変わる心情の変化を楽しんでいたのですが、中盤からは菅田将暉さんのターン。
周りからの言葉や自分の評価、立ち位置の変化による心境の変化。
変わりたくないけど、生きてたらいつまでも成長しない人間はいない。
20代の学生の価値観と社会人になってからの価値観はもちろん変わるし、結婚、出産、子育てと心境の変化、経済力の変化、価値観の変化は必ずある。
初恋の頃のまま、生花の花束みたいな恋のままではいつか水枯れを起こしてしまう。
良くてドライフラワーになる。
美しかった花は美しい花束の思い出のままに別れを決意するきぬちゃんに共感しかなかった。
嫌いになった訳じゃない。騙し騙しこの先も一緒にいることはできると語った菅田将暉の震える告白は見事でした。
ああ、あの席に座っている二人はいつかの自分たちだ。と涙が溢れて止まらないって演出が本当に刺さりました。
映画ですから。
演出ありきの映画ですから良いのです。
リアルだなーと思ったのは、別れてからも二人で暮らした場面。
もう、今だから言うけど、と話し合う場面が別れ際あるあるすぎて笑えました。
もう相手を思いやったり大切にしたりしなくても良くなったから、話し合うことができるようになるって心境もある。
逆に最後なんだから、相手に優しくできるって他人の距離感を思い出すって心境もある。
流石に別れた後に元カレ元カノと出会っても後ろ向きに手は振らないけど。
どこかで幸せに暮らしてると良いな。
でも、少し不幸でもいて欲しいな。
などと、久しぶりに別れた相手を思ったりした映画でした。
多分、数年前に見てたら我が身に重ねて号泣してたろうが、こんな時もあったよねーと感想をかけるくらいには立ち直っているんだなぁ。
花束みたいな恋は終わったので
次はセリとは言わずミントの様な大地に根を張って生き抜ける関係をどなたかと築いていきたいです。
観賞後に涙ぐむ彼氏の背中をさすっていたカップルさん、お幸せに。
10代の男子学生さん二人も泣いていたな。
お幸せに。
観る年代によって、今まさにその時期なのか、その時期を超えていったのか、まだ未経験なのか受け取り手の経験に影響する作品だと思いました。
女子には超オススメする。
思いっきり本気で泣かせにきましたね。恋愛系映画やるじゃないですか!
映画館で泣いたのは後にも先にも『いま、会いにゆきます』しかないんだろうなぁ…と!思っていたら!オッサンの涙腺にどストライクの直球を投げ込んできたのよ!これが!まぁ特殊かもしれないけれど、似たような恋愛をしたことがあるから余計に抉ってきたのかなぁ。←自慢話ジャナイ!
まさに運命の出会いをして、決して離れることのないふたりと思っていたのに。
おのおのが生きることに必死になればなるほど離れていく恋が本当に切ないの。
お決まりの別れ話とわかっていても、いい歳したオッサンも泣いちゃうのよ。
お願いだから、もうちょっと話し合って絶対に別れないで!って思っちゃったのよ。
最後の最後でふたりが心情を吐露しあうカフェでのできたてホヤホヤのカップルとの対比なんて、本当に悲しいのなんの。
本来ならあったであろう未来のふたりをその中に観て泣く絹ちゃん、ふたりが過ごしてきた過去を思って泣く麦くん。本当の本当に心が離れ離れになっちゃったのね、オジサン悲しいよ。見事に泣かされたよ!
そして、あれ?これが冒頭のシーンに結び付くの、っていう伏線回収が、またいいの。
決してダラダラうじうじしたお別れじゃなくて、ふたりがそれぞれの前を向いて歩んでいった先に幸せが見えたのかな、と。
なによりよかったのがあのインスパイアソングを安易に泣かせにこなかったところかな。
きっっちりストーリーを練って、追って泣かせにきてるの。
いや、やはりエンディングであの歌が流れてきていたら、嗚咽漏らしながら劇場を後にしていたかもね(笑)かもね、ジャナイ!絶対にだ!
そしてまた思ったのが、これ観ていてやはり『劇場』を思い出したの。また観直してみようっと。そして、家でなら好きなだけ嗚咽漏らせる。
いやぁ…恋愛系は苦手で守備範囲じゃないとたかをくくっていたけれど、いえいえどうして!
面白いじゃないですか!
でも…ほんっと失礼ながら…オダギリさんが登場すると“あの”頭でどんな映画でもSFに見えてくるから不思議。
観終えるとよくわかるタイトルの意味…!
もう胸が苦しくて苦しくて…。
本作で麦くんと絹ちゃんが感じていたであろう、恋をして世界がキラキラして見える、浮かれまくっている時の気持ちを知っている。
大人にならなきゃと焦っていた時の気持ちを知っている。
次第に2人が感じていた、あのどこにも行けない行き止まりにぶつかってるような感覚を知っている…。
だから2人が付き合うあたりからずっと泣きそうだった。たぶんそれは麦くんと絹ちゃんが、かつての自分に重なったからだ。
たぶん麦くんや絹ちゃんのようなメインカルチャーから少し外れたものを好きな人や、好きなコンテンツをきっかけに好きな人と付き合ったことのある層にはぶっささる内容なのではないかしら…。
好きなアーティストや好きな小説やマンガのことを話して、相手がそれを好きだと言ってくれた時の喜び。
同じもので笑い、泣ける時の親近感。
物事のスタンスや考え方に対する共感。
そして生まれる好意と育つ恋心。
めちゃくちゃわかる…。
そして過ごす蜜月。
2人だけの部屋、可愛いパン屋さんで買う焼きそばパン、手を繋いで観る海、幸せな瞬間しか切り取られていない写真。
パーティーに例えるなら最高潮の時。
この辺りの映像が本当に幸せしかなくて、2人がお互いを大好きなことしか伝わってこなくて、風景が綺麗で、
美しすぎて泣いた。
そして大人になろうと頑張る2人。
仕事を見つけて、2人の生活のためにお金を稼いで。
でも仕事に奪われる時間と心のキャパシティーはどんどん2人を遠ざけていく。
麦くんの「じゃあ、結婚しよう」のシーン、めちゃくちゃ辛かった。尾崎世界観の言葉を借りるなら「愛は行き止まり」という感覚。絶望に似た感覚の中でまだかすかに残る希望を探す苦しさ。これも知っていると思った。
そしてファミレスで2人が別れ話を出すシーン。
麦くんが「恋愛感情がなくなっても2人で家族になればいい。結婚しよう」と言い、絹ちゃんも同意しかける。
「(嫌いになったわけじゃないし、そんなものなのかな)」って自分に言い聞かせて納得しようとしていた。
でもそんな時、かつての2人のような若い2人が現れ、2人はそれを見てしまう。
そこで別れることを決めるシーンが切なくて苦しすぎた。まじで劇場でむせび泣いた。
たぶん2人は、これから普通の家族になるには幸せな瞬間を過ごしすぎてしまった。かつての2人以上の幸せはもうないとわかってしまったから一緒にはいられなかった。
あのシーン思い出すだけでまた涙が出てくる…。
結局、2人は別れてしまった。
2人の恋を主軸に描いてきた以上、この物語の結末だけ見るとバッドエンドになるのかもしれない。
でも私は本作がバッドエンドとは全く思えない。
2人が幸せだった瞬間、心が通じ合った瞬間、美しかった世界は確かにあって、それは本物だったからだ。
イヤホンを片っぽずつ分け合って聴くことをしなくなる出会いを体験したり(しかし面倒臭い大人。笑)、ふとした瞬間に思い出す相手として心に刻まれているのだから。
ずっと一緒にはいられなかったけど、恋は実っていたのだから。
まさに色とりどりの心が弾むような、花束のような恋がそこにあったのだから。
ちなみに本作、コンテンツの用い方もとても秀逸だった。
押井守(まさかのご本人!)、ショーシャンクの空に、魔女の宅急便(しかも実写)村上龍、今村夏子、宝石の国、ゴールデンカムイ、ゼルダの伝説などなどめちゃくちゃ「ああ、そういう感じね!その人はそういう人ね!わかる…!」という用い方をしてくる…!
社会人になった麦くんが「パズドラしかできなくなった」と言った時なんか、それだけで彼の置かれた心理状況がものすごくわかってしまった…。すごい。
別れ話をするハメに
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