1917 命をかけた伝令のレビュー・感想・評価
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全編ワンカットて?!
すごいものを見せつけられてしまった…!!!という感想しか当分出てこなかった!
草原をかけるシーンだけワンカットなのかとと思いきや、え、待ってこれ全編ワンカット…え???と、正直ストーリーよりもそっちに気がいってしまって、なんでIMAXで観なかったのかを激しく後悔。
ほんとびっくりした。
ロジャー・ディーキンスがアカデミー賞を受賞した時に調べてたけど、更に掘り下げてしまったw
ワンカットって限界があるなと思ってたけど、見事に限界を打ち破ってきたし、しかもそれを戦争映画でやってくるとは思わなかった!
ワンカットだとずっと三人称視点なのかなと思いきや全くそんなことはないし、そこにも驚いた…。こうやって振り返れば振り返るほどに「?????」ってなるのが凄すぎる。川のシーンは役者殺しすぎない?!w
メイキング付きBlu-rayお待ちしてます!w
ストーリーはわかりやすいので、他の戦争映画と比べると観やすいんじゃないかなと思った。でも絵が綺麗なので、苦手な人は厳しいのかな。
ちょいちょいベテラン俳優が映るので、はっ!?!てなるのもちょっと面白ポイントだった。
感情移入が過ぎる私は当然涙したけど、これは個人的にストーリー以上に観る価値がある映画だなと思った。
帰りに旦那に「そうか、これが作品賞じゃないのか…」とつぶやいたら、旦那が「自分は技術的な云々は分からないから、面白さで言ったらパラサイトかなと思ったよ」と言うのを聞いて、なるほどなるほど…と。
一代限りの戦場ワンカット体験
全編ワンカットというふれ込みだったが、ワンシーン毎ワンカットなんだろうと勝手に思い込んで観に行ったら、本当に全編ワンカットだったので驚いた。
勿論、ワンカットに見えるように作っているのだが、これにはとてつもなく緻密な設計図が用意されたのだと思う。
さらに言うと、実際にかなりの長回し撮影は行われていたと思うし、主演のジョージ・マッケイは文字通り出ずっ張りだったので、緊張感の高い撮影現場だったのではないかと想像する。
特に、出発地点と目的地の両方にあった塹壕の場面は、休息する兵士たちと戦いに突入しようとする兵士たちを見せる対の構成になっていて、圧巻の長回しだった。
このプロジェクトを指揮したサム・メンデスが監督賞にノミネートされたのはうなずける。
肝心の物語りも面白い。
1970年代以降、戦争映画には明確な反戦メッセージが求められ、兵士は被害者か、さもなくば犯罪者のように描かれてきたような気がする。
しかし、今なお最も人気の高い戦争映画だと言われている「プライベート・ライアン」は、過酷なミッションに挑む兵士たちの姿をとおして、英雄的な兵士の正しい描きかたを示した。
本作で描かれるミッションは、当初こそ主人公は受けるべき命令ではないと迷うのだが、その目的は明確で、誰かがやらなければ甚大な被害を被ることになるのもだった。最初は相棒として自分を選んだ親友に恨み言を言ったりしていたが、たった一人になっても、1600人の部隊を救うため、親友の勇気ある最期をその兄に伝えるため、諦めることなく任務を遂行する主人公は、紛れもない英雄だ。
戦場だから命懸けは当たり前かもしれないが、途中で断念して安全圏に逃避することもできたはず。敵の罠に見方たちが突入していく様を目の当たりにしても絶望するのではなく、決死の手段にでる姿に目頭が暑くなった。
こんな戦場のヒーローを示したのも、本作の評価に値するところだと思う。
そして、彼に次々と危機が襲いかかるアクションの構成が気を抜けさせない。これらの仕掛けも周到に練られていて、戦場サスペンスとしても見所は充分だ。
また、「…ライアン」には観客に戦場を疑似体験させる技術革新もあった。これ以降、戦争映画のリアリティは飛躍的に増していく。
戦場の恐ろしさを映像のリアリズムで表現できるようになったことで、ストーリーに幅を持たせられるようになり、戦争映画のテーマも広がってきている。技術革新の効果はそこにもあった。
本作では、進化した技術を裏付けとしたワンカットというアイディアによって、観客は常に主人公の間近にいるという演出がなされる。
戦場のスペクタクルを彼の肩越しに見るという、新たな戦場疑似体験だ。
全編ワンカット映画は、ヒッチコックの「ロープ」が恐らく最初の試みで、80分程度の本編で物語がリアルタイムに進行する画期的な企画だった。
考えてみれば、ワンカット映画はリアルタイム進行が当然なのだが、大抵はいつの間にか時間が跳んでいるもので、本作もそうだ。
そもそも編集という技術が開発されるまでは、シネマトグラフはワンカットだったはずで、劇映画の監督は多かれ少なかれ、その原点回帰本能で長回しに挑戦するのではなかろうか。
後世の戦争映画において、この手法はどんなにアレンジしても二番煎じになってしまう一代限りのものだろう。
そういう意味で、我々観客は歴史に残る一作を「体験」できたのだと思う。
「1917」である必然性はなかった?
ストーリーを簡単にまとめてしまうと「舞台は第一次世界大戦。上官より重要な伝令を託された若き二人の兵士が最前線を越えて敵兵が潜んでいるかもしれない危険地帯を走り抜け味方へそれを届ける一部始終。その途上に遭遇する様々な困難を克服して…」といったところか。
他にも第一次世界大戦を扱ったドキュメンタリー映画が同時期に上映されており、この時代への世界的な見直しの風潮があるのだろうか。
観賞の途中からいくつかの雑念が頭をよぎった。(雑念が生じたのは私がこの映画に没入していない証左である。)
雑念①
この映画の舞台は「1917」でなくてもよいのではないか?
雑念②
この映画は「戦争映画」でなくてもいいの ではないか?
雑念③
この映画は失敗作ではないか?
雑念①~③に対する自分なりの答えは以下の通り
答え①
唯一「1917」でなければならなかった事情で思い当たるのは、この時代に「スマホ」がまだなかったこと。スマホがあればチャチャと電話して上官の重要な伝令を離れた部隊の長に伝えればよい。危険地帯を走り抜ける必要も時間的制約も無い。
答え②
「危険地帯」「時間的制約」「使命」
「友情」等々。いくつかの条件(具)を鍋にブッ込み火に掛ければそれはカレー味でも、塩コショウでもよかったなのでは?
わたしは戦争映画を観たかったのだが。
答え③
私の多くはない映画体験の中で断定するのは思い上がりかもしれないが、この映画は失敗したのか?と思う。
「ワンカット風に戦争映画を作る」アイデアに拘泥し視野狭窄を起こしたのではないか。
また取って付けたような凡庸なセリフ、カット、お化け屋敷のセットレベルの遺体。なぜここで?と思わせる戦場での一女性との心の触れ合い。
アカデミー賞を獲った「パラサイト」など観客を監督の足元にひれ伏させる映画は、やはり作品の全て、細部に「必然性」が宿っている。
マーケティングと「斬新なアイデア」を足したらこんな作品できました❗な感じがしてなりません。
1秒先が予測できない
地獄に次ぐ地獄
ワンカットで戦争モノが話題になった本作(実際には全編ワンカットでは...
ワンカットで戦争モノが話題になった本作(実際には全編ワンカットではない)
DOLBY CINEMAにて鑑賞。
たしかにワンカットもすごい。
でも映像”テク”など忘れてしまうくらいに絵力とストーリーが素晴らしくて映画の世界に引き込まれました。
ワンカットで撮るから映像がスゴい、だけでなく緊張感が持続する怖さがうまくでてる。
戦場では休まる時間が無い。これこそがワンカット風の1番の効果じゃなかろうか。
なんたって最初の5分が過ぎたら緊張感は常に70%以上。
さらに70%〜99%の間でうまく揺さぶりをかけるのが素晴らしい。
ここまで没頭した映画”体験”は久しぶり。
絶対に映画館で見たほうがいい映画!
ストーリーは”伝令を伝える”だけの超シンプル。
そのシンプルさのなかにしっかり物語性を持たせた無駄のないプロットに震えました。
ラストの◯に◯◯されてるとき見える◯とかまた素晴らしい。伏線が!
終わりも見事だったなー。
あとジョジョラビットのと対になるってのも面白かったなぁ。
主観となる国も反対。
戦争モノでも戦地だけがっつり描くのと一般市民からみた戦争を描く違い。
WW1とWW2の違いも。
そんな面白さありました。
配役と演技も素晴らしい。
主演ふたりは最初パッとせずに”どっちが主人公やねん”ってなる面白さ。ポスターとかでも明示しないのがうまいなぁ。
主人公は走り出してから最高のキャラに。
ホント素晴らしい表情と姿勢で走る。
あの必死さ!
2020年のベスト・ランニング賞候補。
そしてもちろん、ワンカット風撮影もすごい。
ってかとんでもない。
え?なんでその視点から撮れるの?場所なかったよね?ってなカットが大量。
またテクニックの見せつけになってないのが良いです。
自然と入ってきて、よくよく考えると”あれ?すごくね?”ってなる。
撮影賞も大々々々納得。
音楽の恐怖心の煽りもすごくうまい。
でも突然のびっくり演出とかはほぼ無いから苦手な人でも大丈夫。グロもそんなに。
ずっと緊張感があるのに最高のエンターテイメントになっている。
とりあえず何も情報入れずに映画館で見てほしい作品!
史実のような見せかけで、ストーリーはめちゃくちゃ
戦場での「伝令」は命令や報告を部隊の中枢、あるいは末端に順繰り伝える役割だ。
しかし、この映画では、電話線も切れて孤立してしまった部隊に、「敵ドイツの罠だから攻撃を中止せよ」っていう命令文を徒歩で何日もかけて前線に伝えに行くって英国陸軍のストーリー。
おかしな点1
この命令を受けるのは、二人の若い下っ端兵士(上等兵)で、将軍(少将か中将の旅団長か師団長)から直々に命令を受ける。こんな長い距離ならプライベートラインみたいに士官を含む、小隊で行くべきではないか?将軍が上等兵に直接命令ってのもおかしい。
おかしな点2
この命令を受けて、塹壕の中を突き進んで前線に近づくシーンがある。この映画のウリのワンカットの映像が素晴らしい?シーンだ。だけど、塹壕って敵と対峙して平行に掘ってあるのに、なんで塹壕を突き進んで敵に近づくの?
おかしな点3
出発する上等兵2人のうちの一人の兄は、その孤立した連隊に所属する中尉という設定。だから、兄のために一生懸命に攻撃中止命令を伝えるため頑張る。中尉という士官学校卒のエリートと、上等兵でたぶん招集されたような下っ端兵士が兄弟という設定がおかしい。
おかしな点4
孤立したのが「連隊」と言っている。連隊だけでも数千人いる(映画では1600人の設定)。こんな大所帯が孤立して、しかも独断で攻撃を開始するのがおかしい。孤立は包囲殲滅の危機にある。この連隊長はそもそも負ける戦いをしようとしている。
ほかの仲間の連隊は自分たちの塹壕の中で待機している。いっぽうで孤立した連隊がドイツに攻め込もうとしている。そんなバラバラな軍や師団あるかい?師団としての作戦もないの?
おかしな点5
飛行機(英国の戦闘機)が友軍機としてたびたび登場する。だったら飛行機で命令の入った「連絡筒」を落とせば済む話じゃないの?
おかしな点6
ワンカットを売りにしているための弊害なのか、泥土地から、トンネルくぐったら急に乾燥した岩や砂の土地になり、急に牧草地になり、場面の切り替えに違和感がある。
おかしな点7
舞台はフランス内であるようだ。廃墟となってかつて立派であった建物群がズタズタに壊れた町を通るシーン。第一次大戦でフランスでこんな市街戦って本当にあったの?無差別爆撃するような爆撃機がなかった時代に、こんなに町が破壊されることなんてあるのか?なんだか、戦争映画ではなくて、ファンタジー映画ようなシーンだ。
おかしな点8
やっとのことで、命令文を伝えたい部隊に到着する。だけど、連隊長のマッケンジー大佐は「どこですか?」ってそこらじゅうで聞き回っている。普通は将校から伝えてもらえばいい。
やっとのことで大佐の司令部に到着して、間一髪間に合いましたメデタシメデタシ。大佐の横にいる少佐がメタボなオッサンすぎる。少佐ならきっと参謀や副官でもっと若い頭よさそうなキャスティングにしろよ。
まじめに観るとバカバカしいですが、ファンタジーのような忠実な映像とフィクションのストーリーとして観るならまあいいのではないでしょうか。
リアリティと映像のすごさ
「西部戦線」のリアル体験。
若い二人の兵士が「作戦中止」の命令を伝えるために戦場を走り抜ける一日を描いた作品。戦争映画というと、激しい戦闘シーンがあったり、駆け引きや裏切りなど予想できない複雑な展開が見所のものが多いと思う。これは「単純」という意味では今までにない作品かもしれない。伝令の若い兵士はただ前に進むだけである。確かに、彼の視線で戦場を体験できるのはこの映画の一番の魅力である。そのリアリティを生み出すために、長回しのカメラワークや壮大なセットが実に効果的である。「ワンカット」の技法についてはさんざん語られているので触れないが、セットの作り込みには感心した。塹壕や廃墟の町は本物にしか見えない。大勢の兵士の動きも自然で戦場のリアリティがよく伝わった。
さて、戦場のリアル体験は素晴らしいが、それ以外にこの作品には何があるだろう。伝令はなんとか伝わったが、達成感はない。何度も死ぬ思いをしたのに誰もほめてくれないし、戦争はこれからも続いていくだろうという虚しさしかない。映画を見る時は、人間の醜さや美しさを見たいと思うのだが、ここにあるのは戦争の愚かしさだけである。映像的には画期的なものに仕上がったが、ドラマ性が感じられないのは大きなマイナス点である。
戦場から何かが伝わってくる
戦争や大人数の戦闘シーンをスタイリッシュにアクションとして表現するのもエンターテイメントとしてはアリだと思う。
ただしこの映画の撮影方法や
泥や、埃、死体、血、痛み、ネズミ、若い兵士達の絶望感の表現はこれまでみたほとんどの戦争映画とは違う。
大本営やゲームとは違う、戦場の一兵士の視点は、観賞後も言葉にできない余韻を残すと思う。
舞台作品のような芸術的戦争映画
第一次世界大戦で最前線に突撃中止を伝える二人の伝令。途中様々なアクシデントに出会い、間に合うか、間に合わないかのスリル&サスペンスは、エンターテイメントの王道とも言える。
評判の全編ワンカットについては、塹壕の中の手持ちカメラから、移動撮影(ドローンも使ってる?)、ネズミや飛行機のタイミングなど、余程の入念な準備をしたのだろうと感心する。ただし、その分、臨場感やリアルさより、技巧さを強く印象に受ける。廃墟の町の照明弾の中をさまよい、走り抜けるシーンは、光と影のコントラストが美しい。
戦場でありながら、緻密に練り上げられた舞台作品を観たような感覚。撮影、美術、音楽が一体となった総合芸術を感じさせる戦争映画。
バトルフィールド
ただ、町山解説は聴いていただきたい。
正直、ワンカットだかワンカット風だかを売りしている時点でモチベーションは低めだったがそれは大きな間違いだった!ワンミッション、その一部始終を捉えたこのドラマが結果ワンカット風になったのは必然だろう。間のびしてる場合じゃない、息つく間もないとはこの事を言うのだろう。
そんな展開に加え、スカイフォールで虜になってしまったサム・メンデス✖️ ロジャー・ディーキンスの映像美は後半の焼け跡と化した夜の街編でその姿を現す。そこからはもうひたすらスコを応援するのみ、観客全員がそうだったのでは。そしてついにたどり着いたその男がドクター・ストレンジとは!このキャスティング痺れる痺れる!
この状況でやられないのは不自然、と感じたシーンが何度か。007なら許すだろうが作品が作品だけに若干の違和感かなあ。
まあ、最高でした!
ワンカットが売り過ぎて
試写会で
"I know the way." 《生》死と隣り合わせの極限の場所で力強く感じて、突き動かされる、名もなき英雄誕生と希望のバトンにまつわる傑作。あなたは戦場の真っ只中へ放り込まれ、銃声はすぐ近くで響き渡る。シンプルなストーリーラインにキャラクターに感情移入てきる懐の深さがあり、終盤の戦場全力疾走シーンはそんな主人公の"決意"がまるで自分のそれのように感じられて、口ポカーン鳥肌ゾワーーの映画史上屈指の名シーン。心臓ドキドキ鼓動バクバク息することも瞬きすることも忘れそうなほど痺れた。監督サム・メンデス × 撮影監督ロジャー・ディーキンス名コンビ × そして一人でストーリーテラーを担うスコフィールド役ジョージ・マッケイはじめ総力戦全員試合で挑んだのがヒシヒシと伝わってくる役者陣/スタッフは、本作でスピルバーグ御大が『プライベート・ライアン』『シンドラーのリスト』で、クリストファー・ノーランが『ダンケルク』で成し遂げたように、またも戦争映画を更新してみせた。
陰影の撮影美と多彩なロケーション --- 「全編ワンカット」本作を語る際にこの要素を抜きにして語れない。それは例えばヒッチコックが『ロープ』で行ったような"疑似"ワンカットであり(物陰や寄り/パンあるいは爆発等に乗じて...フィルム撮影どうこうは置いといて無論戦場のコチラの方が難しいだろうが)、何なら途中の大幅時間経過でそれすらバサッと捨ててしまう潔さには逆に好感。それでも過酷な長回しであることに変わりはなく、そんな話題の撮影をしたのは変 = 画期的な撮影といったらこの人な名撮影監督ロジャー・ディーキンス御大。彼の撮影は1つの画に100のライン/感情を詰め込めるほど雄大/壮観で本当に見事すぎる素晴らしや。手法以上に技法、場所の使い方にも流れるようなカメラワークにも驚愕。劇伴、音楽も美しいばかりかその時々の感情/状況に寄り添うようにマッチしていて良かった。それに負けず劣らずの熱量/必死さ、どれほど入念な準備/リハーサルがなされたのだろうか。どこまで所謂台本やリハ通りか分からないが、誰かに当たって転ぼうがお構いなし。爆発は続いていく。ただ一枚の手紙を届ける、それだけのために。けど、それこそが希望のバトン。この伝令が次世代まで届くことを願おう。
走れ。スコフィールド成長と友情の記録としてもアツい圧倒的没入感/疑似体験! 彼はどうやら受け身な方の質で優しく、相手兵であろうと無闇やたらに殺したりはしないらしい。それは素晴らしいことなのだけど、本作途中で襲いかかる不幸。それが彼をより使命感という"行動"に向かわせる。だからこそ決断の一つ一つに観客もきっと自分を重ねることができるし、終盤に差し掛かる頃にはもはや他人事とは思えなくなっているかもしれない。抗う術なく降参、それくらい感情的にもよく練られている。このようにして歴史の教科書に載らないような名もなき英雄たちが生まれてたのだ、だからこそ今日の僕たちがある。ガッツポーズに安堵の表情、今日はよく眠れそう。草原にはじまり草原に終わる。「これが実話なんて!」というのはよくあるけど本作はスゴいのに「うん、これは実話だろうな」と納得できてしまう丁寧なドラマツルギーと臨場感。
THE LAST MAN STANDING 《希望のバトン》と表現したのには別の意味もある。要所要所でお助けキャラみたいに出てくる上官キャラ演じる面子が豪華すぎる! と、改めて英国演技界役者の層の分厚さに唸る。
コリン・ファース → アンドリュー・スコット → マーク・ストロング → ベネディクト・カンバーバッチ → リチャード・マッデン
P.S. 結局オリジナルの宣伝とタイトルをそのまま持ってきた方が良い宣伝になるという例?
戦争映画の新たな傑作か
一体どうやって撮ったのだろうという映像に、自分も戦場へと連れて行かれました。
前線への伝令を引き受けた2人の若き兵士。
これまでは大抵、無事届いた伝言がボスの前で読み上げられる場面しか観たことがなかったような気がします。特に時代劇(^^)。
本作は決死の覚悟で無き道を進むerrands目線という点で新鮮でした。
この間観たドキュメンタリー “They Shall Not Grow Old” とほぼ同じ戦地が再現されていて凄いなと。本物のno man’s landはドキュメンタリーにほとんど映っていなかったのですが、本作での映像はきっと限りなく現実に近いのだろうと思えました。
ぬかるんだ地のあちらこちらに埋まる腐敗した兵士の亡骸。その上を覆う肥えたネズミとカラスの群れ。もうこの世とは思えない、まるで黄泉の国。
目的地までの道中では、戦争や勲章の意義が象徴的に問われていて、時折ダレるような感じもありましたが、“Apocalypse Now” でのヌン川沿いの旅や、”The Deer Hunter”の死に物狂いの挑戦、“El Alamein” の幻想的な夜や、”Barry Lyndon” の可愛い赤ちゃんなどが、頭の中を駆け巡りました。これまでの戦争映画のエッセンスが適度に含まれているように感じました。
後半は地図も見ずによく方角が分かるなという気になりますが、敵への攻撃というこれまで重視されてきた戦闘描写でなく、味方に司令を届けるというひとつの任務だけにフォーカスすることで、戦地を移動しながら臨場感を味わえるものとなっています。IMAXでは音楽がズンズンと攻めてきます。
一方で各自の心情変化などは典型的で薄っぺらく、故郷に対する主人公の複雑そうな心境が分かりにくかったです。
平和はもちろん、電話のありがたみもつくづく実感致しました。
"Down to Gehenna or up to the Throne,
He travels the fastest who travels alone."
“The Winners”
An envoi to ‘The Story of the Gadsbys’
Rudyard Kipling
VRのような映像体験ができる‼︎
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