「全編ワンカット撮影」1917 命をかけた伝令 藤崎修次さんの映画レビュー(感想・評価)
全編ワンカット撮影
この作品の最大の宣伝文句であるこの手法、見ている側の没入感を高めるという点では非常に効果的だと思うが、ともすれば、バトルロイヤルゲーム(例.PUBG、荒野行動 etc.)をしているような感覚に陥って、安っぽいB級戦争映画の扱いをされかねないリスクもあったろう。
そういう意味では壮大なる賭けであったとも思う。でも、そうさせなかったのは徹底的にリアリティーにこだわったからだろう。
塹壕・トラック・戦闘機・戦闘服などは第一次大戦当時のものがよく再現されていたし、爆撃で上がる煙や累々と積み重なる屍も戦地の実態を充分に伝えている。
もっと細かい点では、英国とフランスでドブネズミのサイズが違うなんてことまで。
戦争映画にありがちな合間に織り交ぜた人間ドラマの部分を濃密にし過ぎたばかりに、かえって戦地の緊迫感を削いでしまったというようなことが無いのもむしろ好評価。その辺のバランスは非常にいい。
終盤で流れた「Wayfaring Stranger」もエモーショナルで耳に残った。
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