ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像のレビュー・感想・評価
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名画にサインがなかった理由
良い映画だと思うが、結局名画も売れず、娘とも仲直りできず、死んでしまう主人公はなんとも切ない。
淡々としていて盛り上がりに欠けるが、オークションで名画を落札するシーンと、後でその名画にサインがなかった理由が美術館からの回答を受けた時はちょっと感動した。
隠れた名画を探し当てた老画商の奮闘を描くヒューマンな佳作
NHKがずいぶん前に放送したドキュメンタリー『スリーパー・眠れる名画を探せ~イギリス美術界のシャーロック・ホームズ~』の紹介文によると、「行方不明の名画、巨匠のタッチに上塗りされた名画、継ぎ足され正体不明になった名画・・・。これらスリーパーと呼ばれる名画を探し出す天才的な画商たちがいる」という。
本作の主人公の画商は市中のささやかな画商だが、それでもスリーパーを発掘することは生涯の夢なのだろう。店を畳む寸前の年老いた画商に、そんな夢を掴む機会が訪れたらどうするか――本作はそうした老年の夢の実現と障害、縁遠くなっていたのにそれに巻き込まれた家族との関係を描いた作品である。
老画商がオークションで絵画を仕入れたり、同業の友人と情報交換したり、絵画購入代金の支払いを滞らせて相手に侮られたり、インターンで仕事の手伝いをさせる羽目になった孫に手を焼いたり…ごく普通の日常が、丹念にいい質感といい色彩で描かれている。
そして、運命のスリーパーとの出会いがあるわけだが、それが果たして本当の名画なのか、単なる勘違いなのか主人公にもなかなかわからず、オークションで半分ギャンブルのように高値を付けて手に入れる。
そして、それを莫大な金額で転売しようとしたら、断られてしまうではないか。やはりアレは贋作か何かなのか…と観客がハラハラしていると、そこに1本の電話が…。
話の内容も飽きさせず、最後まで引っ張り、お定まりのヒューマンな結末へ。佳作である。
北欧独特の空気感の見える秀作
地味に心にしみる良い作品
奥行きの深い染みる映画
フィンランド映画ってこう来るか
冒頭のピアノ曲から、好き系の映画だっていう安心感を抱く。期待を裏切らない作品。この作品、ハリウッドなら山場がまったく違うんだろうなと何度も思った。歓びやカタルシスはこのフィンランド映画にとっては、けして重要じゃない、そこじゃないんだ。
救いようがないような商売への執着、家族との溝、失意、人生は楽じゃないって思い知らされる。でもけして、何もないわけじゃない。幸運を祈るって言い残す相手がいるのだから。
サインのなされない絵画がそのものが聖画だったように、何も残してないように思える人生でも、きっと何かあったのだ。口笛を思わずふきたくなるような歓びが。
どんなに年老いても人は一攫千金を夢見る!
人生の苦さ惨めさが身に染みるけれど、地味だけど良い映画でした。
(フィンランドの2018年作の映画です)
老いたる画商・オラヴィが最後に一万ユーロを工面して買った署名のない名画。
「キリストの肖像画」
果たして本当にイリヤ・レーピン作なのか?
はたまた贋作なのか?
オークション場面もハラハラしたし、サスペンスもそこそこあります。
フィンランドのヘルシンキで美術商を営むオラヴィが15歳の孫のオットーと、一攫千金を夢見て奮闘する姿は、悲しくもみっともない。
だいたいに、一万ユーロの工面が出来ないって、どう言うこと?
たった百二十万円ですよ。
友だち、公的機関、貴重品を売り、挙句に孫のオットーに投資を持ちかけて、
オレオレ詐欺の孫だまし娘だましとは?
(福祉国家フィンランドでは貯蓄はまったく必要ないらしい・・・羨ましいと言えば羨ましいですが、)
でも窃盗の履歴のある問題児のオットーだけど、意外と役に立つし可愛い孫なんですよ。
家族の絆を思い出しただけでも、オラヴィは人生勉強になったと思う。
シングルマザーの娘や孫の方が、よっぽど人生を知っているのね!!
それにしても、だだっ広い店舗に《絵画の山》なのに金目のものが一つも無いって、
オラヴィ爺ちゃん、あまりに目利きでなさ過ぎるよ。
苦い人生だけど、そこはかない人生訓もあって、
《お金より地道に家族を愛せよ!!》
って映画でした。嫌いじゃないです。
生まれてくる方法はひとつしかないのに死に方は幾通りもあるのだ。
フィンランドの映画というやつを初めてみた。
年老いた画商の末期。絵画の売り買いを生業として生き抜いてきた老人。自分の目利きの優秀さをとことん信じ切ることができずにこの業界で年月だけを重ね、過去の小さな成功と失敗を反省するわけにもいかず肯定さえもできずこの歳まで生き抜いて、生き抜いてきたことだけを自慢に画商仲間とカフェで談笑していることが日々の愉しみ。そんな風情が絡みついた老人。
演じるのはとても厄介なことだったろう。しかし、見事に演じ切っている。実にあっぱれ。
映画が始まってすぐに主人公は最後に死ぬと思った。そして、どんな死に方をさせるのだろう・・と、そんな考えに取りつかれて最後まで見てしまった。
ビジネスと生きがいは相容れないことは十二分に理解しているはずだけれど、この老人には最後のディールを成功させてやりたいと強く思ってしまった。
人の一生は80%が後悔。と、するならば20%は肯定できる瞬間があると言うことなのだ。しかし、その瞬間を生きているあいだ、もしくは死に際にでも味わうことができれば最高に良い人生だったと言えるはずだ。この映画の唯一の救いは、主人公が日々の何気ない暮らしの一コマの中で口笛を吹きながらこの世を後にしたことだけだ。
このような死に方が、やっぱりいい。
常に生死の境目で生きているような感覚
美術商という職業は、常に生死の境目で生きていることなのだと感じさせられた。
「これは価値がある」自分自身がそう思ったら、それを最後まで貫き通す信念がいる。そして自分の全てを投げ打っても構わないと言わんばかりに、絵に全身全霊を欠けられる。それほどまでにアートに魅せられている。美術商とはいわば絵の「狂人」なのだと思った。
オークションのシーンなどは特にハラハラさせられ、手に汗握っていた。オラヴィが名画と疑わないあの絵を落札してからは、作中に漂う不気味な気配と落ち着かない挿入曲…見ていて常に胸騒ぎがするような感覚に常に襲われた。
最終的に、美術館からの連絡により自分の美術商としての目利きが正しいと分かったこと、そして孫からの心からの感謝(賞賛)があったことが、彼にとっての救いになったのではないかと思え安心した。
最期に大きな取引に果敢に挑戦できたことは、彼の長い美術商としての人生の幕引きとしては十分及第だったのではないか。最後に絵画を飾り始めていたシーン?を見る限り、おそらくこれからも美術商としてやっていくつもりだったのかと思うと少し寂しいが…
聖画
面白い
ディールの場面はなんかドキドキ
ヘルシンキの町並みと名画
心に残る映画です
良くできた嘘の話
孫と老画商の交流の話としては良く出来ている。しかし原作かシナリオか分からないが脚本に関して言えば、美術業界の事に関しては素人がシノプシスを立ててるようだ。レーピンの絵を手に入れてからの顧客へのアプローチが杜撰すぎる。その位の絵であるなら同時になぜ美術館に先に鑑定に出さないか?顧客以上に興味を示すはずである。美術館が購入せずとも贋作のそしりを被ることはなくなる。孫の機知によって辛うじて美術館に問合せをしているがメールが出来なければファックスでするはずである。画商としての主人公の立ち振る舞いがキャリアがある設定になっている分不可解である。最後にこれだけは言っておくが孫と娘との交流、そして仲間との友情に関しては良く描けていたと思う。
題材が珍しいヒューマンドラマ
破滅型?の画商が孫の力も借りて名画に辿り着くが如何に、という筋。
そこにお金の苦労話が絡むわけだが、ちょっとそこの比重が大きい。なのでいい話であるのと同時に惨めな話でもある。娘、孫、友人に借金する。額も微妙で1万ユーロだから約130万円とか?中盤はその金策ばかり。。
でも題材が珍しいヒューマンドラマとしておもしろく観れたほう。観た感じ細かい指摘するような内容でもないかな。
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