「すばらしき世界のひとつの有り様」すばらしき世界 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)
すばらしき世界のひとつの有り様
役所広司はさすがの演技力でぐいぐい引き込まれた。中野太賀も不器用で実直な青年を演じていてとてもよかった。長澤まさみは、実はこの映画を見ようと思ったひと押しだったけれど出演時間はあまりなかった(目立つから主役でない限りはこのくらいがいいのかな)。
刑務所から出所した人間が堅気の世界に戻って四苦八苦する様子。周囲にとても恵まれて、現実はあのような恵まれた環境にいることができるのかなと思ってしまう。顧問弁護士、役所の担当員、TVディレクター。彼らがいなかったら、ほぼ間違いなく、ヤクザの世界に戻っていったように思う。
感情を押し殺し、いっときの怒りもやり過ごし、平穏に生きようとする堅気の世界の窮屈さ。それをすばらしき世界と呼んでいるような、そんな風に受け止められる。それをヤクザの世界のような暴力に訴えるのでもなく、平穏なやり方で見過ごしていかないようなそんな努力も必要なのかなと思った。それにしても、周りの暖かい人たちには感動させられる。あんな仲間をもちたいと思える。
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