劇場公開日 2021年2月11日

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「幸福の定義を問いかける西川美和の傑作」すばらしき世界 大塚史貴さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5幸福の定義を問いかける西川美和の傑作

2021年2月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

西川美和監督はオリジナル脚本にこだわり続け、これまで活動してきたが、今作は長編映画としては初めて手掛ける原作もの。
佐木隆三が実在の人物をモデルにつづった小説「身分帳」が原案だが、舞台を現代へと移している。人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男にとっては、現代ほど生きにくい世の中はないのではないだろうか。本編でも不寛容な社会が描かれており、正義感が強く直情的な主人公・三上(役所広司)は、いたるところで壁にぶち当たる。劇中であっても珍しい、役所が声を荒げる光景を目の当たりにすることができる。シリアスなだけではなく、くすりと笑える描写も多々ちりばめられている。散々な状態のときにこそ、思わぬ人から温かい言葉をかけられた経験は、誰にだってあるはず。行きにくい世の中にあって、三上は幸福を探し出すことが出来たんだろうか……。とにかく劇場でご覧いただきたい作品。

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大塚史貴