許された子どもたち

劇場公開日:

許された子どもたち

解説

「先生を流産させる会」「ライチ☆光クラブ」の内藤瑛亮監督が、実際に起きた複数の少年事件をモチーフに、構想に8年の歳月をかけて自主制作映画として完成させたドラマ。とある地方都市。不良グループのリーダーである中学1年生の市川絆星は、同級生の倉持樹に対するいじめをエスカレートさせ、ついには彼を殺してしまう。警察に犯行を自供する絆星だったが、息子の無罪を信じる母親・真理の説得により否認に転じる。少年審判は無罪に相当する「不処分」の決定を下し絆星は自由を得るが、世間では激しいバッシングが巻き起こる。そんな中、樹の家族は絆星ら不良グループの罪を問う民事訴訟を起こすことを決意する。

2020年製作/131分/PG12/日本
配給:SPACE SHOWER FILMS
劇場公開日:2020年6月1日

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(C)2020「許された子どもたち」製作委員会

映画レビュー

4.5観る者も血を浴び、胸えぐられる

2020年7月12日
iPhoneアプリから投稿

 こんなに前情報を入れてから観た映画はないんじゃないかと思うくらい、長らく上映を待っていた作品。ようやく、出逢えた。予告動画を数え切れないくらい観て、もしかすると、本篇を観なくてよいのでは…なんていう不届きな思いも、少しだけあった。けれども冒頭数分で、やっぱりスクリーンこその味わい、映画館で観るべき作品!という確信が。そして、あっという間の131分。音を、画を、五感全身で浴びまくった。重低音の不穏な響き、黒ずんだ血に、(そして赤くどろりとした食べ物に、)心地よく打ちのめされた。
 予告等の印象では、母親のモンスターぶりが強烈で、身につまされないかと観る前は少し気が重かった。けれども、そんな心配は全く無用。彼女がぐいぐいと突き進む姿は、むしろカッコよく、一生懸命すぎて笑うしかないシーンもあった。ハタから見れば毒親、共依存親子かもしれない。でも、だから何だというのか。失速することなく子と走り抜け、いつしか抜き差しならない共犯関係になっていく過程は、子を大事に育て守ってきた親とすれば、ごく当たり前。だからこそ息苦しく、悲しくなった。親だから、というエネルギーと気迫に裏打ちされた言動に、当事者以外が安易に口出すなど、とてもできない。だからこそ、彼女の孤立が深まってしまう。社会からも、家族の中でも。
 母が奮闘するほどに、居場所を失い、窮地に追い込まれる絆星は、解決の糸口が見出せない。そんな中、転校先で出会う桃子の存在が光った。彼女は特別でも何でもなく、周りに合わせない・浮いた存在。かと言って、周りを見下すわけでも、甘んじるわけでもなく、彼女なりの強さで自分を貫いている。絆星とは対極の彼女が、彼と心を通わせる瞬間に、観る者もじんわりと救われた。
 どうしようもなくなった二人の道行きは、切ないけれど、かすかに甘い。だからこそ、彼らがたどり着いた果ての絶望が、深い。予告画像では美しさを感じた絆星のシルエットが、これほど悲しみに満ちたものとは、思いもしなかった。呆然としながらも、何も見落とすまいと、必死で目を見開いた。
 安易な和解や救いを寄せつけない、不敵な幕切れ。それは一見、絆星や母親が「閉じた」証と取られるかもしれない。けれどもそれは、罪の重みに気づいたから、と私は思いたい。警察官が脅しのように使った少年院でも、子供たちはご飯を食べ、時に笑い、日々の生活を営みながら、それぞれの闇と向き合っているはずなのだから。絆星にも、まずは日常を取り戻すことが必要だ。道は、長い。

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cma

3.5加害者になるとはどういうことか

2020年9月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

事件には被害者と加害者がいる。ニュースを見た時に多くの人が想像するのは、「自分や家族が被害者だったらどうしよう」ということだろう。反対に、自分やその家族が加害者になることを想像する人は、相対的には少ないだろう。
だからこそ、いざ自分の子どもが加害者になった時、どう対応すればいいのかわからない。実際、自分が加害者であることを想像することは大変なストレスである。被害を受けるのも大変つらいことだが、加害者となった時のそれは質が異なる。
この映画は、加害者側を徹底的に描いているのが良い。加害者になることを想像できない(したくない)我々に代わって、加害者になるとはどういうことかを教えてくれる。
事件後、少年の家族は逃げるように引っ越すことになる。名前を変えてもばれてしまう。いじめで殺した側だった少年が今度は世間からいじめの対象となる。これを単に「因果応報」としてしまっていいものかどうか。このいじめの連鎖はいったいどこまで続くのだろうと暗澹たる気持ちになる。加害者がいるから被害者が出る。加害する心理は本当は誰でも理解できるはずなのだ。この映画が示すように、誰もがいじめたい欲望を抱いているのだから。内なる加害の欲望を自覚して初めて、それをコントロールできるようになり、加害を止められるのではないか。

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杉本穂高

諸悪の根源は犯行を覆させた弁護士と何も分かっていない製作者

2024年10月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.0未成年だからこそ

2024年9月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

有罪にして罪の重さ、1人の人生と未来を奪った事、命の大切さ、被害者家族の人生をも壊してしまった事の重大さを思い知らせなければならないと思う。
10代で人を殺して苛まされない奴ならば更生なんか無理でしょ。
親もそれでいい訳ないと気づきなさいよ!と。

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クゥラン