ソウルフル・ワールドのレビュー・感想・評価
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不安や強迫観念に取り憑かれる現代社会。「生きる意味」に囚われすぎ、苦しむ人の心を解放してくれる作品。
ピクサーの長編映画としては、同年に上映する『2分の1の魔法』に次ぎ1995年公開の『トイ・ストーリー』から数えて23作目。元々アメリカでは2020年6月9日に、日本では2020年夏に劇場公開される予定でした。しかし、新型コロナウイルスの影響で延期となった末、2020年10月8日劇場公開を断念。2020年12月25日にディズニープラスにて公開という形に変更されました。
本作は、人間が生まれる前に「どんな自分になるか」を決めるソウルの世界を舞台に、そこへ落下したジョー・ガードナーとソウルの世界に住む22番の2人を主人公に据え、ジョーが地上へと戻るために2人が繰り広げる冒険を軸に、人生の素晴らしさや煌めきなどといったことが深く描かれています。
●ストーリー
ジャズ・ピアニストを夢見る中学校の音楽教師ジョー・ガードナー( 声:浜野謙太)は、ある日ニューヨークで1番有名なジャズ・ミュージシャンドロシア・ウィリアムズのジャズ・クラブで演奏するチャンスを手に入れるが、浮かれ気分で街を歩いている最中にマンホールへ落下してしまいます。
ジョーが目を覚ますと、人間が生まれる前に「どんな自分になるか」を決めるソウルの世界におり、彼自身もソウルの姿となっていたのです。この世界にいるカウンセラー・ジェリー(声:北西純子のほか複数)に話を聞いたジョーは「人生の煌めき」を見つけ、通行証を手に入れれば地球に戻れることを知ります。そこでジョーは人間嫌いで何百年もの間地上に行くことを嫌がっていたソウル22番(声:川栄李奈)をメンターとして相棒にし、奔走します。
手始めに2人は22番の知り合いのムーンウィンド(声:福田転球)というソウルを頼ります。彼は迷子になったソウルたちを救済する活動をしていました。地球の病院で昏睡状態になっている自分の体を見て焦ったジョーは、過誤により傍にいた猫・ミスター・ミトンズの体に入り、逆に22番がジョーの体に入ってしまいます。
地上にいる人間のムーンウィンドを探すべく病院から逃げ出した2人でしたが、初めての現実世界に22番は怯え混乱します。なんとかムーンウィンドを見つけましたが、ジョーを地上に帰すことができるのはその日の6時半であり、それまでに準備を整えることにします。地上での生活を経験していく22番は、この世界での「煌めき」を感じていくのでした。
そんな中、約束の6時半になるも地上をすっかり気に入りソウルの世界に戻りたくない22番はジョーの体に入ったまま逃げ出してしまうのです。しかし、ジョーを探していたソウルの計算係・テリー(声:宮本崇弘)に見つかってしまい、ジョーと22番はソウルの世界へ連れ戻されてしまいます。
果たして、ジョーは現実世界に戻れることができるのでしょうか?
●人は永遠の旅人である
かつて盛岡へ行ったとき、知人から宮澤賢治の生家を紹介されて、立ち寄ったところ、その日はなんとまだ存命中だった賢治の弟の清六さんがお元気で、お話しをお聞きすることができたのです。清六さんが語るには兄はいつも農業学校の教壇で、「人は永遠の旅人である》ということを繰り返し語りかけていたそうなのです。人の死が終わりではなく、また地上に生まれては、経験を積み、その経験を元に次の人生の旅の支度をするのだということでした。
こういう転生輪廻の考え方の大事なところは、人間は偶然に地上に生まれてくるのではないことと、死が終わりではないことの2点です。こういう考え方があればこそ、青年は熱く大志を抱いて挑戦を繰り返し、老いてもなお希望を捨てずに生き抜いていける源泉となるものです。その点唯物論者が晩年にさしかかったときの、絶望感と死への恐怖感はなんと痛ましいものでしょうか。
その点本作は宗教臭くなく、日常宗教に縁がない人でも、親しみやすく魂が転生することを語りかけてくれます。しかも凄惨なシーンは皆無のファミリーアニメなので、ご家族での鑑賞にピッタリです。本作をお子さんと一緒にご覧になれば、お子さんが反抗期に入って「産んでくれなんて頼んだことはないぞ!」と言いはじめる前に、親子の縁は偶然ではないことを伝えておく予防線となることでしょう。
●「人生のきらめき」を見つけること
本作の大ききなテーマは、「人生のきらめき」を見つけること。それは一瞬一瞬の連続した日常生活での輝きのことです。人生や日常における楽しみや喜びのことです。主人公のジョーもこの冒険の中で、日々の普遍的な生活こそが自分の人生の「きらめき」であったと気づくのです。宗教的に表現すると、過去・現在・未来を一括する「久遠の今を生きる」ということになります。
人生とは一生の問題集であるという考え方もありますが、あまりに「生きる意味」に囚われすぎると「人生で何か夢を見つけなければ意味がない」という思いはいつしか強迫観念になり、自分らしく生きることの大切さを見失うかもしれません。
「生きる意味」を考えることは大事なことですが、時に囚われて焦る心を落ち着けるため、日常における楽しみや喜びに目を向けてみることも大事なことではないでしょうか。 きっとそうすることで、坂本龍馬のような幕末を揺るがす大きな心の疼きに気がついたりするものです。
●全編にジャズ
主人公がジャズ・ピアニストを夢見る中学校の音楽教師であり、ニューヨークで1番有名なジャズ・クラブで演奏するチャンスを手に入れる設定から、全編でバックにジャズが溢れる作品になっています。冒頭の中学校の音楽室で主人公が教える生徒たちによるビックバンドでの演奏の下手っぴぶりが傑作でした。プロがあれくらいヘタっぽく演奏するのは、逆に難しかったのかもしれません。
ところでそのニューヨークで1番有名なジャズ・クラブの看板をはっていたのが、ドロシア・ウィリアムズ・カルテットです。4人目のピアノ・メンバーは欠員状態となってしまい、主人公のジョーにチャンスが訪れることになりますが、そのカルテットの演奏シーンが、まるで実写の演奏と見まがうくらいリアルでした。
特にリーダーのドロシアがサックスを演奏するシーンでは、サックスの質感や指運びの描き方が、まるで実写かと思うくらいのディテールでした。
深いテーマ
いつものようにピクサーのCGアニメーションのクオリティーはさすが。
かなり深いテーマを扱っているのだけど、その前提として、魂の永遠性や死後に光に入っていくこと、輪廻転生の考え方があって、これって普遍的に受け入れられている考え方なのだろうかと疑問に思った。
ピクサーは世界がマーケットなので、そこにはキリスト教や仏教、イスラム教などさまざまな考えがあって、それらと齟齬を生じる可能性があるのかなと。
自分的にはまあこんな感じなのかなと、特に違和感はなかったけど。
生きる意味については、主人公のジョーは、若くしてジャズにそれを見出すのだけど、こうした自分の生きる道を明確に見出せる人は多くはないのではないか、むしろ少数派ではないかと思う。
大多数の人は、お金のために会社に与えられた仕事をなんとなくこなしているだけで、自己実現なんてものは極めて希薄なのではないかと。
幸い、自分は人生をかける目的を見つけることできたけど。
私もジャズ大好きだから、生まれ変わったら来世はジャズピアニストになりたい。
迷って真っ黒いモンスターになってしまう魂に、ファンドマネージャーが多いというのが、なんかツボで笑ってしまった。強欲な拝金主義者は迷いの道へ。
ユーセミナー(生まれる前の世界)
人間の生まれる前の世界を舞台にして描いた長編アニメーション。ジャズミュージシャンに憧れている主人公が突然マンホールに落下してしまい、ユーセミナーに迷い込んでしまうとういう冒険物語。人間の生きる意味や目的を上手く表現していて大人でも十分楽しめる作品に仕上がっている。
2024-70
娘のオススメやっと見ました
美しい‼️
自分がいる世界はどんな場所か
導入が・・・
一芸に秀でよ、さもなければ人であらむ。そんな風潮に一石を投じる
「きっと何者にもなれないお前たちに告げる。」
とあるアニメに印象的で有名なセリフがある。主人公やその周囲が何者にもなれないことを憂うところから物語が始まることは多い。そして、何かきっかけを経て、何者かになるまでの物語を私たちは楽しむ。
ソウルフル・ワールドも主人公が夢半ばで魂(ソウル)の世界に行き、そこで人生のきらめきが見つからず、どんな自分になるかを決められない22番という魂に出会うことで物語が始まる。
主人公は試行錯誤するも22番の「人生のきらめき」が見つからない。紆余曲折の末、主人公が辿り着いた答えに心がスッとした。
何者かにならなくては、と生きることに意義を探す私たち。呼吸して、青い空を見上げる、本当はそれだけで輝いて生きているってことを忘れてしまいがちな現代人にぴったりのデトックス映画。心洗われて劇場から出てきた。
今回は吹替版を劇場で鑑賞。
22番ちゃんの声を演じる川栄李奈の演技もあって、22番の切実な感情がすごく伝わってきた。本職声優じゃないんだけど、違和感なかった。先日の舞台版『千と千尋の神隠し』での演技もすごかったし、実力派として今後も様々な分野での活躍を期待。
才能を活かせず、妥協を繰り返しただ無難にやり過ごす毎日。無意味な人...
大人だからこそ刺さる物語
コロナ禍で浸透したものの1つに動画のサブスクサービスがあげられる。オリジナル映画・ドラマの存在も大きかったが、コロナ禍で必要性が増した事が大きかった。映画館で観てればいいって時代ではなくなった。本作はそんなコロナ禍で劇場公開が見送られた映画の1つ。とても楽しみにしていたが、(理由はないけど)Disney+に入りたくなくて泣く泣くスルーしていた映画だ。だから今回の劇場公開は嬉しかった。ただ正直に言えば字幕版で観たかった。
本作は、プロのミュージシャンを目指すジョーが、憧れのカルテットに参加してライブすることができるチャンスをつかんだその日に命を落とし、迷い込んだ世界で出会ったソウル(22番)と現世に戻ろうとする話。ジョーが魅せられた音楽がジャズであること、死後の世界を描いていること、夢を追い求めることの意味を問いかける。内容を考えると完全に大人向けの映画に見える。実際、問いかけられるメッセージは大人にこそ響くような気がしてしまう。
生きることの意味、人生の目的、命をつなぐことを伝えてくる映画だが、結局生きてるってだけで素晴らしいし、世界は美しいってことにつながるんだと思う。それはこの先の人生が長い若者よりも人生を折り返した大人の方が刺さってしまう。
22番のソウルとのやりとりも奥深い。大人の価値観でこうに決まってるって決めつけられた子どもの気持ちが描かれていることにハッとさせられた。子どもの可能性を大人が狭めていいはずがない。大人の皆さん、こんなことしてませんよね?と問いかけられた感じがする。ピクサーっぽいなー。
なにげに、ソウルの世界を管理するジェリーたちとテリーの存在も印象的だ。線だけで描かれるピカソの作品のようなキャラクターは、神とは違うが妙な怖さを感じてしまう。ディズニーアニメとしてはかなり異色だと思う。あんなキャラクターよく考えついたな。
ジョーの身勝手さもわかるし、22番の命に向き合ったところも共感する。もう次につなごうと考えてしまう年頃なんだよな(ジョーが何歳なのかはわからなかったけど)。それでもジョーの最後のセリフに泣かされてしまうんだから困ってしまう。いや、この年だからこそ最後のセリフに流されてしまうのかも。
ピクサーの懐の深さには驚かされるばかりだ。よくこんな映画を作ろうと思ったな!
ディズニー流人生の哲学
もう既に、海と同じ水の中
友人にオススメされてずっと観たいと思ってて、でも配信系で見ようと思っても2500円くらいで購入しないといけないし、って感じで見れてなかった。そんな時に上映!めっちゃラッキー!映画館で見れるなんて!
PIXAR作品を映画館で見るのは久しぶりで、映像の綺麗さ・リアルさに驚いた。え?実写?ってなる部分多々。人の動きとかも細かいね〜〜色使いも。
前情報として「結構スピリチュアル」みたいなのは聞いてて。
そこが気になっていた。「PIXAR、ディズニーが描くスピリチュアルってどんなだ?」
魂の行き場、生まれる場、みたいな世界。
アーティストがゾーンに入った瞬間、瞑想してゾーンに入る瞬間、
そういう魂が、あちらの世界に入っていってる、って描き方もおもしろかった。
「ゾーンに入る」とか、世間でなんとなく表現されてることをイメージとして見せてくれた感じで興味深かった。
もともとは生き生きしてた魂が、義務感やプレッシャーで押しつぶされそうになってる状況、それをあの世界では砂漠を彷徨ってるモンスターになってるのも、うんうん、と納得だった。
一番印象的だったシーンはやはり、主人公が長年の夢だったステージを終えた後のシーン。全ての夢が叶った瞬間。
「これから僕はどうなるの?」
「また明日も、同じことをするのよ」
「...夢が叶ったら、もっと違う感情になるのかと思ってた」
みたいな会話。ここもすごく納得した。
夢・目標は、すっごく素晴らしいしパワーをくれるのだけど、「点」なのだ。実は、その「点」に至るまでの過程・渦中の時間=「帯」も含めて、
もう夢の時間を味わってるのと同じこと、だったりするのだ、ということ。
(言葉にするのむずいけど、感覚的にすごく納得したのだ)
その後の会話。
ある魚は言った
「どうしても海に行きたいんだ」
「でも今も水の中にいる。海も同じだ」
「海じゃなきゃダメなんだ」
この映画全体を通してのメッセージ、それは「今、生きてること、とは」
生きていると、
生きてることに意味を見出そうとするし、
目標のために頑張ってないといけないような気がするし、
目標を達成すこと・夢を叶えることこそ、生きてる意味だ(叶えていない今は、意味がない)などと、
無意識のうちに、そんなことに縛られて生きていて。
主人公が、念願の夢が叶った後、おそらく虚しさ?を感じていた。
自分が今までずっと頑張っていたのは、ここに達成するためだったんだよな...嬉しいけど、そこまで、幸せ!!!!!!!!!!ってわけじゃないんだな。みたいな。
夢・目標はもちろん大事だけど、過程が「苦しくて辛いだけ」だと、叶った時虚しくなる、んだと思う。
夢を叶えるには努力が必要だ。でも勘違いしてはいけない。
「楽しいからしんどいことも頑張れる」と
「楽しい気持ちになるために、今はしんどいことも耐えて頑張る」は
違うということ。
後者だと、
主人公がそうだったように、夢が叶ったとき「あの辛さに対してこれぐらいの喜びか」って虚しさを感じるのと、
次の目標を掲げようとするときに「ああ、また辛い努力の日々をやらなきゃいけないのか」って、しんどくなってしまう。続かない。
人間、苦しいことからは自然と足が遠のいてしまう生き物だ。
逆に、楽しいこと、心地いいことには無意識にやってる。
だからきっと、それで良いのだと思う。
現状に満足しろ!今に感謝して生きろ!とか、そういう綺麗事を言いたいわけではなく。
主人公、最後のセリフ
「今を、精一杯生きる」
これは「今度は、どんなときも、過程を楽しんで生きてみるよ」っていうふうに私には聞こえた。
目標・夢ができた瞬間に、それはもう、夢が叶っていることが始まっている、というか。スタート地点からゴール地点までのパック売り、なんだ。
ゴール地点だけ食べて「美味しい」ではなく。
スタート地点の味も含めた、ひとつの「夢」
だから「今」は、どんな今であれ、夢の最中。
もう海と同じ、水の中にいるのだ。
煌めきって…何
ジョーは
ピアニストになるために
生まれてきたと…豪語する
ジョーはジャズのピアニストになって
一流のライブに出たい
これが最大の…夢
だから周りの人のことは
興味もないし話も聞かない
ママの言うことも聞きたくない
音楽の事と自分のことだけ
そんなジョーに災難が~
ソウルの世界は可愛い
アニメで描かれる
イロイロあってライブに参加できて
大成功で終わった
終わったあとの高揚感はあったけど
終わった瞬間
何かが違う。違った
興味が無くなった
…きらめき…が無くなった
あのきらめきは何処に行ったの
ソウルの世界で出会った22番の彼女
と巡ったあの時のことが楽しかったこと
ママが言っていた普通のくらし
周りの人との関わりが嬉しかったこと
が思い出される
何気ない日常のくらし
煌めきはあらゆるところにある
何気ない日常に。
ポジティブなジョーが楽しかったし
22番との関わりがとてもよかった
ジョーは自分を見直すきっかけになった
私も何気なく毎日を過ごしているけど
…ちょっと見方を変えて(興味をもって)
楽しく暮らせたらいいですね
中々難しいですが。
リアルな立体的なアニメと
従来のアニメがコラボされて
観ていて楽しかった
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