劇場版「鬼滅の刃」無限列車編のレビュー・感想・評価
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映画でやるべきエピソードだった
疾走する列車はスクリーンに映える。それが蒸気機関車ならなおさら映える。規則正しい車輪の回転に堂々と煙を噴き上げる先頭車両、闇を切り裂く光。列車と映画はとても相性がいい。舞台そのものが常に移動状態で画面に躍動感が出る。冒頭、無限列車が動き出すシークエンスだけでワクワクできる。そのワクワクと同時に物語が動き出す映画のアレンジも非常に良い。
冒頭と言えば、プロローグ的な位置づけのお墓のシーンも木漏れ日が美しさに惹かれた。ちゃんとキャラにも背景にも同様に当たっていて、なおかつ木漏れ日の揺れに応じて光が揺れていた。非常に丁寧なライティングをしていて、さすがufotableの撮影部という感じだ。光の美しさは、ラストの朝日が昇るシーンでも発揮される。朝日の昇るスピードも絶妙に遅すぎず速すぎない。昇りきった朝日が照らす煉獄さんの神々しいこと。あれは泣かせる。結末を知っていても、確かな作画と美術、撮影ライティングの確かさで盛り上げてくれる素晴らしい作品だった。
映像美×骨太の物語×声優陣の熱演、あらゆる要素が高いレベルで融合したエンタメ映画
いいものを見た、というのが鑑賞後にまず思ったことでした。動きや背景のディテールを愚直に描きながら新たな映像表現を追求していくufotableのアニメーション、めりはりの効いた真っ直ぐで骨太のストーリー、ときに「半沢直樹」を連想させる声優陣のケレン味たっぷりの熱演――あらゆる要素が高いレベルであわさり、キャラが立ちまくった王道のジャンプアニメでありつつも、単独のエンタメ作品として1本筋のとおった、非常に見応えのある映画になっていると感じました。
昨年エンタメ界を席巻したテレビシリーズ全26話の続きを描いた本作は、シリーズの蓄積があるからこそのサービスシーンや心揺さぶられる場面も多くありますが、映画で初めて見るという人も煉獄杏寿郎のドラマとして十分楽しめるはず。“煉獄さん”の戦いぶりと、鬼殺隊の柱として主人公・炭治郎に見せる背中に胸打たれると思います。
子供から大人まで万人受けし、社会現象化するのがよく分かるクオリティーの高いアニメーション映画。
「鬼滅の刃」は元々テレビアニメ版の段階でも映画として上映しても遜色のないクオリティーだったので、本作も当然ながらスクリーン映えしています。
「無限列車編」というタイトルですが、「煉獄杏寿郎編」といってもいいでしょう。
アクションシーン、人間模様、ギャグシーンなど、劇場版でもメリハリがきいていて1本の映画として非常に出来が良かったです。
中でも戦闘シーンは圧巻の一言で、「劇場版 Fate/stay night [HF]」シリーズに続き ufotableが非常に有能なアニメーションスタジオだと証明できた作品だと思います。
本作は、ある意味で「2部構成」ともいえるような仕掛けも面白いです。「夢」から自然に導入される「過去」によってキャラクターを深く描き出し、より観客が入り込みやすくなる仕組みも映画向きでした。
計算しつくされた音楽も含め、どのシーンも全く無駄を感じさせない完成度でした。
ここまで「名言」や「名シーン」に溢れた作品は、実写映画も含めて本作が初めてなのかもしれません。
良い意味で様々な感情が入り混じるので、劇場で何度か見たい(体感したい)と思える作品でした。
追記
3回見た時点の感想ですが、かなり盛沢山の内容で、初回は「興味深い」「面白い」「悲しい」「感慨深い」など多くの感情があり、感情が追い付かなかったほどでした。
2回目からはようやく感情が整理されてきて、見れば見るほど感情が深く動かされるのを実感します。特に煉獄杏寿郎は、最初にテレビ版で登場した際は、むしろ印象が悪かったのですが、本作では生き様と共に、どの言葉も深く入り込んでいき、印象が180度変わりました。
「世間で言うほど本作にハマれなかった」という人は、最低でも2回見てみると随分と感想が変わると思います。
簡易検査キット
国民的人気アニメの仲間入りを果たし、どう無視してたって耳に飛び込んでくるニュースは大げさに誇張されたように感動を押し付けてくる。「なにがなんでも見てやるもんか」と、意固地になっている自分がいたが、試しにアニメを見てみたら意外に面白い。途中から見始めて、ほとんど予備知識なしに映画館に行ったら、なんと『ワンダーウーマン1984』の初日よりもお客さんが入っているじゃないか。小さい子供さん連れの親子鑑賞も多かったが、このコロナ禍で映画鑑賞マナーも大きく変わった中、映画館のあり方も様変わりしてしまったようだ。
いくつかのポイントで、感想を抱いた。
1.作品の訴えかけてくるメッセージのあまりにも真っ直ぐな強さ。これはむしろ希少な部類に入るだろう。最近はここまでストレートに主人公の生き方を問う物語も無かったように思う。コミックの主人公であれ、ひとくせもふたくせもあるキャラクター造形が成され、そこに共感を呼ぶ作り方がほとんどだった。家族とか、仲間、組織、敵など、分かり易い構成になっていながら、深く掘り下げると丁寧に描き込んである。重箱の隅をつつくような難癖をつけてくるファンに正面突破で直球を叩き込む作者の潔さに、老獪なしたたかさを見た。実際にはどんな人が作ったのか知らないが。
2.次に感情を揺さぶる演出の見事さ。クライマックスのエモーショナルな爆発までの見事な波。軽い笑いから、大粒の涙まで、見る人の呼吸を支配しているかのように巧みに引っ張っている。PG12ということで、学童以下の幼児にはハードルが高かったようだが、亥之助や善逸の動き回るシーンではちびっ子たちも見入っていた。禰豆子のちょこまかとした動きにも気を取られたようだ。そのバランスが絶妙に配してあり、全編通して、ストーリーよりも感情の起伏をコントロールすることに主眼が置かれているようだ。見事としか言いようがない。
3.登場人物の背景が、彼らの見る夢の中で簡潔に語られていること。初めて見る私にも、キャラクターの成り立ちがはっきりと見えるように作られている。特に、本編の主人公ともいえる煉獄杏寿郎の生い立ちは、ほとんどセリフのやり取りのない炭治郎たちにとっては謎のままだが、彼の見る夢を介して観客には読み取れるように作ってある。煉獄の生きざまは涙なくして見ていられない。逆に、列車に乗る一般人たちのあまりにも平板な魅力の無さに落差を感じるが、些末なことだ。単体でこの映画だけを見ても、普通に入り込めるように作ってある。
4.自然に自分の過去を振り返るきっかけを作ってくれるお話になっていること。昔、父親と一緒に見に行った最後の映画『さらば宇宙戦艦ヤマト』を思い出したが、あれも自己犠牲と守るべき大切なものを賭けた人間賛歌だった。そこに軍国主義を垣間見た人たちはたとえ子供向けのアニメとは言え、決していい心持ちはしなかっただろう。父もその意識があったのか、「あれはマンガの中のお話だから」と、感動の涙を流す私に「死んで花実が咲くものか」と言いつけた。今、この映画を自分の子供と見たとすれば、いったいどんなことを思うのか、考えさせられるきっかけになった。ほぼすべての国民が大きな災禍に巻き込まれた2020年に、まるでリトマス試験紙のように現れた映画。自分は何色なのか?知るきっかけになる映画だ。今風に言い換えるなら、簡易検査キットともいえるかもしれない。この映画に免疫がある人は、何の影響も受けずに、普通に受け流せるのだろう。
燃える
鬼滅の刃は原作も面白いが、とにかく映像化に適したアニメだ。
バトル、斬撃の軌道、多彩な動きなど美しくも迫力もあり圧倒される。
人気の高い列車編の映画化は当たりだと思う。
動き続ける蒸気機関車、たくさんの守るべき乗客、不利この上ない。
煉獄さんの柱としての頼もしさ、炭治郎達の決死の戦い。他かまぼこ隊など個人個人多様の戦いなどすべてに綺麗に焦点をあてていてそれを映画館で観れるのは大変贅沢な時間だった。
敵対する猗窩座と煉獄さんの戦いで猗窩座が煉獄さんの能力を認めるもあくまで柱として毅然と戦かう。
そんな姿に涙するしかない。
その刀の鍔か炭治郎に受け継がれる時、煉獄さんの燃える魂はあり続ける。
鑑賞がだいぶ前の為記憶が定かではないが、とにかく泣いた。
女子の間ではリピートする事を「乗車してくる」というらしい。
原作を超えるクオリティ
なかなか原作を超えるクオリティは出せないのが、劇場版やアニメ化や実写化の常であるのに対して、原作の良さをそのままに、それ以上の満足感を得られる代表作が「鬼滅の刃」
視聴者の期待値も上がっているだけに、毎回、期待を超えてくるあたり、アニメーション化の制作会社やスタッフの方の熱意が感じられます。
無限列車編以降はテレビアニメが続いておりますが、是非とも無限城編は、何部作に跨っても良いので、劇場版での公開を期待してます!
最高に素晴らしかった
映像は綺麗だし、音楽もいい、アクションも最高にかっこよかったです。
ストーリーの流れも良かったです。ドタバタから、敵の攻撃を受け、そこから立ち直り、反撃し、そして…。
そして炭治郎と煉獄さんが本当に素晴らしかった。二人の強い意志が高潔な信念が本当に良かったです。
映画でガチで泣いたのは久々でした。
それも3回も、1度は炭治郎の俺の家族を馬鹿にするな、2度めは煉獄の強い意志、3度めは炭治郎が鬼にはなった言葉。それぞれ涙が出てきました。
最高の傑作です。
夢から醒め、この過酷な現実と戦え。
善の理念(イデア)、永遠、正義。これらを透き通すのが炭治郎の心である。不幸な現実の否定性に対峙し、それと戦う炭治郎。人々はそれに共感し、賛同しているのであろう。現実が否定的なものであるということは、20世紀から今日にかけて、ほとんど常識と化したことであろう。しかし、これまではそうした現実から身を逸らすか、否定性を否定性とだけ描写して終わっていたように思う。 夢から醒め、この過酷な現実と戦え。そして運命は勇者に微笑むのだ。
ー 夢が理想的な平和である ー この考え方は、一見古いように思うが、しかし、夢が無意識からのぼるある種の表象像に過ぎないということも、現代人は精確に把握しているようである。
これまでは、(まさしく敵の魘夢ように)現実を悪夢と混同していた。(魘夢「悪夢だ…」)本当は現実はより射程が広く、夢は表象の一部分である。フロイトによれば夢は、無意識から構築されたものである。無意識は現実と同じように射程が広い。炭治郎の無意識は、特に、永遠を見渡し、優しさと温かさに包まれていた。これこそが現代の人々が、本当の意味で理想化していくべき共通観念である。
他方で、端役の夢は、対照的に、単なる夢想に終わっていたり(善逸)、現実と変わらない混沌を描いたものだったり(伊之助)、過去の記憶を蘇らせるものであった(杏寿郎)。これらの夢も、現代人の一側面を反映したものであり、興味深いものであった。自分がそれらのどれに当てはまるかで、自分の今日のあり方を見つめ直すことは出来るかもしれない。(2021年1月30日)
2回観たけど2回とも泣けた。
内容を全く知らないまま観たのに号泣。ストーリーも良かったし画もとても綺麗だった。音楽も完璧。LiSAの歌声思い出すだけですぐ泣ける。舞台挨拶にも連れて行かれて2回観たけど2回目もしっかり号泣。観て良かった!!
外形は傑作。
原作を知らず、TVシリーズは観ております。
映画館にたくさんの人を呼び込んでいることには敬意と感謝を申し上げたいのですが、あまりに人が多くて映画館に行くこと自体を控えていました。ようやく空席が目立つようになったので鑑賞してきました。
まず、IMAXなどの映像、音響のいいところで観たほうが良い、には完全に同意します。(自分は通常館でしたが)
・作画、画像:手抜きが感じられない、光の使い方の巧妙さ、丁寧に書き込まれたもので動きも十分に満足出来ましたが、いくつかのとある主要な場面、背景でのパースの歪さに違和感があります。空間把握に課題かなあ。
・音響、音楽:梶浦由記さんにすごいですね。すっとぴったりでした。戦闘シーンなどの音響も邦画にしては珍しく響いてくるし、サラウンドも比較的上手く使えていると思いました。が、もっと尖らせてもいいんじゃないかとも。
・演出:実力派声優で固めた陣容は素晴らしいです。一部で感情表現が平坦と酷評されがちな花江夏樹ですが、どこを観てるんですかねえ?松岡禎丞のぶっ飛び加減は倍化され、役どころが変われど狂気や偏執を演じたら最強な石田彰、そして、特徴表現に特化した日野聡の煉獄さんなどは聴き逃がせないポイントじゃないでしょうか。あ、禰豆子の大活躍はとても重要でした。
・総評:原作があり、テレビシリーズの続編ということですが、映画単体で観ても分かりやすい作品だと思います。ただ、そこがこの映画の限界でもあって、表現が難しいのですが、魂が薄い、物語に深みが足りないと感じました。まあ、逆にこれだから多くの人に受け入れられた名作になったんだろうとも言えるかもしれません。
・その他:周囲の、特に若い女性が号泣しながら観ていました。うるさいくらいにwそんだけ、魂を揺さぶられる人も相当数いるのでしょう。
自分?自分は終始笑い放しでした。特に、松岡くん、、、
誰も死なせない!
鑑賞前は子供のお付き合いくらいの気持ちで行きましたが、見事に大人もはまってしまうクオリティでした。いやね、最後こんなに泣かされるとは思わなかったです。エンドロール中は、ちょっと放心状態でした。
鑑賞時は漫画は読んでおらずTVアニメ版だけみているという知識レベルで、まぁ面白いアニメだよね~くらいな気持ちくらいしか持ち合わせていませんでしたが、本作を観て一気に「鬼滅の刃」熱が付いたといっても過言ではありません。それほど良かったです。(後に漫画大人買いし一気読み)
何が良かったか、それはもぅ煉獄杏寿郎のドラマで一気に持っていかれた感覚です。主人公の竈門炭治郎が目立った中盤までであれば、TVアニメの延長でと言う感覚で観ており、映画だから迫力分が上乗せして面白いなぁといった感覚でしたが、後半からの煉獄杏寿郎の独壇場からは、もうかっこいいやら悲しいやらで一気に心もっていかれました。
良かったのはストーリーだけではなく、アニメとは思えない大迫力の鬼退治格闘シーンや映像美も見どころでした。その映像美と迫力、そして効果音は圧巻といっても過言ではないでしょう。
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