「映画でやるべきエピソードだった」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
映画でやるべきエピソードだった
疾走する列車はスクリーンに映える。それが蒸気機関車ならなおさら映える。規則正しい車輪の回転に堂々と煙を噴き上げる先頭車両、闇を切り裂く光。列車と映画はとても相性がいい。舞台そのものが常に移動状態で画面に躍動感が出る。冒頭、無限列車が動き出すシークエンスだけでワクワクできる。そのワクワクと同時に物語が動き出す映画のアレンジも非常に良い。
冒頭と言えば、プロローグ的な位置づけのお墓のシーンも木漏れ日が美しさに惹かれた。ちゃんとキャラにも背景にも同様に当たっていて、なおかつ木漏れ日の揺れに応じて光が揺れていた。非常に丁寧なライティングをしていて、さすがufotableの撮影部という感じだ。光の美しさは、ラストの朝日が昇るシーンでも発揮される。朝日の昇るスピードも絶妙に遅すぎず速すぎない。昇りきった朝日が照らす煉獄さんの神々しいこと。あれは泣かせる。結末を知っていても、確かな作画と美術、撮影ライティングの確かさで盛り上げてくれる素晴らしい作品だった。
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