「子供たちは偽りのネバーランドから自分たちのネバーランドへ旅立つ」約束のネバーランド 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
子供たちは偽りのネバーランドから自分たちのネバーランドへ旅立つ
今世は、第4次アニメブーム真っ只中。
その中心に居るのは言わずと知れた“悲しき鬼退治”だろうが、負けず劣らずの人気アニメが続々誕生。
本作も大ヒットコミック。アニメ化され、実写映画化。
そこは、グレイス=フィールドハウス。
美しい自然に囲まれた、楽園のような孤児院。
最年長16歳のエマ、ノーマン、レイ、その他様々な歳の多くの子供たち。
シスターである優しい“ママ”、イザベラの元で庇護と英才を受けながら、家族のように幸せに暮らしていた。
唯一のルールは、園の外に出てはいけない事。
唯一の悲しい事は、里親が決まり、皆との別れ…。
ある日、一人の幼女の里親が決まり、園を出る事に。その時、大事な人形を忘れていってしまう。
届けに行ったエマは衝撃の場と真相を知ってしまう。
幼女は殺され、“鬼”の食料に。
楽園と思っていたこの園は、実は“出荷場”。
自分たちは鬼の食用の為に育てられ、やがて食べられる運命にあった…。
人気作故タイトル名は知ってたけど、つい最近までほとんど内容は知らず。
でも、最近放送したばかりのアニメ特集の番組で内容を知ってしまい…。つまり、子供たちが鬼に食われる運命にあるという事を。別にネタバレではないんだろうけど、出来れば何も知らずに見たかったなぁ…。
まあ、それでも。原作/アニメファンからは相当叩かれてるみたいだけど(もし自分も原作漫画かアニメか見てたら叩いてたかもしれないけど)、そうでない者から見れば完璧な“フルスコア”ではないけれど、思いの外面白かった。
楽園のような孤児院で暮らす子供たちをやがて待ち受ける残酷な運命。まるで『わたしを離さないで』のよう。
外界と巨大な壁に遮られ、怪物に食われる。まるで『進撃の巨人』のよう。
見てたら、この2作品が真っ先に思い浮かんだ。
でも、まるで違う。
『わたしを離さないで』は小説は読んだ事ないが、映画は繊細な青春ラブストーリー。
『進撃の巨人』は激しいアクション。
本作は、ダーク・ファンタジー風のサスペンスとでも言うべきか。
Wikipediaによると、本作は原作の“GF脱走劇”に当たる。
園の秘密を知ってしまったエマとノーマン。他の子供たちも連れ、脱走計画を企てる。
それに感付くママ。
序盤のおままごとのような雰囲気から一転、スリリングな展開に。
と言うのも、エマ、ノーマン、レイはフルスコアの優等生。
対するママも隙ナシ、抜け目ナシの超手強い。
この子供たちvsママの知能戦、心理戦、舐めて掛かったらびっくりするほど、見応えあった。
まず、普段通りの生活を装いながら、下見。
が、ママは子供たちに発信器が埋め込まれている事をチラつかせ、宣戦布告。
途中仲間に加わったレイ。
するとママも、監視者のシスターを一人手配。
子供たちの中に、ママのスパイが。何とそれは…!
しかし、それを逆手に取って味方に。
が、全てママの手のひらの上。
大事な人物の出荷が決まる。立ち直れないほどのショック…。
ところが!
子供たちは諦めていなかった。
ママの裏をかいた脱走が遂に始まる…!
原作では12歳だった設定を16歳に引き上げた事はファンの間では集中砲火。また、学芸会みたいなヘアは如何ともし難い。
でも、浜辺美波の熱演。ノーマン役の板垣李光人はあるシーンで胸を打つ。
残念な事に、子供たちに演技力の差があり過ぎ。メイン人物の一人であるレイ役の城桧吏がドン引くほど下手…。とてもとても『万引き家族』で絶賛された子役とは思えない…。
主役は子供たちだけど、目を引くのは大人たち。
“ママ”北川景子の存在感が光る。
序盤は優しく。次第にミステリアス。鬼の配下で、子供たちの監視者。あるシーンでは自分も鬼のような冷酷さ。ラストはエマと対峙。自身の悲しい過去。抗うのを諦め、受け入れた運命。が、それを乗り越えた自分の子供たちに…。愛情も滲ませる。
よく演技力を問われる北川だが、初めてというくらい巧いと思った。
増員として派遣されてきたシスター、クローネ役の渡辺直美も場をさらう。コミカルさと恐ろしさ、実は虎視眈々とイザベラからママの座を狙う怪演。
子供たちの残酷な運命と対比するかのように、映像やロケーションが美しい。それがまた印象的に際立だせる。
屋外は長野県の牧場、ハウスの外観は我が福島県の猪苗代にある皇室も利用した重要文化財、天鏡閣で撮影されたという。
エマたちがイザベラの事を終始“ママ”と呼んでいたのが印象的。
幼い頃からずっとそう呼んでいたからかもしれないが、ママの中にある微かな愛情を信じて…。
だとすると、ラストのママの行動にも納得いく。
不条理、残酷、絶望…。
子供たちはいつだって大人たちの犠牲。
しかし、それでも決して諦めない。希望を捨てない。抗い続ける。
自分たちの勇気と知恵と友情を持って。
外に何があるか分からない。何も無いかもしれない。何も無ければ創ればいい。
自分たちの“ネバーランド”を。
子供たちの可能性は無限のフルスコア。
近大さんは福島の方なんですね😊 今はフィルムコミッションが有るので、昔よりロケ地は見つけ易いでしょうね。森も やはり比較的近い所にある場所らしいので…あんなに綺麗に映し出されていて嬉しいです!続編アニメが不評なようで…映画の続編も観たいですが、微妙ですね。でも、城君が今ならレイをちゃんと演じられるのではないかなと思うので…やってみて欲しいと思います。
近大さん
共感をありがとうございますm(__)m やはり「わたしを離さないで」が浮かびますよね。でも、全く違いましたね!この映画を観てロケ地を調べたら、本当に地元でも知らない場所だったので、春になったら行こう!と思ってましたら、自粛ムードですっかり忘れていました😅 今週は明後日までは天気が良いので行ってみようかな(笑)思い出させていただきありがとうございます。
やはり 絶望は嫌だな!希望がある映画を観たいな!と思います!
近大さんへ
自粛生活継続中のBloodです!
カズオ・イシグロさんの原作を映画化した「わたしを離さないで」ってのがあったじゃないですか。どうしても比べてしまった私が居てですね。で、当時25歳くらいのキャリー・マリガン(主演)が、悶絶するほどキュートだったので、浜辺美波ちゃんに萌えなくて、感動もイマイチでしたw