法廷密室劇の最高峰に君臨する「十二人の怒れる男」に、
リスペクトを込め模したと思われる映画タイトル。
このジャンル映画の「8番」なる番号は、野球でいう所の永久欠番みたいな、特別なナンバーだ。
ただ、韓国発の陪審制モノ作品ではあるが、一工夫あり、
今作の陪審員は、控室に籠もり議論するだけではなく、
部屋から飛び出て、刑事や探偵さながらの現場検証まで行うのが、
見どころの1つになっている。
歴代の同ジャンル作品を真似しつつも、この作品はとりわけ、
「疑わしきは、被告人の利益に」
という裁判の大原則を、繰り返し繰り返し、陪審員同士だけではなく、
その上にまとめ役として君臨する裁判官、はたまた、観客にまで、
幾度も幾度も問いかけ続ける映画だ。
問いかけられればられるほど、真実はよくわからない。
わからないんだったら、無罪だよね?
いやでも〜、黒とは言えないってだけで白だとは、、、
グレーってこと?
まあグレーなのかな。
じゃあ、グレーは白だよね?だって「疑わしきは、被告人の利益に」なんだから。
でもさあ〜。
これを延々と続けていくと、人は狂う。
人が人を裁く事は難題すぎて、真剣に考えるほど、気が狂いそうになる。
(@_@;)
でもふと、世情を見渡すとどうだろう?
気がつけば、我は性被害者ナリと称する輩が、
「疑わしきは罰しろ」
と、口を揃えて大合唱連呼しているじゃねーか。
気がつけば、袴田さんの冤罪に憤慨し、SNS上で怒りの大絶叫をしていた輩が、
一夜明けたら中●正広や長●剛に対して、怒りの糾弾罵倒をSNS上で公開している。
二重人格にでもなったのだろうか。
日本人はもはや、正気の沙汰ではない。
韓国もだいぶ病んでるとは思うが、ここ10年限定なら間違いなく、
日本人の方が、病みが加速していると思う。
気がつけば国民の大半が貧乏人へと転落し、正気を保てず狂い始めている。
裁判員裁判なんてもんの選出をする前に、
全国民にS●X相手やら結婚相手やらをくじ引きで選出し、
正気を取り戻させる事が先決なのではないか。
それはともかくとして、主人公の「8番」が、やたら伊藤健太郎に似たルックスで、
少しチャラついてて、テキトーさも感じる若者として冒頭から登場するも、
2時間の中で次第に思慮深く、慎重さを増していくキャラに変貌していくのも、
「疑わしきは、被告人の利益に」と「人が人を裁くことの難しさ」の、
心理的重力のかかり具合による結果と思われる。
もう1人の主人公とも言える女性裁判官の、
陪審員達による「真剣さの引力」によって変化する心の動きも、見せ場として面白かった。
ただ残念な点は、陪審員8人の属性やら特徴やら人間模様の見せ方が、
歴代の作品に比べ、少々浅く見えてしまい、あまり深掘りできてないのは、
勿体ないなあと思った。