「本作品が1本の映画として成立するという不幸」i 新聞記者ドキュメント Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
本作品が1本の映画として成立するという不幸
普通なら、1本の映画になるはずがない。
大スクープや感動話があるわけではないのだ。
「沖縄(辺野古、宮古島)の基地問題」、「森友学園事件」、そして、「伊藤詩織さんの裁判」を追う新聞記者に密着して何が面白いのか?
にもかかわらず、昨今の状況が、本作品を立派な1本の映画にさせてしまっている。
なんという不幸だろう。
言うまでもなく、他ならぬ首相官邸がらみの不正や疑惑が追求されないという、メディアの自己規制やタブーを扱っているからだ。
“面白い”ドキュメンタリー映画ではない。
しかし、今現在、必要であるだけでなく、形あるものとして、将来においても重要な映像として残るだろう。
記者への異常な“質問妨害”が、じっくりと映像化された意義も大きい。
「新聞社内での闘いが、一番キツイ」と語っていたのが印象的だった。
また、「Black Box」は読んでいたが、伊藤詩織さんの姿をじっくり見たのは初めてだった。
「桜を見る会」のニュースでの扱いが、問題の重要性に比べて奇妙に小さすぎるのを見るにつけ、なおさら、本作品のリアルタイムな意義を考えさせられる。
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