Redのレビュー・感想・評価
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文学が映像に昇華された美しさ
三島監督のオリジナル脚本映画も好きだが、原作を独自の感性で映像化した作品も興味深い。
また俳優たちの情感ある演技には観ていてのめり込む思いがして、観終わった後も幾つかの場面が記憶に残り続けるのも面白い。出演者の安定感と優れた演出によるものだろう。
「Red=赤色」を視覚的に感じることができるのは、映像作品のアドバンテージだと思う。
美しさに酔う
三島有紀子監督の映画は、五感に訴える映画だ。絶対映画館で、大きなスクリーンで見るのが良い。おいしそうなコーヒーが入る音、布をシャキシャキ切る音、人生の苦労を感じさせる階段の段差、少女のふわふわ感を感じる宙を舞う白い布。
今回も、冒頭からひりひりと突き刺すような吹雪の中、行き場を探して舞っているような赤い布が目に入り、悩ましげな塔子(夏帆)の表情に、ジェフ・バックレイの「ハレルヤ」がかぶさるように流れる。生々しく、しみいる歌声。「ハレルヤ~♪」と歓喜の言葉を吐きながら、なぜか苦しそうにも聞こえる歌声。これから始まる物語を予見しているようだった。
女性は、人生の中で様々な選択を強いられる。男性よりも,その選択を、周りから、世間から批判されることが多いように思う。だから、選択は、時に無難な方に流れ、自分を見失いがちになる。そしてある時、選択の間違いに気づく。軌道修正するかしないか。これもまた選択だ。
何かを好きになることは、人間に与えられた最高の能力なのかもしれない。そして、それは、人生の隅々まで、影響を及ぼす。そんなことを思った映画だった。
何も感じるものが無かった
R15指定が不自然なくらい、濡れ場は少なく肌の露出も特になく、まずそれを目的に観た人はガッカリすると思います。
私は濡れ場目的で観たわけじゃないですが、良く言えば情緒的な表現に終始し、のっぺりとした展開に飽きてしまう。そして塔子の気持ちが全く理解出来ないまま幕を閉じました…。「愛したけど結ばれなかった相手に再会して浮かれちゃったし、良妻の仮面をかぶるのに疲れました私。」というだけに見えてしまいました…。
あ、柄本祐さんの役柄が唯一素敵です。笑
夏帆ちゃんきれい。
久しぶり映画らしい映画を観たという印象。
映像きれいだし、漂ってる空気感で、観ている人なりが読みとっていくっていう、こういうのが映画だよな、って思う。
夏帆は魅力的だったけど、男性目線でなく、女性監督が選んだんですね。
女性は良妻賢母ありきにまだまだ縛られている、っていう、絵に描いたような幸せならそうあるべきという日本社会の風潮を問いかけてるけど、
でも安直にそれを選んでいるのも本人だし、
男性の働きかけ次第で変わっていくのもまた、
なんだかお人形さんのような可愛らしさの夏帆ちゃんがやるから、リアルなのか、皮肉なのか、ちょっと考えてしまった。役としてははまり役でした。
こんなにきれいな女優さんなのに、ちょっと大人しくて
もったいないかな、もっと活躍して欲しい気がします。
でも、恋愛が人をかくも掘り下げるのは確かだし
肌の触れ合いは、欲望というのを越えて、巡り合う運命で求め合って生きている意味にもなるし。
こういう映画を観て、自分も掘り下げられた気になる。
それって満足感、充実感ですね。映画ならではの。
口出しするな!
働いてもいいと、結婚するとき約束したじゃない。国立市の高級住宅街に暮らす村主塔子(夏帆)。一人娘ももうすぐ小学校に上がることもあり、かつての不倫の仲だった鞍田秋彦(妻夫木聡)と同じ会社に就職しようと決意する。夫の真(間宮祥太郎)も優柔不断というか、かなり偏執的な愛のため結婚した経緯があった。偏執ぶりはタイトルから判断願います・・・ん、変質だったか?
谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」という本が一つのテーマとなっていて、それが塔子や秋彦が設計事務所という繋がりも見せている。読んだことないのですが、部屋の隅々まで明るくすることで陰翳の中の美学を確立するという内容らしい。
普通の不倫ものといった感じもするのですが、トンネル内の赤いランプ、雪の上の血など、色彩にはこだわりを見せています。明るさという点では大きな窓にこだわったり、酒蔵のデザインにもこだわる塔子。清楚なママさんを演じていたのに、秋彦との再会により急にエロくなっていく様子も面白かった。
新潟県の雪も印象的でしたが、2年前の大雪被害をも思い出させてくれました。また、家を作るなら~♪という歌まで・・・
寒々とした中ぬるいベッドシーン
原作未読ながらかなりの官能的な小説というのは聞いていた。ただ三島監督作品にそっち系は未知数。上手い監督だだけにこの濡れ場は消化不良と言うか、夏帆のためにもR18まで上げても激しくいって欲しかった。
子供まで捨てる情念をもつ女性をここまで綺麗に演じられた夏帆だけになんで中途半端なベッドシーンに落胆。
映像も音も良かっただけにもったいない。
夏帆のキャリアハイはまだブルーアワーかな?
愛するとは何か。。を深く考えました。
考えさせられる恋愛映画と言ってよいでしょう。
人を中途半端でも、自己犠牲となっても愛すべきなのか?それとも心底惚れた、死んでもいいと思える人と添い遂げるのか?とても重く、そして苦しい選択です。また自分らしいとは何か?を考えさせられるそんな映画です。
決して楽しい恋愛映画ではありませんが、私は興味深く拝見しました。
恋愛映画好きにはおススメします。
妻夫木+えもたす+間宮=
「最後に抱いてくれる?」この妻夫木さんの台詞!!!
この声量、声質、最高でございました!!!
こんな(※※)作品じゃなく!!
もっとちゃんとした設定で、ぜひこの台詞、おかわりおなしゃす!!!
と、原作が好きじゃない作家さんだったんだけど、
妻夫木さんとえもたすが何やらエロいと聞いたので、
下心だけで観てきましたw
正直、内容なんてよくある感じだし、
こういう結婚しちゃいけない女っているし、
オチも読めたし、そんなに面白かった作品ではない。
でも、台詞なんだよ台詞!!!
この二人の放つセリフのまぁエロいこと!!!
えもたすもエロい!!
コダカさんだがオダカさんだか、もうどっちでもいいや、
この路線で10年食えそうな勢いですw
この二人と、最近同じような立ち位置の間宮祥太朗、
この3人で十分だった気がします。
辛口なことを言えば、
セックスシーンだって全然見応えないし、
女性監督ならではの悪い癖も出ているし、
ここじゃねー、これじゃねー感があちこちにあるしで、
いろいろツッコミも尽きないけれど、
とりあえず、それらどうでもいいと思わせるほどに、
最後の妻夫木さんのセリフが素晴らしかった。
ちゃんとした設定で、もう一度聞きたい。
妻夫木さん!!!
私、脚本書きますから!!!
その時はぜひその台詞、またお願いしますwww
尺の長さ?
ジャンル的には好きな映画。人の黒い部分をちょうど良く、映像と音楽でも表現できてたと思う。今回だと嫌われ役だけど、間宮くんは幅広いなと思った。キャストは上手くはめられてて、音楽、映像共に良かったんだけど、微妙に引っかかったのは尺の問題かなぁ。ちょっとプレイの尺長いし、時系列の変わり目もわかりづらかった。締めもいつ終わるねんだったし。そう言った意味で、内容落とし込め切れてない方は多いんじゃないかな。
女の一人称映画
商社マンの夫と娘、夫の両親と何不自由なく裕福な環境で安穏に暮らす主人公・村主塔子という女の、徹底して一人称の映画であり、彼女を通して三島有紀子監督が描く、女であることの苦悩と女であるゆえの煩悩を、粘液的にねっとり絡みつくように映像化した抒情詩が本作です。
毛穴がはっきり見て取れるほどの極端な人物の寄せカット、手持ちカメラの長回し、暗然とした色調、更に台詞が極端に少ない映像は、自ずと官能的で蠱惑的な情炎を内に滾らせ、観客が冷静にスクリーンを眺めることを許しません。台詞が少ない、ト書きの多い脚本であり、従い役者のドウサ(演技)の演出は監督の独壇場となり、三島監督の制作意図が直截に表現されたと思います。
引きのカットは殆どなく、また決して女の煽情的な衣装やアクションは皆無ゆえに、却って女の心の奥底で醒めた炎が消炭の中に熾り続けているような、予測不能な不気味さに慄然とします。少なくとも男の私にとっては・・・。
10年ぶりに再会した男は、多分消炭を熾らせた触媒に過ぎず、己も無自覚に鬱屈していた女は理性では動かず、感性、更に言えば子宮で行動するのでしょう。男との情事のシーンの長回し、これも台詞はなく、ただ濡れ場が延々と続くものの、その描写は極めてソフトで胸部や下半身は一切見せません。
女性視点である所以ですが、繰り返される情事は全て男の射出感覚ではなく、女の分泌感覚で描かれており、突出した一瞬の爆発ではなく、終わることのない濃密で粘っこく絡みつくような描写で終始します。
劇中「男は1000年経っても男のまま」という台詞があります。男は、少年のままに齢を重ね、遂に老年に至り少年のままに死を迎える一方、女は一生涯変貌し続けるということでしょうか。全く異なる生き物と言っても良いのですが、それ故にこそ、実に微妙なバランスの上で共存し共栄してきたのでしょう。
冒頭、雪景を疾走するトレーラーの、長尺荷を警告するための真っ赤な(Red)布が烈風に激しく靡く様、そしてラストでは遂にその赤い布が風に吹き飛ばされてしまう、その血の色を連想される“Red”こそ、本作に相応しいエスタブリッシング・ショットでした。
孤独な恋愛
島本理央の原作は既読。恋愛の心理描写と駆け引きを巧みに表現し、男女の縺れ合う官能の世界を濃密な性描写を交えて綴られ、きわどい表現にも挑んだ大人の恋愛小説。
ただ、本作はそこまで踏み込んだ描写や展開にはなっておらず、やや肩透かし。キスシーンだけで、R15というのどうなのかな…?
ストーリーは、真面目でマザコンの夫、昔の恋人で強引な鞍田、同僚で軽薄な小鷹の3人の男達に、最初は翻弄されている様に見えた塔子の揺れ動く女心を描く、悲恋ストーリーです。
しかし、原作で描かれている、塔子が次第に男達を巧くコントロールし、女の内面に宿る強かさが滲み出てくる様子は、今ひとつ伝わらなかった。まぁ、正直どの人物にも共感はできなかったのですが…。
妻夫木さんと夏帆さんは、それなりに良かったと思います。でも、欲望を貪り合うような原作に忠実な役柄としては、2人のこれまでのイメージが邪魔した感じでした。
でもさあ、人間、どれだけ惚れて、死んでいけるかじゃないの?
佇まいだけでクズ臭が漂う鞍田と、いまだに過去の甘味が身体から抜け切れていない塔子。エピソードがひとつも出てこないので想像するしかないが、演じる妻夫木の冷めた目、夏帆の訴えかける表情で十分それは伝わってくる。それは孤独な男と孤独な女ゆえ。そして、暖色系と寒色系の色彩を、立場や感情に合わせて巧みに訴えかけてくる映像、それが醸す空気。そこらへんは監督の見事な手腕だ。
だけど、反面、そこが女性監督ゆえの弱点。美しい恋愛映画にでも仕上げようとしているのか、泥臭さがない。だいいちこの映画、脱ぐ勇気をもたない女優が主役ってどうよ。塔子の覚悟が見えてこない。役者の覚悟(例えば「火口のふたり」の瀧内ほどの)が足りないから、説得力も足りず、塔子の最後の選択を許す気になれない。そりゃあ僕だって、一人の人が好きで忘れられないなんて人間の性、業なんだもの、しょうがないと思っている。だからこそ、そこは他人をねじ伏せるもの、つまり、”どれだけ惚れたか”をみせてくれることを期待したのだが。
赤=止まれ?
「男は千年経っても男のまま」
女性が結婚して出産してからの自立
でも男は家事育児を一方的に押し付けて当たり前で
なかなか上手くいかなくて…
「何も生活困ってないよね?何で働くの?」
これを平気で言えるとこが無神経
女として見てくれていない夫
女として見てくれる元カレ
赤=止まれ
止まれなかった彼女
しがみ付いていたRedを跨ぐ
世の中には(海外も含め)どんだけ同じ事で悩んでいる女性がいるのだろう
うちの職場にも「トイレ掃除は女がするもの」って言って、女性群に反感くらってたオッさんいました
アホかっ(゚⊿゚)?
ただな、鞍田さん喋らなさ過ぎねw
濡れ場は肉食系でガツガツしてたのにww
もっと喋ろう〜よ
嫌なものは嫌
過去と今がなかなかつかめなくて若干もやもやした。
電話ボックス。
積み重なっている気持ちあるから、きっと何と答えても嫌なものは嫌なのよ。
女性って(ひとくくりにするつもりは無いけれど)、《嫌》ってシャッターを心の中で密かにジワジワ下げたりしてギリギリまで耐えるんだけれど、もうダメって完全に閉めてしまうと何言ってももう開かないんだよな。
なぜ塔子は真と結婚したんだろぅ。
優しいけど地雷踏みすぎ。
ジワジワ苦しくなって息が詰まる。
鞍田さんに惹かれてしまう気持ち凄くわかる。
でも、私は小鷹さんかな。
母親や小鷹さんから見透かされたようにズバリ言われてハッとする。グサッとくるよね。
夏帆さんの切ない表情がよい
原作は未読ですが、そんなことはどうでもよいです。夏帆さんの切ない表情を見ているだけで十分です。
しかし、以下の2点が気になります。
・カメラを手持ちで撮影しているのでしょうか、画面が微妙に揺れて見ていると酔います。とてもプロの撮影とは思えません。
・現在の設定ですよね。登場人物がやたら煙草を吸うのはたまりません。見ているだけで映画館内が臭くなりそうです。それだけで減点ものです。
これは深い。
観るたびに観方が変わっていく映画だと思う。
それに、立場やステータスによっても。
夏帆の目の演技がすごい。
なんであんなにも、悲しみも喜びも目から伝わってくるのか。
答えを明確には出さないタイプの映画。
この観終わったあとのわだかまりを受け止められない人には、よく分からない映画と捉えられてしまうだろうか。
不倫が話題ですけども、批判に躍起になってた人たちはこれをどう観るのかが気になる。
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