ジョジョ・ラビットのレビュー・感想・評価
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サム・ロックウェルは悪魔に魂を売ったに違いない
でなければこんなにたて続けに高水準の作品に出演し続け(『スリー・ビルボード』、『バイス』、本作、『リチャード・ジュエル』)しかもいずれもおいしい役柄でかつその魅力を最大限に表現する演技をするなんてことがあるのだろうか。
これはアレですよ、絶対やってますよ…
悪「おやおやどんな奴に呼び出されたのかと思ったら、演技は上手いのにイマイチパッとしない中堅俳優サム・ロックウェルさんじゃないですか」
サ「うるせえ! 悪魔め! おい、魂を売ったら、願いを叶えてくれるっていうのは本当なのか?」
悪「ええまあ」
サ「よし、じゃあスゲエ映画を事前に見極める能力をくれ!」
…的な裏取引やってますね、絶対。
というネタがサクッと思いつくほど、最近のロックウェルさんはのっている。
母ちゃんもヨーキーくんも自然体のキャラクターでよかった。ラームお姉さんのお肉に注目していたのは私くらいだと思うが。
正直チョットだる〜いところもあったが、いいシーンの繰り出しかたもよく、あざとい泣かせでごまかさずに終始コメディタッチなのもよかった。レベル・ウィルソン好き。
ところで先日観た『2人のローマ教皇』でベネディクト前教皇への批判プラカードにナチ野郎帰れという類のものがあった。本作のジョジョと同じくヒトラーユーゲントに所属していたことを揶揄してのものだったようだが、子供時代のことを今も言われるのね。教皇はつらいよ。
靴紐をしっかり結べました
世界大戦時のヒトラーが統治するドイツを舞台に、当時の市民生活を焦点を当てた作品。
しかし、これまでの戦争映画のような悲惨さや苦悩を前面に描くのではなく、ヒトラーユーゲントに所属し、自分の靴紐も結べない10歳の男の子・ジョジョの目線で、その当時の世界観を描いています。
ジョジョの気持ちが揺れ動く時、自分の分身として現れる、ヒトラー君との心の会話を所々に入れ込むことで、マインドコントロールされたナチスヒトラーに憧れた少年の、ヒトラーへの崇拝心を、ユーモラスに描いています。
そして、ジョジョの母が、家の隠し部屋に匿っていたユダヤ人の娘の登場場面から、ジョジョの気持ちの中で、ナチスへの崇拝とユダヤの娘への恋心との間に、葛藤が生まれます。戦争を背景に、1人の少年の心の成長こそが、テーマになっていると思います。
今回、ジョジョ役のローマン・グリフィン・デイビスは、愛らしい少年らしい表情が印象的で、この役柄をよく理解した、見事な演技であったと思いました。
また、最近はSF戦士の印象が強いスカーレット・ヨハンソンが、ジョジョの母親役というのは、意外でしたが、子供を包み込む優しさと強さを兼ね備えた母親役を演じていました。
ただ、一つだけ❓を感じたのは、ドイツが舞台なのに、英会話というのは、どうなんだろう…。
最後のダンス
個人的には『フォードvsフェラーリ』
『パラサイト 半地下の家族』を凌ぎ、
今年ベストが来てしまったという印象。
第二時世界大戦下のヒトラー体制を
コメディとして扱った本作に対して拒否反応が
出ている方も一定数いるようだが、
”10歳の主人公の目を通した
"ストーリーテリングをするにはむしろ
誠実なアプローチだったと思う。
大人たちの誤った導きにより、まるでキャンプ気分で
戦闘訓練を受ける少年たち。
まだ靴紐も結べないジョジョくらいの少年に、
最初から戦争の真の恐ろしさを理解することなどできない。
冒頭からテンポのよい構成やジョジョや
ヨーキーらの愛嬌に見惚れてしまうが、
所々で垣間見える教官らの(ウサギの首を折るなどの)
恐ろしい所業や、ユダヤ人を怪物扱いする
ディエルツ大尉らのやだみは、見ていて
胸に迫るものがある。
(※中盤にしっかりとディエルツ大尉が
目の前にいるユダヤ人を見抜けないという
皮肉があり溜飲が下がるが。)
何より今回は、主演の子役二人や
スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェルらの
演技アンサンブルがたまらない!
特にスカーレットはワイティティ監督のいう
「大事なのは愛と寛容だ」を体現する人物で
戦時下でもおしゃれとダンスを愛し、
厳しい現実から目を逸らさず、ジョジョとエルサを
真っ直ぐな愛で包み込んでいる。
間違いなく彼女のベストアクトだ。
サムも相変わらずの疲れ切ったボンクラ役がハマっていて、ヒトラー体制下に嫌気が差していたからこそ
中盤で意外なアクションを起こすのも納得だった。
やがて物語が進むにつれて街が戦場になったり、
意外な人物が亡くなったりとジョジョの心情が
暗澹たる気持ちになるにつれて画面の色合いも
淡白になっていったように感じた。
やがて、ジョジョ一家の家に匿われたユダヤ人少女
エルサと離れたくないが故に
ついてしまうジョジョの切ない嘘には
涙を抑えることができなかった。
クライマックスには、
今まで結べなかった靴紐を結べるようになるジョジョ。
これは彼の成長だけでなく、心の揺らぎが
なくなったことを表しているのではないだろうか。
ナチスとユダヤの間で揺れてなかなか決心が
つかないでいた彼が、愛と寛容を持って
エルサを受け入れる。
固く結ばれた彼の思いが、物語のラストに
心地よい余韻を残してくれた。
お見事!
監督!総統!
アドルフ〜!
なんかスゴい眼力の俳優さんだな、と思ったら
あなた監督ですか!
サム・ロックウェル好きだし
スカーレット・ヨハンソンも出てるし
何より予告編でアドルフとジョジョが飛び跳ねてるシーンにやられた!
すっかり忘れてたけど、アカデミーのニュース見て思い出して、慌てて観に行った。
ナチス絡みの話しだから、そんなファンタジーだけで終わるはずないとは思っていたけど…
ブラックな笑いの中に散りばめられた、人間のかなしさとおかしさ。
悔しいし悲しいけど、それでも
さあ踊りながら帰ろう
そう笑って、自由を諦めなかったお母さんの姿に誰もが勇気づけられる。
ヨーギー生きてて良かった
靴ひもに愛を込めて
あくまで10歳の少年から見た戦争。弱虫のジョジョにとって、ヒトラーは英雄だし、ユダヤ人は得体の知れない悪魔の手先。でも、ユダヤ人の見分けがつかない。
ママが屋根裏に隠した年上のユダヤ人エルサは信用できないけど、ママのためを思うと通報できない。だったら僕がユダヤ人のことを研究しなきゃ!
冒頭、ビートルズが流れ、女性たちがグルーピーよろしく黄色い悲鳴をあげるヒトラーの映像と被る。当時のドイツでヒトラーがどういう存在だったかよくわかり、非常に端的で効果的。
少年達にとってもしかりで、彼は敵をやっつける英雄。日本での東郷平八郎みたいなもんだ。
父は遠くへ行き、姉も死んだ。戦争のリアルを知らないジョジョの目には、それでも世界は瑞々しく、ドイツは正しい国だった。
そんなジョジョの純粋さを愛しく思いつつはらはらしながら、物語は進んでいく。
そして…ジョジョの前で踊っていたママの靴が、あんな風に眼前に突きつけられるなんて。咄嗟に靴ひもを結ぼうとするジョジョの姿に、胸が潰れた。
彼が思わずエルサに突き刺した短剣が痛々しくて、可哀想で切なくて。憎しみと寂しさと恋しさが小さな肩に一気に押し寄せ涙を誘う。10歳の子には荷が重いよ。
しかしジョジョを待ち受けた運命は過酷だけど、彼は大きな愛に導かれてもいた。決して息子の思想を拒否せず、ありのままを受け止め、正しいと思うことを伝えるママ。
忠誠を誓う党員のようでありながら、ジョジョとエルサをこっそり庇ってくれたクレンツェンドルフ大尉。
最後、ゲイを示すピンクのマークをつけた相棒フィンケルと、好きな衣装を身にまとって敵に向かっていく姿はかっこよかった。差別とはなんたるかを知ってるけど、どうしようもない時代の流れの中で、精一杯二人を守ろうとしてくれた。
街が戦場になりジョジョは戦争のリアルを知り、架空のお友達ヒトラーと訣別する。
めまぐるしく過ぎ去った時間は、靴ひもが結べるまでにジョジョを成長させた。
振り返ると、この映画の登場人物はみんな根っこの部分は純粋で善人。自分の国を盲信するのは危険だけど、それが普通の人間なんだろう。
大きな意志の流れにはきっと違う考え方の小石もたくさん混じっているはずなのに、なぜそれらは岩になれないのかな。
最後、二人の心の中に希望という音楽が鳴り響く。
世界が戦争に傾きそうになったら、この映画を思い出したい。悲観的になったり絶望したりすることが、戦争に荷担することにつながるから。
少年の恋と成長と戦争への風刺と残酷さを巧みに織り交ぜた愛しい作品。もうすでに、今年度No.1と言いたい。
愛が欠如した戦争の時代で、一人一人が出来ることを。
ジョジョは『愛を知らない、目で見えないし…』というが、
結局ジョジョは愛を注がれてばかりだった。
10歳という若さでそんなこと簡単に気づけなくて、失って初めてその愛に気づく。
ジョジョ、君が『愛なんて目に見えないしわからない』って言ってる時、ママが靴紐を結んでいたね。君の目の前のその光景が一つの愛の形なんだよ。
最近、この国ではたった一回失敗しただけで必要以上に心身共にズタズタになるまで叩きのめされて、晒し上げられて社会的に半殺しにされる。誰も望んでないのに。そうやって"ヘイト"を広めるんじゃなくて、もう一度許してより良くなるよつに支えてあげる"愛"と"寛容"を広めるべきなんだ、と監督は言っている。
私達が目を向けないだけで、見渡せば自分の周りに愛は満ちている。知らず知らずのうちに誰かに愛を注がれているし、何かに愛を注いでいる。そうやって争いに満ちた絶望と憎悪の時代でも、なんとか人も世界も繋がってきた。
たった一人の力じゃ大きな変化をもたらすことはできないけど、だからこそ、
各々が"今、自分にできることをする"んだ。
人生は絶望で終わらないから、愛を持って生きて、絶望の裏側で呼吸している希望を手繰り寄せるんだ。
笑いながらいつしか自分の独善性を疑う
偶然予告を観て、関心事として急浮上したので脊髄反射的に鑑賞。
登場人物がみな魅力的で、チャーミングだった。
なかでもスカーレット・ヨハンソンは出色の演技。
大いなる愛と母性と父性を兼ね備えたグレートママ役が堂に入っていた。
小生意気なのに守ってやりたくなるジョジョももちろんだが、
トーマシン・マッケンジー演じるエルザが大胆さと繊細さを代わる代わる見せて美しかった。
(名前の発音はトーメイスンだと思うんだが、あっちこっちのサイトがみな違う表記で笑った)
戦争をシニカルな笑いに包んで批判する映画は今に始まったスタイルでないが、
この作品がこれまでと少し異なるのは、明らかに人種間の幼稚な忌避感情を丁寧に描いている点だ。
「我が民族は…」という矜持は誰の心のなかにもある。
ただ、自らの内面に知らず知らず継承され根付いた美徳を、
贈り物として感謝するだけで十分であり、
それを他者と比較して優位性を誇ったりするのはとても下品な考え方だ。
ましてや他者を低く見て憎悪や軽視の材料にするなど、
それこそ「御里が知れる」態度である。
タイカ・ワイティティ監督のシンプルなシナリオは、
偏見や優生思想の愚かさを、ジョジョの想像上の友人であるアドルフや、
秘密警察の男たちの幼稚で滑稽な姿に戯画化して表現した。
一方で、それらと同類と見せかけて、全く異なる一面を有したサム・ロックウェル演じるクレツェンドルフ大尉が、最後に見せる振る舞いに、心が熱くなった。
監督は、きっと人間には本来この大尉のような善の心がどこかにあるのだと信じているのではないか。
ジョジョがナチスの思想を絶対と信じて疑わなかったように、
誰の信条や正義にも独善的な部分は必ずある。
自分の独善性に対する自覚をある一定数の人間が失えば、
またいつでもナチスと同じような惨禍は起こりうる。
過剰な自己規制も不愉快ではあるが、
謙虚さを欠いた自己の正義に対する絶対視は、
人をいとも簡単に加害の側に居座らせる。
恐ろしいのは、自分が立っているところがどこなのかに気付かないことだ。
「ジョジョ・ラビット」は、そのような意味で、とても現代的な映画なのだと思う。
子どもからみれば、戦争はナンセンスなコメディー
「ユダヤ人には絶対に洗脳されるな!」と叫んでる本人達の明らかに洗脳されてる感。
まるでままごとのように繰り返されるHeil Hitler-ing。
爆風の中に揚々と突撃する兵士達。(レベルウィルソンが子どもを特攻させるシーンは割と衝撃)
その中で本当の自分を見つける手がかりになるのは、母や匿われた少女の愛情だ。
檻から飛び出し、心の蝶の行方を信じて、走る無垢なウサギ。
アカデミー賞嫁にしたい女性部門、スカーレットヨハンソン受賞。
アカデミー賞役得賞、スリービルボードに引き続きサムロックウェルダブル受賞。
アカデミー賞その曲はズルい賞、デイヴィッドボウイ受賞。
近現代史の入門としても
歴史に興味を持てない小中学生でも
親子で観れる安心と分かりやすさを感じました。
長い人類の歴史の中で、それほど昔でない時代の
話であるけども、映像は陰惨にならず、
ほどよく緊迫感のある場面場面が思い出されます。
「この辺は、もうちょっと説明がいるのでは?」
と思われる箇所がいつくかあったのですが、
後半に至ってしまってからは気にならなくなりました。
主人公と総統との対話もまたユニークですね。
へえ、こういう風な表現方法もあるんだと感心しました。
ありきたりの感想なのですが、平和な世の中で
静かに映画鑑賞ができることは偶然なのだと
ずっと考え続けていました。
これぞ映画
ライフ・イズ・ビューティフルなどに通じる、名作だと思った。
戦争を題材にしている作品で、戦争をストレートに描くのではなく、その戦火の中で明るく逞しく生きた人たちを描いた作品というのは、それだけで何故か心打たれるものがある。
本作は、その中でもさらに心はナチスに支配されながら、非情になりきれず周りに対して劣等感を抱えながら生きる少年を描く。その彼の在り方が、ユダヤ少女との出会いで肯定されていき、一方で自分の信じていたナチスとのギャップに戸惑っていく、その人間模様が丁寧に描写されている。
戦時中でも、そういう葛藤を抱えながら必死に生きた人たちがいるだよ、というのを音楽を交えて暗くなりすぎず明るい中にも悲しみを交えて描くのは、『この世界の片隅に』でも感じたが、これぞ映画の力だと思う。
ユーモアと皮肉を込めて描いた秀作
ロシア系ユダヤ人の末裔である母を持つワイティティ監督による第二次世界大戦下のドイツに生きる人々をユーモアと皮肉を込めて描いた秀作😊
とりわけジョジョ役のローマン・グリフィン・デイビスくんの演技が素晴らしい🤗とても映画デビュー作の演技とは思えない!😳そしてスカーレット・ヨハンソンの母としての愛、人としての愛が温かい🥰教官役のサム・ロックウェル、アドルフ役でもあったワイティティ監督、太っちょヨーキーもとても良い👍ラスト、エルサの靴紐をジョジョが結んであげるシーンで涙😢音楽もイイ👍
ライトなテイスト
描きつくされてきたテーマだろう。
観るたびに心が落ち込み、陰鬱な気分で映画館を出ることばかりだった。
こんな平坦な気持ちで終わったのは初めてだろう。
序盤はナチに洗脳された能天気な少年が延々と映し出され、冗長だ。
中盤もユダヤの少女を匿っているのが明らかになるものの想定内で、テンポは変わらない。
潮目が変わるのは吊り下げられた母親の姿からだが、それでもソフトでマイルド。
心がギュッと痛んだり、涙したりすることはなかった。
ナチとユダヤ人の問題というよりは、少年の成長物語。
ちょっと笑ってしまうようなエピソードが挿入され、
心通い合った親友や粋な教官が少年をサポートしてくれて心がほんわか温まる。
ユダヤ人少女に徐々に惹かれていく姿には、心が疼く。
悪くはないのだが、もう一声!の観は否めない。
靴紐、ダンス、蝶々、ドイツ語の歌
ナチス少年ジョジョの成長物語。
いや、ハリウッド映画でよくあるけど、英語圏外が舞台で英語を話すのにやっぱり違和感を覚えてしまう。でも、ドイツ語の映画だったら全然違う印象になってたかもしれないけど。
ブラックコメディなのかと思ったが、それよりもジョジョ少年の成長物語として楽しんだ。ナチス政権下のドイツの異常性を描きつつ、自由とは?生きるとは?ってことを訴えかけてきた。意外とマジメなお話だった。
序盤の変な感じが受け入れがたかったんだけど、お母さんの亡くなるシーン(これはかなり印象に残る衝撃シーン)の辺りから引き込まれてしまい、そしてラスト!脱出計画とDAVID BOWIEのHEROS(のドイツ語バージョン)、それに合わせて踊る二人に心が揺さぶられてしまった。
ファンタジックな感じもするが、少年の成長物語として見事な映画だった。やられた。
少年は初めて世界を自分の目で見てみた
いきなり「ハイル・ヒトラー!」を叫ぶ少年の姿に面食らってしまう。ヒトラーを空想の友人として崇める少年を主人公にした物語だなんて、冗談でやるには悪趣味すぎるし、本気でやるにも綱渡り過ぎるなんとも危険な設定。好意的に取れば「挑戦的」だけれど、考えようによっては「不道徳」と言われても仕方がない。私自身、そのシリアスな設定と喜劇的なタッチのバランスにずっと居心地の悪いような気分を覚え、どうやって受け取るべきかと迷うようなところがあった。ブラックジョークと笑えばいいのか、不謹慎と怒ればいいのか。ただちゃんと最後まで映画を見れば、なるほどしっかりとしたテーマのある良い映画だと思えた。ブラックコメディのように始まった映画も、最後はフィールグッドムービーのような終点に落ち着いた、というような感じか。
少年はそれまで決して自分の目で世界を見ていたわけではなかったと言えるだろう。誰かから「世界はこうである」と言われていたのを鵜呑みにしたまま、それまで疑問を抱くことがなかった。そんな少年が、愛する母親がユダヤの少女を自宅に匿っていることを知り(さながら「アンネの日記」を裏表紙から読むような視点)、実際にユダヤの少女と交流を重ね、少しずつ世界を自分の目を見るようになっていく。そしてそれまで妄信していた価値観に疑問を抱き、今度は自分の価値観で世界を見つめていく、そういう少年の成長のドラマなのだ。ひとりの少年の目を通じて、ナチス支配下の世界がどういう社会だったかを描き、その社会の見え方が少年の価値観の変化によって変わっていく様子がとてもドラマティックだと感じた。
主役のジョジョを演じたローマン・グリフィン・デイヴィスがまたいい表情をしてくれて良かった。普通に見れば十分美少年なのだけれど(歪な歯並びもある意味すごくイギリス人らしい)、一度台詞を放ち表情を動かし始めるとこれが実にユニークでファニー。ずいぶんと面白い子役を見つけ出したものだと嬉しくなる。と同時に、すっかり母性愛の人となったスカーレット・ヨハンソンが作品を母なる愛で包み込む。若いころはセクシーでちょっと生意気な感じのする女優だった彼女が「マリッジ・ストーリー」も併せてすっかり母を演じるようになったことがやけに感慨深いと同時に、この作品の母であり、物語の母であり、母という存在を象徴するものとしてう靴しく君臨していてとても良かった。
最初は胸がざわざわするようなもやもやするような気がしていたものの、ラストシーンでぎこちないダンスをする少年少女の姿に心の解放を感じ「良い映画だった」とすっと思えた。
こんな戦争映画は初めて!
この時代のドイツを描いてて、こんなに明るくていいの?って戸惑うくらいに、冒頭からおしゃれでポップで笑えて…。
でもちゃんと戦争のむごさ、愚かさを描いている。
お母さんの靴、ずっとかわいいなあ、おしゃれだなあと思って見ていたら、ああいう形で出てくるとは…。大尉、最初はちょっと嫌なヤツかと思ってたのに、最後はあんなにかっこいいなんて…。
靴が示すのは…
ナチスをテーマにした映画は数あれど、軽いタッチで笑わせ泣かせてくれるあたり、ライフイズビューティフルを彷彿とさせますが、あれはイタリアでの話。ナチスの本拠地であるドイツでは緊迫してたと思うけど残忍なシーンを殆どなしで描いてる本作は素晴らしい。
ジョジョ役の少年、最後は表情が大人になってましたね。シナリオの通りの順番で撮影できない作品が殆どだと思うけど、逆にそれならあの演技力はすごい。
そして、プールの場面やお散歩の帰り道度々出てくる母の靴のアップ、靴の柄を印象付けてた理由が母の死だったとは…この辺も靴の産業が発達してるドイツならではの発想、と思ったけど全編英語だし配給はディズニーなのね(笑)
皆さんのレビュー通り母が父親役をやるシーンが泣ける。そしてラストの大尉がジョジョを庇うシーンも冒頭に書いたライフイズ〜を思い出す。
ビートルズ等の音楽はすぐにはわからなかったけどあえてアメリカのロックを持ってくるところが良いですね。
エルサとジョジョで、ユダヤ人とドイツ人の著名人を列挙し競い合うシーンも音楽や演劇に携わる私としてはとても勉強になりました。
パラサイトも鑑賞したけど、やっぱりこういう生きてることの素晴らしさを教えてくれる作品の方がよいなーメッセージ性でいえば断然こちら。でも題材的に目新しさやパンチがないという意見もわかるんですけどね。
戦場のピアニストも久々に見てみたくなりました。音楽や踊りは、平和だからこそ必要とされる…
こころ温まる
スカーレットヨハンソンの
演技がいい味だしてる
シングルマザーとして,ものの善悪を
思春期の子どもにコミカルに伝えるシーン
じわじわ涙が出てくる。
お父さんに扮してジョジョ叱るとこなんて…
お母さん…って思う。
Everybody's gotta live
鑑賞前にheroesが使われていることをたまたま知ってしまったけれど、それでも流れてきた瞬間不意を突かれ落涙。ラストシーンで踊ることも想像できたが、予想を超えて素晴らしい切れ味のラストシーン。演出と編集の手腕なんだろう。
いつの時代もどこの国でも、子どもは大人に刷り込まれ、裏切られて絶望し、時には命を落とす。それを助けられるのも大人。「愛は最強」愛だけがこの世界を良くすることができる。
ベルリンの壁を背にheroesを歌ったデヴィッド・ボウイを想う。同じように愛を送ったのだろう。
以前リドリー・スコット「オデッセイ」でstarmanが流れて来た時は、デヴィッド・ボウイの死後間もなかった事もあり映画館でどうかと思うほど泣いてしまった。彼の曲が流れたら泣く回路が出来てるのかも。。。
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