ジョジョ・ラビットのレビュー・感想・評価
全508件中、281~300件目を表示
靴紐、ダンス、蝶々、ドイツ語の歌
ナチス少年ジョジョの成長物語。
いや、ハリウッド映画でよくあるけど、英語圏外が舞台で英語を話すのにやっぱり違和感を覚えてしまう。でも、ドイツ語の映画だったら全然違う印象になってたかもしれないけど。
ブラックコメディなのかと思ったが、それよりもジョジョ少年の成長物語として楽しんだ。ナチス政権下のドイツの異常性を描きつつ、自由とは?生きるとは?ってことを訴えかけてきた。意外とマジメなお話だった。
序盤の変な感じが受け入れがたかったんだけど、お母さんの亡くなるシーン(これはかなり印象に残る衝撃シーン)の辺りから引き込まれてしまい、そしてラスト!脱出計画とDAVID BOWIEのHEROS(のドイツ語バージョン)、それに合わせて踊る二人に心が揺さぶられてしまった。
ファンタジックな感じもするが、少年の成長物語として見事な映画だった。やられた。
エンドロールの選曲まで儚く美しい
戦時中のドイツで、ナチスに盲目の10歳の少年が、生きるとは、愛とは、強さとは、なにを信じるのか…を学んでいく映画。
美しく、明るく、強く、重たい。
印象に残るシーンが多かった名作。余韻が大きく、鑑賞後も熱が冷めなかった。
観ているこちらも、思わず一緒に心躍るシーンから始まり、笑えて、わくわくして、でも心を痛めて、涙して…喜怒哀楽が全て詰まっているが、それが無理矢理ではない展開。
途中、イスの上に乗って父親を思わせる身長で母親と踊る構図…なんだかぐっときて、とても印象的だったなあ。
過去に何がありジョジョは捕らわれていたんだろうか?
間違いなく、また観たいと思える作品だった。
個人的には、今まで観た中で1、2をあらそう傑作!
少年は初めて世界を自分の目で見てみた
いきなり「ハイル・ヒトラー!」を叫ぶ少年の姿に面食らってしまう。ヒトラーを空想の友人として崇める少年を主人公にした物語だなんて、冗談でやるには悪趣味すぎるし、本気でやるにも綱渡り過ぎるなんとも危険な設定。好意的に取れば「挑戦的」だけれど、考えようによっては「不道徳」と言われても仕方がない。私自身、そのシリアスな設定と喜劇的なタッチのバランスにずっと居心地の悪いような気分を覚え、どうやって受け取るべきかと迷うようなところがあった。ブラックジョークと笑えばいいのか、不謹慎と怒ればいいのか。ただちゃんと最後まで映画を見れば、なるほどしっかりとしたテーマのある良い映画だと思えた。ブラックコメディのように始まった映画も、最後はフィールグッドムービーのような終点に落ち着いた、というような感じか。
少年はそれまで決して自分の目で世界を見ていたわけではなかったと言えるだろう。誰かから「世界はこうである」と言われていたのを鵜呑みにしたまま、それまで疑問を抱くことがなかった。そんな少年が、愛する母親がユダヤの少女を自宅に匿っていることを知り(さながら「アンネの日記」を裏表紙から読むような視点)、実際にユダヤの少女と交流を重ね、少しずつ世界を自分の目を見るようになっていく。そしてそれまで妄信していた価値観に疑問を抱き、今度は自分の価値観で世界を見つめていく、そういう少年の成長のドラマなのだ。ひとりの少年の目を通じて、ナチス支配下の世界がどういう社会だったかを描き、その社会の見え方が少年の価値観の変化によって変わっていく様子がとてもドラマティックだと感じた。
主役のジョジョを演じたローマン・グリフィン・デイヴィスがまたいい表情をしてくれて良かった。普通に見れば十分美少年なのだけれど(歪な歯並びもある意味すごくイギリス人らしい)、一度台詞を放ち表情を動かし始めるとこれが実にユニークでファニー。ずいぶんと面白い子役を見つけ出したものだと嬉しくなる。と同時に、すっかり母性愛の人となったスカーレット・ヨハンソンが作品を母なる愛で包み込む。若いころはセクシーでちょっと生意気な感じのする女優だった彼女が「マリッジ・ストーリー」も併せてすっかり母を演じるようになったことがやけに感慨深いと同時に、この作品の母であり、物語の母であり、母という存在を象徴するものとしてう靴しく君臨していてとても良かった。
最初は胸がざわざわするようなもやもやするような気がしていたものの、ラストシーンでぎこちないダンスをする少年少女の姿に心の解放を感じ「良い映画だった」とすっと思えた。
サム・ロックウェルが良い
確かに語り方や物語の展開にちぐはぐな点はある。それも含めて魅力の多い一作。
予告を観てぎょっとした人も多いでしょう。
よりにもよってヒトラーをイマジナリー・フレンド(想像上の友達)に持つ、ナチス大好きな男の子が主人公とは。
しかもギャグのように描かれている場面は、笑いと嫌悪のギリギリの境界上にあるような代物。
この作品を事前にどのように捉えていたらいいんだろうか、と思いながら本作に臨んだ人もいるのでは。
冒頭からまさに、予告編が描いていた雰囲気をエンジン全開で見せていきます。ビートルズに合わせてヒトラーに熱狂する群衆の姿を写したオープニングは、まさに出色のできばえ。
その後物語の調子はやや落ち着きますが、恐らく主人公ジョジョの心象を反映したのであろう街の風景は、国家存亡の危機にあるはずなのに、どこか牧歌的で色鮮やかですらあります(特にスカーレット・ヨハンソンの演じるジョジョの母親がみせる、気高い美しさ)。
映画は明らかに、ナチスの行いを皮肉な笑いに転換する演出的要素と、ジョジョの心象風景に基づいた映像、そしてジョジョとその周囲の人々との交流という三つのバランスが取れておらず、そこに居心地の悪さを感じても無理はありません(町山智浩氏の評論は、タイカ・ワイティティ監督の追求するテーマに理解を示しつつも、やはりこの作劇上の不自然さを看過しなかった)。
一方で、そうした本作の(見方によっては)欠点を理解しつつも、あくまでジョジョに寄り添い続けた監督の視線に深い感動をおぼえる人もいるでしょう。戦争で傷つく子供達を正面から捉え、戦争の罪を告発する映画ももちろん重要です。しかし本作が提示した、戦争という極限状態も子供の心の無垢を全ては奪えない、という「物語」に、救われた思いになる人も多いのではと思います。
こんな戦争映画は初めて!
この時代のドイツを描いてて、こんなに明るくていいの?って戸惑うくらいに、冒頭からおしゃれでポップで笑えて…。
でもちゃんと戦争のむごさ、愚かさを描いている。
お母さんの靴、ずっとかわいいなあ、おしゃれだなあと思って見ていたら、ああいう形で出てくるとは…。大尉、最初はちょっと嫌なヤツかと思ってたのに、最後はあんなにかっこいいなんて…。
恋心と親しみそしてダンスがあれば
終始ジョジョの優しさが溢れている良作。
まず何よりジョジョ役のローマン君凄い。台詞一言に、感情を乗せるのがとても上手い。そして、目と表情で声の無い台詞を言える。
ジョジョの成長=考え方の変化を、ジョジョの視点で楽しめる。頭の中に居る妄想の友達アドルフを、監督タイカ・ワイティティ自ら怪演。
ジョジョの母ロージーを思いっきり演じた、スカーレット・ヨハンソンは圧巻。何度もあった伏線に自分は全く気付かず、人として、母としての優しさに、完全に心酔して観入ってしまった。
同日公開【リチャード・ジュエル】にも出演。サム・ロックウェル演じる、キャプテン・Kことクレンツェンドルフ大尉。両作品で、口の悪い味方を演じているが、さりげなく、そして全てを語らない優しさ。男が男に惚れる。とにかくカッコ良い。
ジョジョの成長の切っ掛けになる、ユダヤ人のエルサ役トーマシン・マッケンジー。凛とした芯の中に見える弱さも絶妙。
戦争という時代背景、独裁、人種差別、国に洗脳されがちな偽りの正しい事。デリケートな内容をコメディで優しく楽しく。現実と理想とのギャップに悩みながら、少しずつ成長していくジョジョの外側から、終盤、一気に盛り上げる演出は必見。
新しい切り口の戦争映画、オススメです。
涙が止まらなかった
靴が示すのは…
ナチスをテーマにした映画は数あれど、軽いタッチで笑わせ泣かせてくれるあたり、ライフイズビューティフルを彷彿とさせますが、あれはイタリアでの話。ナチスの本拠地であるドイツでは緊迫してたと思うけど残忍なシーンを殆どなしで描いてる本作は素晴らしい。
ジョジョ役の少年、最後は表情が大人になってましたね。シナリオの通りの順番で撮影できない作品が殆どだと思うけど、逆にそれならあの演技力はすごい。
そして、プールの場面やお散歩の帰り道度々出てくる母の靴のアップ、靴の柄を印象付けてた理由が母の死だったとは…この辺も靴の産業が発達してるドイツならではの発想、と思ったけど全編英語だし配給はディズニーなのね(笑)
皆さんのレビュー通り母が父親役をやるシーンが泣ける。そしてラストの大尉がジョジョを庇うシーンも冒頭に書いたライフイズ〜を思い出す。
ビートルズ等の音楽はすぐにはわからなかったけどあえてアメリカのロックを持ってくるところが良いですね。
エルサとジョジョで、ユダヤ人とドイツ人の著名人を列挙し競い合うシーンも音楽や演劇に携わる私としてはとても勉強になりました。
パラサイトも鑑賞したけど、やっぱりこういう生きてることの素晴らしさを教えてくれる作品の方がよいなーメッセージ性でいえば断然こちら。でも題材的に目新しさやパンチがないという意見もわかるんですけどね。
戦場のピアニストも久々に見てみたくなりました。音楽や踊りは、平和だからこそ必要とされる…
どこまでが寓話か、自分が試される「実は真面目な歴史物」
・オープニング曲で一気にテンション上がった ・ガチガチのユーゲント...
タイトルと予告編で損してる
1か月フリーパスポートの最終日。
ほとんど観終わって、最終日に観ないのももったいないと、いろんなレビューをみてこの映画に決めました。
よかったです。
戦争について考えさせるし歴史を振り返る。
残念なのは、なんでこんな魅力のないタイトルにしたのかなあと思いました。
せめて副題でもつければよかったのに。
予告編も。
なかには予告編で中身を数倍おもしろく見せて、ガチガチに観客動員数をあげてる映画もあるというのに。
でも、観ることが出来てよかったです。ここのレビューを観て正解でした。
戦争が終わったら踊る
観る前、ジョジョ+ナチスは彼だった
なんとも不思議な映画だった
ナチスに憧れる10歳の少年ジョジョが心友アドルフやユダヤ人の少女と触れ合い成長していくお話なのだが、まず始まりがナチスとビートルズをあわせるセンスに度肝を抜かれた笑
心の中の友人アドルフはどうみてもヒトラーだし、しかも楽しそうだしかなり挑戦的でヨーロッパでは作れない映画に感じた
登場人物は皆魅力的
素朴な可愛さのジョジョ、心友アドルフ、リア友ヨーキー、ママ、ユダヤ人少女エルサ、そしてクレンツェンドルフ大尉。
ジョジョとナチスとくればシュトロハイム少佐だった私のイメージを変えてしまうほどに大尉はかっこよかった
戦争映画だけどそれを感じさせない明るさとやはり戦争の哀しみを併せ持つ不思議な魅力ある映画
母国への忠誠と英雄への憧れでいっぱいだった少年が恋や哀しみを知りどんな青年になったのか…できればそこまでみたい映画だった
厳しい時代を甘いオブラートで包んだ逸品
第二次世界大戦末期、連合軍に降伏間近のドイツを舞台に、軽妙かつ簡潔な語り口で、全体主義を笑い飛ばしながらもキッチリと批判する逸品。子供が主役とか、いい話しとか、苦手なはずなのに何故か大好きな作品になった。
ジョジョと母親(スカーレット・ヨハンソン)との関係性が最高にイカしているし、ジョジョの教官だった大尉(サム・ロックウェル)はリベラルで真にかっこいい男だったし、ジョジョと初恋の人となるユダヤ人少女エルサ(トーマシン・マッケンジー)との触れ合いは愛おしいし……。
そう、登場人物が愛おしくて仕方ない。この作品が愛おしくて仕方ない。
アドルフ・ヒトラーを心の友にしていた少年が本当に大切なことを知る瞬間に感動し、ヒーローズのイントロにジョジョやエルサと一瞬に体を揺らす自分がいた。
今年の外国映画のベストの一本だろう。
コミカルだけどちゃんと戦争映画
10歳の少年から見たナチス、第二次世界大戦のリアルが描かれていた。
めちゃくちゃ良作!というか、最近本当にいい映画ばっかりでヤバい。
予告では、コミカルなイメージが強かったけど、コミカルだけど、やはりテーマは重い。
ナチスを崇拝している主人公の少年ジョジョにとって、ユダヤ人は怪物で、ドイツは戦争に勝つんだ!戦争に行けることが名誉。それが正義と教えられて、それが当たり前だと思っていたところに、ある日母親が家にユダヤ人の女の子エルサを隠していることに気づく。
そこで、愛する母親に不信感を抱きはじめるものの、エルサと関わっていく中で、いつのまにか友達になっていく。
10歳ってまだ子どもだけど、自我がはっきりしていく頃で、自分の頭で考えはじめようとするとき。いろんな葛藤とか、外見とか自分への劣等感とか、周りとの比較とか、恋とか。
第二次世界大戦という現代の私たちからしたら特殊な状況の中で、ごく普通の10歳の少年が経験する日々が描かれているのだけど、どんな時代でも子どもの視点に大人は学ぶことが多いんだろうなぉと思ったよね。
これまで、世界はこうだ!の教えられたのが、自分の目で見て、「なんか違う」と気づきはじめたり、自分の意思に気付けたりと、この映画ではちょうどその時期を描いているよね。
ユダヤ人は怪物で人間じゃないって教わり、ジョジョの友達が初めてユダヤ人を見て「僕らと同じで何が違うのかわからなかった」と言うシーンがあるけど、純粋に率直に子どもたちが思ったことでしょうね。
いつも世界を変にしているのは、大人。そんな世界を子どもたちがどう見えているのな、やはり着眼点がすごくおもしろい映画でした。
Youtubeで映画チャンネルやってます♪
https://youtu.be/M9W5lbQcCew
最初の違和感は凄いです。
最初はいかにもハリウッドという映像や演出で、親ナチス的な思想が語られるので脳が混乱しました。そこからじわじわと少年の思想や状況が変化して最後には演出との違和感がなくなる感覚です。
全編を通して音楽が印象的でした。特にオープニングとラストシーンは感動的でした。
パッと見ればじゃれあいの様にも見える子供たちの争いの中にイスラエル民族の、神に選ばれし民族であるという光を放つかのような自覚にハッとします。
少年の置かれた状況は後世の我々でも十分に理解し難いほど複雑で、10歳の子供にはあまりに過酷すぎました。
あまりの悲惨さに最後はただただ平和を願うことしかできませんでした。
最後はまるでハッピーエンドかの様な感覚に陥ります(自分でも信じられないくらい号泣してしまいました)が、冷静に考えるとストーリー自体は全然ハッピーではないですね。しかしもうあの状況では、戦争が終わる喜びに浸る以外の選択肢がないというか、細かいことは考えない、考えられないといった感じです。そこでただ本能のままに体を揺らして踊り始めるというラストにするセンスは本当に打ちのめされた様な感覚です。
全508件中、281~300件目を表示