ジョジョ・ラビットのレビュー・感想・評価
全516件中、261~280件目を表示
笑いながらいつしか自分の独善性を疑う
偶然予告を観て、関心事として急浮上したので脊髄反射的に鑑賞。
登場人物がみな魅力的で、チャーミングだった。
なかでもスカーレット・ヨハンソンは出色の演技。
大いなる愛と母性と父性を兼ね備えたグレートママ役が堂に入っていた。
小生意気なのに守ってやりたくなるジョジョももちろんだが、
トーマシン・マッケンジー演じるエルザが大胆さと繊細さを代わる代わる見せて美しかった。
(名前の発音はトーメイスンだと思うんだが、あっちこっちのサイトがみな違う表記で笑った)
戦争をシニカルな笑いに包んで批判する映画は今に始まったスタイルでないが、
この作品がこれまでと少し異なるのは、明らかに人種間の幼稚な忌避感情を丁寧に描いている点だ。
「我が民族は…」という矜持は誰の心のなかにもある。
ただ、自らの内面に知らず知らず継承され根付いた美徳を、
贈り物として感謝するだけで十分であり、
それを他者と比較して優位性を誇ったりするのはとても下品な考え方だ。
ましてや他者を低く見て憎悪や軽視の材料にするなど、
それこそ「御里が知れる」態度である。
タイカ・ワイティティ監督のシンプルなシナリオは、
偏見や優生思想の愚かさを、ジョジョの想像上の友人であるアドルフや、
秘密警察の男たちの幼稚で滑稽な姿に戯画化して表現した。
一方で、それらと同類と見せかけて、全く異なる一面を有したサム・ロックウェル演じるクレツェンドルフ大尉が、最後に見せる振る舞いに、心が熱くなった。
監督は、きっと人間には本来この大尉のような善の心がどこかにあるのだと信じているのではないか。
ジョジョがナチスの思想を絶対と信じて疑わなかったように、
誰の信条や正義にも独善的な部分は必ずある。
自分の独善性に対する自覚をある一定数の人間が失えば、
またいつでもナチスと同じような惨禍は起こりうる。
過剰な自己規制も不愉快ではあるが、
謙虚さを欠いた自己の正義に対する絶対視は、
人をいとも簡単に加害の側に居座らせる。
恐ろしいのは、自分が立っているところがどこなのかに気付かないことだ。
「ジョジョ・ラビット」は、そのような意味で、とても現代的な映画なのだと思う。
純粋さと残酷さの余韻がすごい
終わり方がよかったです。
とても良い終わり方だと思いました。
流石に旅立ちにしてはバッグがないのはおかしいと思いますが、これからどうしようかと悩むジョジョとエルサが戦争からの開放感から自然にステップを踏み、踊ってしまうのがよかったです。
教官もユダヤ人のエルサの秘密警察からの捜索を庇ってくれたり(教官は反ナチスでジョジョの母の嫌疑がジョジョに及ばないよう捜索に駆けつけたのかな?)、親友のヨーキも最後まで生きていて、顔に傷があり臆病な彼でも変わらず親友でいてくれる安心感や呑気な子供らしさがよかったなと思いました。
キャンプで子供が武器を使った訓練や女の子に妊娠を当たり前のように教えたり、ジョジョがウサギを殺すところを強要されたり、市街戦ではまるで神風のように特攻させられたりと、日本の戦争の過酷さと比較してしまいます。
そんな中想像の中のアドルフ・ヒトラーがユーモアに励ましアドバイスしてくれる心強い味方がエルサと打ち解けるようになった途端、手の平を返すように厳しい態度をとり、少年の心の葛藤を上手く表現していたと思います。
それとジョジョのお父さんは生きているのか気になりました。
子どもからみれば、戦争はナンセンスなコメディー
「ユダヤ人には絶対に洗脳されるな!」と叫んでる本人達の明らかに洗脳されてる感。
まるでままごとのように繰り返されるHeil Hitler-ing。
爆風の中に揚々と突撃する兵士達。(レベルウィルソンが子どもを特攻させるシーンは割と衝撃)
その中で本当の自分を見つける手がかりになるのは、母や匿われた少女の愛情だ。
檻から飛び出し、心の蝶の行方を信じて、走る無垢なウサギ。
アカデミー賞嫁にしたい女性部門、スカーレットヨハンソン受賞。
アカデミー賞役得賞、スリービルボードに引き続きサムロックウェルダブル受賞。
アカデミー賞その曲はズルい賞、デイヴィッドボウイ受賞。
近現代史の入門としても
歴史に興味を持てない小中学生でも
親子で観れる安心と分かりやすさを感じました。
長い人類の歴史の中で、それほど昔でない時代の
話であるけども、映像は陰惨にならず、
ほどよく緊迫感のある場面場面が思い出されます。
「この辺は、もうちょっと説明がいるのでは?」
と思われる箇所がいつくかあったのですが、
後半に至ってしまってからは気にならなくなりました。
主人公と総統との対話もまたユニークですね。
へえ、こういう風な表現方法もあるんだと感心しました。
ありきたりの感想なのですが、平和な世の中で
静かに映画鑑賞ができることは偶然なのだと
ずっと考え続けていました。
2020年 7本目 ★★★★ ☆大人とは恐れずに人を信頼するもの」
ジョジョ・ラビットを見た、その両手は銃ではなく誰かを抱きしめるために。その両足は誰かを踏みつけのるのではなく、ダンスをするために。その命は敵を倒すためではなく、誰かを愛するために、そのためにある。そんな映画だった。
ジョジョ・ラビットは、主人公の成長を「靴紐を結ぶ」というとてもシンプルな事で演出しているのが上手かった。戦争で勇敢に戦う事の愚かさを、笑いの中に描くとても優れた映画だと思う。
ジョジョ・ラビットは、オープニングがビートルズで始まる。ドイツ人を救うために登場したヒトラーは、ロックンロールヒーローと同じように人々を熱狂させた。ただ、ジョンレノンはLove &Peaceを求めたが、ヒトラーはユダヤ人の死と世界の混乱を求めた。
これぞ映画
ライフ・イズ・ビューティフルなどに通じる、名作だと思った。
戦争を題材にしている作品で、戦争をストレートに描くのではなく、その戦火の中で明るく逞しく生きた人たちを描いた作品というのは、それだけで何故か心打たれるものがある。
本作は、その中でもさらに心はナチスに支配されながら、非情になりきれず周りに対して劣等感を抱えながら生きる少年を描く。その彼の在り方が、ユダヤ少女との出会いで肯定されていき、一方で自分の信じていたナチスとのギャップに戸惑っていく、その人間模様が丁寧に描写されている。
戦時中でも、そういう葛藤を抱えながら必死に生きた人たちがいるだよ、というのを音楽を交えて暗くなりすぎず明るい中にも悲しみを交えて描くのは、『この世界の片隅に』でも感じたが、これぞ映画の力だと思う。
ハートフルで反差別
ヒトラーに熱狂するけど気弱な少年ジョジョが、第二次世界大戦のドイツで悲惨さを通じて成長するお話。
この作品の魅力を挙げるならば、優しくてコミカルな登場人物たちは外せません。
空想上の友達アドルフ(ヒトラー)、陽気に振る舞ってくれる母親、差別はしない教官キャプテンK、ドジで包容力のある親友ヨーキー。
物語は、主人公がユダヤ人女性を隠し部屋で発見したことで進み始めます。
周りには気弱な性格・顔のアザを差別する人達が沢山いますが、主人公はヒトラー信者なのでユダヤ人に対しては差別的な決めつけを投げかけます。
ユダヤ人女性は時に厳しく否定し、時にはユーモアに話を膨らませる。相手が同じ人間であることを直に学んでいく主人公。
そんな中で、戦況は刻々と変わっていき・・というお話です。ハートフルで反差別のお勧め映画です。
we can be heroes!
ユーモアと皮肉を込めて描いた秀作
ロシア系ユダヤ人の末裔である母を持つワイティティ監督による第二次世界大戦下のドイツに生きる人々をユーモアと皮肉を込めて描いた秀作😊
とりわけジョジョ役のローマン・グリフィン・デイビスくんの演技が素晴らしい🤗とても映画デビュー作の演技とは思えない!😳そしてスカーレット・ヨハンソンの母としての愛、人としての愛が温かい🥰教官役のサム・ロックウェル、アドルフ役でもあったワイティティ監督、太っちょヨーキーもとても良い👍ラスト、エルサの靴紐をジョジョが結んであげるシーンで涙😢音楽もイイ👍
転向
温かいが.
ジョジョの目線で語られる戦争映画。
ユーモラスな中に
ライトなテイスト
描きつくされてきたテーマだろう。
観るたびに心が落ち込み、陰鬱な気分で映画館を出ることばかりだった。
こんな平坦な気持ちで終わったのは初めてだろう。
序盤はナチに洗脳された能天気な少年が延々と映し出され、冗長だ。
中盤もユダヤの少女を匿っているのが明らかになるものの想定内で、テンポは変わらない。
潮目が変わるのは吊り下げられた母親の姿からだが、それでもソフトでマイルド。
心がギュッと痛んだり、涙したりすることはなかった。
ナチとユダヤ人の問題というよりは、少年の成長物語。
ちょっと笑ってしまうようなエピソードが挿入され、
心通い合った親友や粋な教官が少年をサポートしてくれて心がほんわか温まる。
ユダヤ人少女に徐々に惹かれていく姿には、心が疼く。
悪くはないのだが、もう一声!の観は否めない。
全516件中、261~280件目を表示









