「銀魂は「万事屋」の物語ではなかったのか」銀魂 THE FINAL 粉雪さんの映画レビュー(感想・評価)
銀魂は「万事屋」の物語ではなかったのか
Yahooのほうにもレビューを投稿しましたが、こちらのサイトをご覧になられる方もいらっしゃると思いましたので、こちらにも同じものを投稿させていただきます。
これからこの映画をご覧になる方の、参考になれば幸いです。
公開日と舞台挨拶の2回、見てきました。
原作を全巻所持し、アニメも全話追い、キレながらも実写も見た10年来の銀魂のファンです。
申し訳ありませんが、ここまで銀魂という作品を追ってきた身として、原作の最終巻を読んだ身としては手放しで褒められるものではありませんでした。
好きなところ(良かったところ)と許せなかったところ、両方レビューさせてください。
好きなところ(良かったところ)
・DOESさんによる劇中歌
・SPYAIRさんによる主題歌
・「ブレイクダウン」が流れ、坂田銀時が復活するシーン。曲も相まって本当にかっこよかったです。作画もここはとてもよかったと思います
・死に際の高杉を抱いて銀時が語り掛けるシーンの尺の取り方。銀時の表情の変化がしっかりと描写されていてすばらしかったです
・今までのアニメEDを思い出させるエンディング
・空知先生の原画参加
・声優さんたちの演技
許せなかったところ
・前日譚をdtv配信に回したせいで、アニメ勢には分かりづらい仕様になっていること
・もちろん初見はさらに謎(公式は初見でもOKとうたっていますが…)
・ところどころの作画の悪さ
・原作よりも無駄に長いドラゴンボール風あらすじ
・ギャグのテンポ(宮脇監督時代のアニメシリーズですでに指摘されがちでしたが)
・銀時の「きこえてるよ、”ずっと”」、新八と神楽から真選組への「ありがとう」をはじめとした、万事屋・真選組・かぶき町の仲間たちのセリフのカット
・「わっちも誰の元でも死ぬつもりはありんせん」「帰ってきたのさ、万事屋(アイツら)と一緒にな」「我々は局長の命令も長官の命令もブッチします」「女だと思って前は手加減したが 今はしってるよ お前にそれは必要ねェと」など、聞きたかったセリフはたくさんあります
・原作よりも引き延ばされ、土方・沖田の助太刀をカットされた柩VS桂
・虚にとどめをさす時の、原作では口元のみの描写だった銀時の表情
・銀時と高杉の謎の屋形船
まだいろいろとありますが、概ねこのような感じです。
監督がインタビューでも言っていますが、今回の映画は「松下村塾」のメンバーに重きを置いています。しかし、そのせいなのか、万事屋やかぶき町の仲間たちの絆が見られるシーンのカットがとても多いなと感じました。
映画には尺というものがありますから、真選組やかぶき町の人たちとの絆についての描写のカットは仕方がないのかもしれません。
ただ、万事屋についてだけは、カットしてほしくなかったです。
私は、銀魂は「万事屋」の物語だと思っていたので、そこは監督と解釈が合わなかったんだなぁと思います。
しかし、せっかくの銀魂最後の映画なのですから、「原作通りに」、「“ずっと”というたった三文字のセリフすらわざわざカットすることなく」、万事屋の描写もきちんとしてほしかった。そう思ってしまいます。
バトルシーンの引き延ばし、妙に長い尺の回想、必要ありましたか? そのシーンの作画が特にすごい、というわけでもないし…。
どうにも、「原作よりも盛るシーン」と「原作からカットするシーン」を履き違えているなという印象を受けました。
パンフレットも購入しましたが、監督が「新八と神楽は補助の役割」と言っていたのが忘れられません。
最後の映画なのに、大事な万事屋の二人を補助呼ばわりか…と悲しくなってしまいました。
とはいえコロナ禍の中、ここまでの作品に仕上げてきちんと公開してくださったことには感謝しています。本当にありがとうございました。
もちろん感動して泣いてしまうシーンも多々ありました。あと何回かは見に行かせもらいます。
アニメスタッフの皆様、お疲れさまでした。
完結篇を見て口直ししてきますね。