劇場公開日 2020年10月2日

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「中国では《死期の告知をしないという》そのため悩むNYの孫娘。」フェアウェル 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5中国では《死期の告知をしないという》そのため悩むNYの孫娘。

2022年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

2019年(アメリカ)監督:ルル・ワン
この映画は「死期の告知」を巡る東洋と西洋の倫理観の違いを
テーマとしています。
即刻告知するのが、アメリカ・ヨーロッパ(現在の日本も)のやり方。
なるべく本人には知らせないらしいです中国では。
孫娘でニューヨークに住み作家を目指すビリーとの
《お別れの挨拶(フェアウェル)》を、
ナイナイはしたいのではないか?
秘密にするのは人権侵害・・・と、思っています。
この作品を監督したルル・ワン監督自身と家族の実体験を描いた作品です。

ナイナイは長春に住むおばあさんです。
長男は日本へ、次男はアメリカへ、移民しており、
家族は妹が側に暮らしでいる。
ナイナイが末期の肺がんで余命数ヶ月との知らせが、
ニューヨークへ日本へと走ります。
驚いた親戚一同は長春に集結する事に。
理由は長男の息子(ナイナイの孫)が日本娘と結婚するので、
盛大な式を長春ですることとして、家族が集まります。

中国の風習がやはり珍しい。
高層ビルも無個性で安普請。
結婚式だというのに出席者はまるで普段着だ。
ホテルでは新築なのにエレベーターが動かない・・・など、
どこか歪な中国の繁栄。

中国人は死期の告知はしない習慣。
特に癌は、その恐怖に人は殺される・・・と、言うのだ。

ナイナイばあちゃんは《かくしゃく》とした仕切り屋。
孫娘のビリーは何度も告知しよう・・・と、
家族に提案するが、即座に却下されてしまう。

カルチャー・ギャップがテーマの映画です。
主役のビリーはラッパーで韓国系と中国系の血を引く
アメリカ人のオークワフィナ。
見るからに個性的。
肩をいからせクチを突き出す動作が、ラッパーそのものだ。

意外と結婚式の中国人の生態がユーモラスですし、

ラストの締めに大きくのけぞりました。

琥珀糖
近大さんのコメント
2023年6月5日

ウソのようなホントの話。
ホントのようなウソの話。
ちょっとこんがらがりますが、ほっこりするのはホントですね。

近大