「〝誰か〟ではなく、自分の職務に忠実であることの強さ」オフィサー・アンド・スパイ グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
〝誰か〟ではなく、自分の職務に忠実であることの強さ
ピカール中佐。
この人の本質的な強さ、それは人間性に目覚めたとか、反権力とか、思想・信条が強いとか。
たぶん、そういうことではないのです。
公僕として、とことん仕事と職務に忠実なのです。
だから、少し想像力を働かせれば、〝上〟がなんらかの関与をしているはずだ、証拠だって握り潰されてしまうのではないか、などとわかるはずなのに、それほど深く考えずにラインの上司に報告してしまうのです。馬鹿正直なほど真っ当なのです。
彼にとっての優先事項は、真犯人放置によって、彼の務める国家への損害が拡大するのを防ぐために、真犯人を早く逮捕することであって、冤罪を晴らすのはその結果に過ぎないのです。
たぶん左遷された後も、現地での仕事は淡々と責任感を持ってキチンとこなしてたと想像できます。
仕事のスタイルにブレのない人への信頼…これって結構強いのです。
プライベートな付き合いが無くても、この人は信頼できる❗️と思うことは実際の仕事の中でもあります。
ウエットな人間関係から生まれる信頼は、時には、〝裏切られた〟というように反転することもあって、実は脆いし、そもそも本当の意味での信頼関係なのかも疑わしい。
事件に関する歴史的な背景などの知識がなくても、自分の仕事、自分の職務、自分の役割をしっかりとやり続ける人がいることが、どれだけその社会にとって得難いことなのかを勉強できます。
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