「異質なものに対する差別を痛々しく描く」異端の鳥 だいふくさんの映画レビュー(感想・評価)
異質なものに対する差別を痛々しく描く
なかなかしんどい映画でした。人によっては見るに堪えないシーンが満載ですが、これが人間なんだよ!という人間の本質をえぐってきます。目を覆いたくなるシーンが多く映像はモノクロなのに風景が映ると美しい。音楽なし主役の少年のセリフもほぼ無し。そして極めつけは169分という長丁場…。
一番の辛い理由は、その差別や迫害を受けるのがすべて1人の無垢であっただろう少年なのです。少年が様々な辛い経験を経て、変わっていく心理や行動をみているのは、本当に辛いものがありました。少年はいったい何を信じればいいのだろう。
本作で描くは一貫して異質なものに対する差別でした。容姿や肌の色の違いで標的にされるのです。
この映画で驚いたのは主演の子役の ペトル・コラールです。驚異の新人と言われてるように、全くの新人であったから驚きです。こんな辛くて重い役を見事に演じ切っています。
そしてもっと驚いたことは、まったく無名の監督による映画だということです。無名の監督が、11年の歳月をかけて、無名の幼い少年を主演としつつ、豪華な俳優を短い時間で出演させて、問題作と呼ばれつつも最終的には数多くの映画賞を受賞したという快挙なんですよね。いや~。これからも監督がどういう映画を作ってくれるんだろうと、否が応でも今後も期待させてくれます。
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