「軽い気持ちで観に行ったら、痛い目に遭う。」異端の鳥 クリストファーさんの映画レビュー(感想・評価)
軽い気持ちで観に行ったら、痛い目に遭う。
ベネチア国際映画祭、ユニセフ賞を獲得してるので、日本でも注目度高いと思うが、これ、R15指定ってことだけど、それだけで大丈夫か?
戦争の現実を突きつける良作だとは思うけど、観るのに覚悟が必要だと思う。
3時間弱という長さの作中、拷問みたいに、これでもかってくらい、人間の邪悪で残虐な行いを見せつけられる映画。
あまりに救いがない。
モノクロなので、余計に陰鬱な気持ちになる。
特に女性には不快と思われる描写も多く、途中席を立った人もいた。
しかし人間とはこうしたもんであるというのも確かで、目を背けないことが、次の悲劇を生まないことに繋がるのかもしれない。
生きるということは、綺麗事では無いのだ。
まして、戦時中という混乱の中では。
自分の属する世界が、いつ何時、こうならない保証なんてない。
そうなった時に、人間的な行動が取れるか、そういうことを考えさせられる。
それにしてもちょっとこの平和な現代の日本で生きてたら、この過酷さは、想像できないだろうな。
あまりに凄惨すぎて、ちょっとシュールにさえ思えた。
そしてあまりに不運が続くので、少し感覚が麻痺して慣れてくる。
それは主人公も同じで、強く逞しく、狡猾に、非情になってゆく。
たまに登場する、ウド・キアーやハーヴェイ・カイテルやステラン・スカルスガルドやバリー・ペッパーなどの馴染みの顔にホッとする。
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