「コミュ障少年の壮絶ロードムービー」異端の鳥 Mt.ブルーさんの映画レビュー(感想・評価)
コミュ障少年の壮絶ロードムービー
ひたすら、淡々と進む典型的な文学系作品
。禁書となった小説の映画化で、上映時、退場者が出たなどの謳い文句に惹かれて鑑賞。
感想・・思っていた程では?
後、ユダヤ人であるが為、差別を受けるのですが、そちらは大した描写ではなく、むしろ、行く先々の頼る大人の変態性への犠牲の方にクローズ・アップされている感が強いです。
が、それもこれまで色々な作品で散々描かれてきているモノで、特段「この作品だから」と言える描写ではなかったです。
人間のどす黒い欲望や獣性は、弱者である女性や子供に向きやすい訳で、まあ、あの歳ならトラウマ級の出来事ばかり、そりゃひねくれるよ。
最後、いきなり父親と再会し、帰宅の途に着くところで終わるですが、心の中はどうあれ、父親にあの程度の反抗しか見せなかったのは、擦れたのか?逞しくなったのか?
途中、軍人とのエピソードで、少年がバッジで、何処の国の軍人か確認するシーンが有りましたが、(2か所?)国境が陸続きの欧州ならではでしょう。
モノクロで美しい情景の中で行われる少年の凄惨な体験の数々。また、凄惨な状況を淡々と見続ける少年。
只、喋れるのに物凄く会話が少ない上、(大人に叱られる子供が黙る感じか?)終始、仏頂面の少年が何考えてるのか?心情の変化は、一人目の殺人辺りから何となく狡猾さが、見え始め(そうしないと自分が死ぬから、ある意味逞しさ。)、最後は遣られたら遣り返す倍返しだ!!(笑)
そして、父親に連れられ日常に戻る。
さぞ、ひねくれた大人になるのでしょう。(苦笑)
只、父親の焼き印?を見た少年は、どう思うのか?
子供とは言え、ユダヤ人が殺人してお咎め無しなの?
蛇足で、完全に個人の主観なのですが、この映画を観て途中退場した観客というのは、余程、恵まれた環境でしか生きて来なかったのか、人は綺麗なモノだと思い込んでるピュアな方々なのでしょう。(皮肉ですよ)