「強烈な映像の強さに目が離せない」異端の鳥 Chiharuさんの映画レビュー(感想・評価)
強烈な映像の強さに目が離せない
ほとんどセリフが無いモノクロ映画、いつどこ誰は分からないままに進んでいくのにも関わらず。
場所を失った少年、家までの道すがら関わる大人たちを少年の目線で描く、所在の無い物語。
はじめに関わるのが祈祷師みたいなおばあさんで、儀式的なシーンから抽象的な物語なのか?と煙に巻かれた様な気分になる。
しかし、少年が受ける執拗なまでの差別発言や行動で私たちにも徐々に状況が見え始め、恐ろしい程の現実が現れてくる。
側から見えない家庭の事情やら人生の悲劇、狂気な欲望にまみれた世界から慈悲深い人々まで、閉鎖的なコミュニティの厳しい目にさらされる少年と、少年自身の強い瞳が対照的だ。
はち切れるばかりの少年の気持ちが最後に溢れ出す時に、私の気持ちもシンクロする。
忘れるわけがない、大切な物は心の奥深くにしまってあるんだから。
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