劇場公開日 2020年10月9日

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「何と言う陰惨さ」異端の鳥 うにたん♪(コロナが当たり前の世界)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0何と言う陰惨さ

2021年3月17日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

少年の辛い日々が延々と続く内容に救いはないのか?
初っぱなの老婆の家では親族の扱いであったが、不意に亡くなった老婆に驚いて失火…少年の逃亡の日々が始まる。

時代が時代とは言え、変わり者が次々と現れ様々な事象を見せつけていく。
呪術師のような老婆から始まって、土中に埋められ、農場のDV旦那と嫁の痴情のもつれに巻き込まれ、鳥好きの爺さんに拾われたら、破廉恥な狂女の色事を見せられたり、狂女が近所の子どもを誘惑して関係もった事でご近所のお母さん連中が狂女とそれを庇った鳥好き爺さんぶっ飛ばされたり…ん~なんなんだこの展開。

それだけでは終わらないのがこの作品の恐い所。
怪我した馬を拾って、村に連れてったらドイツ軍に売られ、神父に救われるもショタ好きの変態親父に養われて新たな地獄を味わう。
変態から今度は女に拾われ、関係を持つと少年に恋慕の情がうまれるが、女に役立たずと罵られ少年が変わってしまう。なんと通りすがりの爺を襲って身ぐるみ奪って逃げ出すのだ。さらにソ連軍に拾われると兵士と行動を共にする。ひとくちに兵士と言っても野盗のごとき連中も現れ、一向に救いがない。
少年に銃をくれた兵士の想いはなんだったのだろう?
ラスト父親が迎えにやってくるが、本人にとっては地獄とも言える希望のない時に影も形も無かった父親への不満は仕方ない。
だが、地獄で身につけた観察力や適応力が父の腕にあるナンバリングを見て、父親が味わった地獄を理解したのだろうか?

ただ、ただ少年の目を通して苦しい辛い世界を覗き見させられる様でイヤな感じもするが、モノクロの映像がそれらを“昔の事である”と薄めているようで観続ける事が出来たが、今も世界のあちこちでこんな事が起きているのだろうと思うと不安にさせられた。

うにたん♪(DCPにも抜け穴あるんだ)