喜劇 愛妻物語のレビュー・感想・評価
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足立紳、監督の才能もすごいよ…そして水川あさみはベストを叩き出してしまった◎
めちゃくちゃ面白かった。お互いに慣れ過ぎて普段の思いやりが凄〜く薄まっているリアル過ぎる夫婦の感じにはかなり圧倒されたし、自分も同じような言動しまくってるな…ってとこで心が痛くなる瞬間はかなりあったけど、とにかく面白かった。足立紳って本当脚本もそうだけど、映画監督の才能相当ある…ってとこを監督作品見てこれでもかってぐらい見せつけられる。今回のは自伝的小説を自身で脚本・監督してるってのも良かったけど、それを見事に唯一無二の凄い映画作品として世に出してて、マジで尊敬だよ…脱帽だよ。
キャスティングももう凄い良い。てかこの映画に出てる人子役含めみんなしっくりと役にハマってるし演技バカ上手いし、キャリア爆上がりしたなって感じだった。(子ども役の新津ちせちゃんは、割とよく見る…?と思ったら、エールの森七菜幼少期や3月のライオンのももやってた子だと気付いた。そこにいるだけで良いってぐらいとても良かった)。語彙力が乏しいからこんな事しか言えない、というより、なんか本当素直に、映画見た感想を、感情を伝えようとすると上記のような文になりました笑。
ここからは自分の勝手な考えだけど、日本アカデミーって審査員達が「今年の5本はこれですね」って映画を選んで、大体そこから主演女優賞だの助演男優賞だの新人賞、監督、脚本賞だの自然と選出されてきますよね。そして作品自体を(あの日本アカデミーの中で)評価されなかった作品でも、その中で極めて良い動きしてた俳優陣が各種賞にちょこちょこ出て最優秀とっていくパターンもよくありますが(菅田将暉の「あゝ、荒野」、蒼井優の「彼女がその名を知らない鳥たち」、安藤サクラの「百円の恋」でとった最優秀主演とかまさにその類)、今回の水川あさみはそうなるんじゃないか…?ってぐらい最高に良かった気が。勿論作品自体も、夫婦のリアルや性や、家族の感じや、好きな事や夢で食べていきたいけど上手くいかない日々が目を覆いたくなるぐらいの現実が如実に描かれている上に、ロードムービーのような形で進んでくエンタメ性のある展開もあってめちゃ面白いし評価されるべきなんだけど、割とこの手の映画は単館系扱いでレースから外されがちだから(そこに吉永小百合や天海祐希や舘ひろしなどが出てると外されないがちだけど)、作品自体が大きくピックアップされないにしても、マジで水川あさみだけは最後の砦として順当な評価を与えられて欲しい…!!と強く願わざるを得ないぐらいの演技だった。あの演技を見るためだけに行ってもいいぐらいの。(主演の濱田岳も言わずもがな演技ばか上手くて、水川あさみ演じるチカをめちゃくちゃ苛立たせてチカ目線で見てる私もめちゃくちゃ苛立たせて、相変わらず良かったけど、あの人の場合「アヒルと鴨〜」とかで既に日本映画界での存在感と言うか立ち位置が確立されているので割愛しますw)
水川あさみ良かったな、すっごい良かったな。
私が思ってる以上に超良い評価(既にされてるんだろうけど)されて欲しいなぁ。
家族愛よりも性的欲求が勝る描き方ってどうなの?
例え稼ぎが少なくても、夫が家事も育児もしていて、それで仕事に対しても自分からアクションを起こしているけど、なかなか仕事に結びつかない上での恐妻ぶりであるとすれば、「もうちょっと認めてあげてもいいよ」と思うし、理不尽な怒りをぶつけられているようなものと感じられるのだが、モデルがどうかは知らないが、明らかに今作で言えば妻の恐妻ぶりは夫側に原因がある。
妻がパートをして支えていて、節約もしているのに、作る料理にケチをつけたり、手伝わないし、仕事もしない。更に妻が料理を作ることがあたりまえのように携帯をいじっているような姿を見て、心地よい妻がどこにいるだろうか。
それでも妻は本気で「仕事を変えろ」とは言わない。ということは、才能は認めてくれているのだけど、意欲や態度が気に食わないのだ。クリエイティブな仕事をしている人であれば、そこを認めてくれているというのは大きいと思う。
夫の取材のために、パートを休み、宿泊料や交通費は明らかに奥さんから出ているわけで、そこにまたケチを付けてくるって...どういう神経してるの...罵声飛んできてあたりまえ。
そこをはき違えて性的思考にベクトルを置いている今作はどうなのだろうか。
何かといえばセックスレスを解消する方向に話が向かってしまうし、相手にしてもらえにいとなると、大久保さんと浮気しようとしたり、泥酔いの女性にいたずらしようとしたり...浜田岳が演じているから、なんとなくやんわりとしているのだが、よくよく考えると相当なゲス野郎だ。
がんばってはいるけど、上手くいかない夫婦の関係性や掛け合いを喜劇にしたいということは、なんとなく伝わってくるのだけど、家族愛よりも私欲に向いた描き方はどうなのだろうか...監督自身がモデルなのに、自分をここまでゲス野郎にする必要性ってあるの??
ウチの4,500円は、他のウチの45万だから!
なるほどね、監督の足立紳の自伝がこの映画のベースか。「百円の恋」の脚本で有名になったものなあ、とちょっとプロフィールを眺めてみたら、「志乃ちゃんは~」も「恋」(岡田奈々)もそうだったのか。どっちもいい映画だったよ。
それに比べてこの映画はまあまあ。とにかく豪太のダメっぷりが全編を通しているので、受け入れない人にはキツイ、苦い、歯がゆい、苛立つ。半面、チカの鬼嫁っぷりは、イタイ、切ない、見苦しい。これでは”悲劇恐妻物語”でしかない。さらに、音楽が、その感情を煽っている。でも、「別れる!」を繰り返すチカが実行に移さないのは、実は豪太の才能を愛してるからだと後でわかる。それは、川べりで3人で泣き笑う姿で十分伝わってくる。いいじゃないか、こいつらがそれでいいのなら、こいつらの好きにさせとけよ、って、けして投げやりに言うのではなく、薄笑いと苦笑いの混じった顔で言いたくなるよなあ。
喜劇なの?
高評価の人が多いので人によって感じ方が違うのか。私には恐妻というよりかなりDV寄りのグレーゾーンにしか思えなかった。旦那は喜んでるようだから問題はないんだろうけど…。
「セックスレス」がテーマの一つになってるけど、真剣に悩んでる人には参考にならないと思う。あんな悩みじゃないだろうし。
それから、妻がケチなのはいいけど、ビジネスホテルのシングルに親子3人で泊まるために妻だけ塀から不法侵入とか、ワイナリーで試飲用のワインを水筒に詰める(夫も最初はビビっていたのに結局自分からペットボトルに詰めていた)とか明らかな犯罪(しかも成功)は笑えない。せめて従業員に見つかって説教の一つもされてほしかった。旦那の酔っぱらい女性の介抱事件もそう。被害者面してるけど、おまわりさんに見つかんなきゃ実行してただろうに。
ついでに、青春18きっぷで東京から高松まで移動するシーンの詰めが甘い。PR記事ではそれも売りだったようなのでちゃんと詰めて欲しかった。
・東京~高松間では乗るはずのない電車に乗っていた。撮影協力がJR四国になってたので、全部四国で撮ったからなんだろうけど。JR西日本はロケサービスやってるんだから使えばよかったのでは。
・東京を始発で出ても今の平日ダイヤで高松に着くのは17時37分。夏とはいえあんな日の高いうちに着くのおかしくない?(途中で宿泊した描写もなし) しかも途中で乗り遅れてるよ…。
・ 途中で降りた駅でちらっと映る駅名標がJR四国仕様(想定される行程では高松駅以外ありえない)。上からダミーの駅名標を貼ったりすればよかったのに。
・奥さんが犯罪的なケチなのに、マリンライナーの指定席(親子3人で1,320円)に乗っちゃうの?
あれ、なんだこの既視感
どっかで見たぞ、この風景。駅前シリーズ?寅さん?違う!あっ、わが家だ。
キッつい嫁、うだつの上がらない旦那、まるでウチじゃないか。
見ていて辛くなってきた。嫁さん(水田さん)、まだ言うか、やめてくれ…。
喜劇ってお笑いじゃないの?だまされた。でも、こういうのがペーソスちゅうの?
うー、辛い。
終演後回りみたら、仲良さげな夫婦連れの多いこと。辛かったのは私だけ?
週明けのワイドショーで舞台でのちせちゃんのセリフ、「うちの両親はこんな感じじゃない。作り物だとわかっていても、もう少し仲良くしてくれたら」。
絶対子供はそう思うよねぇ。
きょ〜
俺、頑張るから。
一見、だらけているように見える夫でも、その人なりに頑張っていたんだ。人それぞれ頑張るレベルは違う。からこそ助け合う必要があるのではないか。みんなで泣き笑いして乗り越える。そんな物語だった。
p.s.
R15でもいいんじゃないか??
映画館に行こう!
古い傷痕が疼いた
濱田岳のダメ夫ぶりが、天然レベルにはまりすぎていて、笑うに笑えぬ苦笑の連続!
映画としては面白いし、出来はいいと思うものの…
ふと「発注プロデューサーは気楽に『没』『企画中止』って言うけど、それまでフリー側が負担したロケハン費用やかかった労力に対して、金は一切払わず『また今度』で済ますよな」ってシーンで、心がザラついてイライラしちゃった。
自分が過去の仕事にて、発注も受注もしていたから、両方の立場でNGだろうって思うことが多数。
だいたい、フリーを呼び出しといて、ありがとうの一言もない奴多すぎ!交通費と時間は馬鹿にならんのだ!
決して作品が悪いわけではなく、ある意味では作品として成功しているのだが、私自身が受けたり見ておかしいと思ってきた世の中の色々な酷い事例を思いださせられたのでありました。
いやー、夫婦って大変だなー でもこの夫婦はダメといいながら、一緒に...
いやー、夫婦って大変だなー
でもこの夫婦はダメといいながら、一緒にいる選択をするところが奥さん優しいなと。笑えるところもあって、なんかリアルでさすがの脚本だった。
人生にはユーモアが必要です。
大人向けのお話として楽しめました。
男の情けないサガが丁寧に描かれていました。
脚本が素晴らしくて、ここにヤラセはないなあと。
しみじみと笑えました。
水川あさみさんが『ズーランダー』が好きっておっしゃっていて、納得です。
良かった〜。
【靴下とでかいパンツ】
面白いけど、どう笑っていいものか悩んでしまう(笑)。
ただ、あんな良い子供だったら、子育ては上手くいったのだろうし、仲良く出来るように、「旦那、もっと、努力しなよ」というところか。
ちょっとシュールなのは、エンディング近く、親子3人で固まってビービー泣くシーン。
よくあんな風景があったと思う。
手前がお墓。
道路にへたり込んで泣く3人の親子。
河。
そして、河の向こうのラブホテル。
この世に生まれてきたものの、ああ、三途の川を渡ってしまって、でも引き返せるか、このままかみたいな。
ここも、ちょっと笑ってしまった。
僕の田舎には、通称「人生通り」という、2キロぐらいの長い通りがあった。
昔、通りの始まりにお産婆さんがあって、すぐ隣に幼稚園、更に隣に小学校、その隣に中学校があって、通り沿いの結構離れたところに病院があって、更に離れた通りの行き止まりに火葬場があったのだ。
お産婆さんは既にないし、幼稚園と、病院は規模拡大で移転したが、小中学校と火葬場は今でも残っている。
なんか、それを思い出した。
映画にあるように、あ 脱いだ靴下の匂いを嗅ぐ女性はは多いのだろうか。
昔結婚していた人は、身体の柔らかい人で、良く足のつま先の匂いを嗅いで臭いか確認していた。
いろいろな意味で、かなり驚いた。
靴下は裏返して洗濯すると臭くならないし、ひいては足が臭くなるのも抑えられると思う。
悩んでいる人は裏返して洗ってみてください。
それと、あのデカい赤いパンツ。
昔付き合っていた女性は、家に帰るとデカいパンツに履き替える人だった。
勝負パンツみないなのも当然所持していたが、外出する時につける下着は、正直かなりきつきつなのだそうだ。
女性は大変だ。
普段から、ゆるいパンツを履いたらどうかと一度助言してみたが、それは「絶対無理」と言っていた。
下着の線が気になるのか、詳しいことは聞けずじまいだった(笑)。
というか、聞いたら怒られそうで聞けなかった(笑)。
男は男でエロいこと考えているのは至極当たり前だし、大久保さんにその魅力を感じるかは別にして、そんな自分の日常や思い出と照らし合わせながら観たら楽しい映画だと思います。
因みに、映画に僕は一切教訓みたいなものを感じませんでした(笑)。
特別な映画ではないけど・・・
特別何かを伝えたいわけじゃないけど 頑張っても理想に近づけない現実。
多くの家庭が共感できる内容。水川あさみ見たいな妻になりたいのか なれるのかという
女性目線ではかなりお薦め映画。 日本古来の亭主関白制度と近代社会における男女平等
現代社会におけるデジタル女子とアナログ男子が非常に良かった。期待してなかったのに・・
男と女 (所帯じみすぎてて笑えないところが喜劇)
新海誠さんの娘さん、また走ってます。走り回ってます。はしゃぎまくりです。セリフより走ってる時間の方が長くないですか?元気だね。子供は元気が一番だす。
旦那がクズです。とことんクズ。能無しなくせに、プライドは高く、志はありません。せクロスの誘惑に負けちゃうタイプ。金は稼げませんが、世間体は気にします。うっわー、何か、俺みたいだよ。若い頃の、だけどw
女房が怖いです。いつも怒ってるのに、怒ってないと言う最凶メンタル。怒る必要もないのに怒ってるヘビメタ脳です。ケチで犯罪的にセコイです。うっげぇ、何か。俺の知ってる、あの人にそっくりですやん。1/20くらいに薄めればだけど。
という事で、何やかんやで、身につまされる映画でした。同時に。どこのお宅も、こんなんなん?ホンマに?うちなんか、まだ、マシな方なんだ。と、リアルにほっとしてしまったりして。
幸せを呼ぶ、赤パン。と言うより。あれはニット系の鬼パンツで節分でっしゃろ。夏は、暑いと思うけど。そんなパンツをはいて寝てる女房の気持ちを察しろよ。
取りあえず、最後はホッコリで良かったです。
「八日村の祟り」よりも「暴力温泉」を観てみたい!
「幸福の赤いパンツ」は『幸福の黄色いハンカチ』のパクリではないのか?!いや、これがオマージュなんだって・・・と、主人公豪太も妻チカも、そして友人である由美も大学の映研出身らしい。もっと映画談義も楽しみたかったのですが、その他はペキンパーや日本の俳優名が登場する程度でした。
手書きにこだわる脚本家の豪太。「暴力温泉」で賞を獲ってからというもの、鳴かず飛ばずの有り様。映画の脚本にこだわってるせいもあるけど、元来持っているプライドが邪魔してるんですよね、きっと。そんな彼にもチャンスが回ってきた。以前書いた「八日村の祟り」が実現しそうだったからだ。さらにもう一つ、「うどんを打つ女子高生」を取材して物語を仕上げる企画が舞い込んできたのだ。
ストーリーの中心は妻とセックスしたい欲求と、家族両行で絆を取り戻したいと願う豪太。ここでも頑張り屋のチカが旅行の計画を全て立て、倹約につとめるたくましいお母さんが描かれていた。東京から香川まで“青春18きっぷ”を使うところから苦労が窺えるのです。また夫のダメぶりを罵るかのような夫婦漫才の様相を呈してきて、ツッコミされまくりの豪太。笑えるどころか悲しくなってくるほどで、高齢カップルの観客が多い中、大笑いしたのは最後の一発だけでした。
でも、ちゃんとわかってる。家族旅行を提案した夫の気持ち、チカは心の奥では感謝していたんだよ。ただし、ノーセックス!質素倹約してるんだから、豪太もその気持ちを汲んでやれよ~てな感じで呆れてしまう場面もしばしば。あとは、パソコン打てるくらいになろうね。エロ動画ばかり見てないで・・・
濱田岳のモノローグを聞いていたら、W座からの招待状を思い出しました。
実力派のこの2人だからこそ。ギリセーフ(笑)
ハチャメチャで暴言も炸裂だけど、この2人の確かな演技力で、見事に昇華させている気がします。
幼い子供の前で夫婦が激しく罵り合いとか「死ね」はアカンやろって最初はモヤモヤ思うんやけど、そのキワドイぎりぎりのところで水川あさみが可愛いとこ見せるし、ダメダメ夫の濱田岳ちゃんは憎めないし。もう絶妙😅
映画館じゃなくて家だったら、何度も声出して笑ってたと思う。
結局夫婦って相性なんかな、って思わせるラスト。なんやかんや言ってもしょうもないことで仲良く笑い合ってるし。
離婚経験者としてはなんか羨ましい、この夫婦😉好きなこと言い合っても、結局離れずで。
水川あさみさん、好きな女優です!
中途半端な俳優が演じてたら、くだらない、ガラの悪いだけの作品で終わってたと思う。
巷間の夫婦のありようとして面白く鑑賞できた
タイトルに敢えて「喜劇」とつけたのは「愛妻物語」だけだと大量のツッコミが入ると予想されたからだろうか。朝から晩までセックスのことしか考えていない夫は少なくとも愛妻家ではない。しかしこういう愛妻家がいてもいいでしょうという開き直りの意味での「喜劇」だとすればよく理解できる。ある本によれば男は52秒に一度性的なことを考えるらしいから、本作品の主人公豪太みたいな夫は強ち稀な存在ではないのだろう。手の届かない若い娘よりも、ヤラせてくれそうな吾妻さんにちょっかいを出そうとするのが哀れだ。
世の中の妻はどうかというと、これも夫と似たりよったりで、本能的であるところは変わらない。動物でも昆虫でも、メスは強いオスと交尾したがる。より強い遺伝子を選ぶことで種の保存を成し遂げたいという訳だ。人間の場合は少し違っていて、種の保存よりも自分の保存を重視し、そのために強いオス、経済力のあるオスを選ぶ。ママ友の自慢話は夫の経済力や地位、見た目のよさ、性的能力の順である。
ところが本作品のチカは、何故か強くもなく経済力もないオスを選んでしまった。メスの本能に反する選択であり、チカはこの選択をずっと悔いることになる。チカの凄いところは、通常は相手を傷つけるから隠すはずの本音を真正面から当の本人にぶつけ続けるところである。夫婦間ながらパワハラそのものである。そしてパワハラの被害者であるはずの豪太は自分の不甲斐なさに原因があることで、妻からの罵詈讒謗を甘んじて受ける。しかも罵倒されながらも妻とのセックスのチャンスを窺うという、恐ろしく強い精神性の持ち主である。
現実にこんな夫婦がいたらなるべく近寄らないでいたいが、物語としてはこういう典型的な本音人間を登場させるのは痛快である。他人を気にしながら生きているすべての人は、たまには傍若無人になりたいと願っているのだ。水川あさみは人格破綻したチカを思い切り演じていた。何しろ日頃は絶対に言えない言葉ばかりを大声で撒き散らす役である。さぞかし愉快だっただろう。
人間は自分が傷つけられないように、他人を刺激しないようにして生きている。他人に酷い言葉を投げつけたら、それ以上に酷い言葉をぶつけられる危険性がある。あるいは哀しそうな表情で無言に沈まれ、いたたまれない気持ちにさせられる。酷い言葉というのは結局自分と相手の両方を傷つける諸刃の剣なのである。
被害者意識がある間は、優しさを獲得できない。チカがその典型だ。思考の基本が損得勘定だから、どこまでも自分が損をしていると考えて相手を許せないのがこのタイプである。夫の豪太がチカから優しく接してもらうためには無限に与え続ける必要がある。しかし豪太にそんな能力はない。夫婦は最初から破綻しているのだ。
しかし破綻したままでも夫婦として成り立っているのが人間の面白いところで、だから「喜劇」なのだろう。破綻していても破局しない理由は豪太の我慢と妻への恐怖と稼げない引け目とそれに妻への性欲というのだから、笑えるというよりも泣けてくる。妻の前だとうつろな表情になってしまう夫を演じた濱田岳も、こういうわかりやすい俗物を演じて楽しそうだった。
愛妻家というと優しく微笑んで妻への感謝を口にするイメージだが、金の切れ目が縁の切れ目みたいな本音を出してみたらどうなのか、愛妻家の定義をいつまでも妻に対する性欲を失わない男のことにしたら面白いんじゃないかという発想で生まれた作品だと思う。こういう夫婦には誰が総理大臣になっても関係ないのだろう。巷間の夫婦のありようとして面白く鑑賞できた。
腰の回転飲んでみたい
年収50万円、嫁に相手にして貰えず2カ月童貞の売れない脚本家が、取材を兼ねて嫁と娘とともに香川県へ旅行に出かける話。
取材にしたって、ものすごい速さでうどんを打つ女子高生の映画って、個人的に興味がわかないんだが。と思っていたら出オチかよw
そもそも電話でアポとるときに確認しようよw
その年収で家事をすることをハードルが高いとか言っちゃうし、モヤシ料理にモンクをつけるし、愚痴もプライドも良いけどその前にやることやれや!な典型的ダメ男。
何かといえば嫁を誘い、嫁が好きで好きでならばまだ良いけれど、単に頭の中が桃色一色なだけだしね。
嫁も顔を合わせるたびにモンクばかりで手厳しけど、そのやり取りはもう見事な夫婦漫才。悪態つき過ぎでちょっとギスギス感強めだけどね。
なんだかんだ嫁さん優しいじゃん。感謝しろよ、と思いつつも自分に置き換えると、ちょっと身につまされるところもあったりしつつ、最初から最後までたっぷり笑わせて貰った。
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