ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺんのレビュー・感想・評価
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日本のアニメを見ているよう
設定や構成は日本人に馴染みある
作りになっていて見やすいです。
天空の城ラピュタのシータと
パズーの雰囲気がチラつく
表現が出てきます。
19世紀の航海の仕方が丁寧に
描かれていて当時の過酷さが
よく表現できている。
あっさり終わるので
もう少し余韻に浸りたかった。
サーシャの感情表現が必要最小限
なので読み解くのが難しい。
祖父の最後を見てサーシャは
納得したようなのでよかったよかった。
少女は北極点を目指す
シンプルな画から 力強さと人情味を感じる良作
まず、アニメ映画の第一印象としてどこを見るでしょう?華やかな予告編?ストーリー性?名のある監督?人それぞれ見てしまう箇所はあると思います。それでも“画”は気になるところではないでしょうか?本作の画は原色を主に使っているのか、それとも使用する色が少ないのかと思うくらいにシンプル。しかも動きも「昔の日本アニメか?」と思うくらいにカクカクしていて、画もカクカクしている感じ・・・。言葉選ばずに例えるなら「チープな画」。しかし、
その画から魅せる本作の力、侮ってはいけない。
ストーリーの舞台はロシア帝国。簡単に説明すると探検家の孫である名家の娘:サーシャは、2年前に北極点を目指し行方不明になったおじいさんを探すために一人旅に出て、途中一緒に探してくれる船と乗組員を見つけ(おじいさんはロシア帝国の英雄とされていたため、捜索して見つけた者に国から莫大な報奨金が出ていた)、北極点を目指す、というものです。
最初に「本作の画はチープ」と表現しましたが、そんな簡素な画から現れる表情がホントに多彩で感情豊か。その中でも“目”の表現が素晴らしい。戸惑う目、力強い目、怒りの目。それだけではない。特に車窓から流れる景色を追う目の動きに感動。こんな細かいところまで表現しているのか。観ていて飽きが来ない。
この監督はなんと“表現力豊か”なことか!
しかし、本作はそれだけではない。事情を知って匿う女店主や、男の中の男な船長と博打好きだが人情ある航海士、やんちゃな船員など登場人物もかなり魅力的。セリフもないモブキャラでも、その“表現力”を活かしており、全体的に人情味のある世界が出来上がっている。しかもその中で大海を知らない名家の少女がもまれ、立ち向かっていく。
諦めないこと、信じ抜くことの大切さを、人情を持って伝えているかのような映画です。この人情が強く押し出されているからこそ、本作の見ごたえを生んでいるのではないかと思います。
シンプルな画に上映時間は81分とお手頃。短いゆえに複雑なストーリー展開はあまりない。しかし、力強さを感じる良作でありました。
あと本作で学んだこと、寒さと飢えは人を凶変させる・・・。うん、気を付けよう。
おじいちゃん!!
独特なタッチのアニメーション。 ストーリーもしっかりしている。貴族...
心象描写が素晴らしい子供〜大人が楽しめるアニメーション
内容は、19世紀のロシア🇷🇺に暮らす上流階級の少女が、北極点を目指して行方不明になった祖父の名誉挽回に祖父の航跡を辿り旅に出る貴種流離譚的群像劇。好きな言葉は、『振り返るものか。船を🚢置いて来た北緯87°2東経76°5』孫娘の約束を果たし命を使い果たした達成感と諦観と決意が感じられる言葉。好きな場面は『良い眺めだ。お前に見せたいよ。サーシャ』仮死状態での祖父との再会と離別。公開日誌が祖父が残してくれた希望の光と云う表現もいい。最後に亡き祖父との時空を超えた会話の形でのオフ台詞と映像のタイミングが素晴らしい。何せアニメーションの技巧もさることながら、彩度や効果音やBGMや心象表現のタイミングが絶妙で目を見張る教科書的な作品でした。ブリザードの描写や立ち往生の絶望感が物語の起伏を強調させ輪郭のハッキリした素晴らしいアニメーションだと感心しました。映像で詳細を伝えようとする拘りも凄いですし、犯人探しから個人の気持ちも表情を微妙に変えて何度でも違う味方の出来る素晴らしい作品でした。『信じたのがバカだったんだよ!皆んな凍え死ぬ!』との絶望的な台詞は刺さりました。観ていて自分も寒くなりました。やはり目や眉の動きには目を見張りますし、強く生きる意思と相手の気持ちを読み取ろうとする意識を感じます。冒険から途中離脱したダバイ号救命艇の人々も助からなかったんだなと考えると、色々ありながらも皆で協力する事の大切さや仲間を思いやる大切さを今回のダバイ号捜索の冒険で誰も命を落とすことなく冒険を終える事で表現した理由だと感じました。子供〜大人まで楽しめる作り手の思いが感じられ奥の深い作品で個人的は大好きです。
全く きたいしていなかったのですが
鑑賞動機:ちょうどテレビ放送するらしい10割
新年1発目作品。地上波放送ありがとう。 ストーリーとしては良くある...
新年1発目作品。地上波放送ありがとう。
ストーリーとしては良くある、世間知らずのお嬢様が色んな荒波に揉まれながら自身の夢を叶える物語だが、スケールがデカい。正直ご都合主義感が強いのだがそれでも船員達のイザコザや主人公の甘さとヘイトなどかなり現実的に描かれていたと思う。ラストもハッピーエンドとはいえないが悪い後味ではなかった。
そして何より今作の魅力は音と映像だと感じた。流氷のリアルな軋む音やオシャレなbgm、線ではなくパステル調の色だけで表現された人物や風景が絵本のように魅力的で昨今の日本アニメでは見られない表現がとても素晴らしかった。
今作や中国の羅小黒戦記など海外の素晴らしいアニメ作品にこれからも期待。
北極へ向かう少女の冒険譚
色使いがキレイでいい
揺れる船内
冒険家はなぜ北極点を目指すのだろう・・・
祖父オルキンが冒険家。貴族しか行けないほど金がかかる北極点への旅。しかし沈まない船ダバイ号もついに帰ってこなかった。事実としては北極点到達を果たしたのは20世紀に入ってからなので、この内容も架空ながら面白い内容ではあった。
序盤では貴族の政略結婚とか舞踏会デビューとか大した展開ではなかったのに、家出をして自力でダバイ号を探す旅に出た貴族の子女サーシャがなんとも逞しくなっていく様子がよかった。記憶力もいいし、色んなことを調べる14歳。忙しい食堂で働きながら、ルンドが船長を務める船に乗るため勉強する・・・船員の特徴とかも・・・
輪郭線のない独特な絵は幻想的でもあり、意外と表情も豊かに感じられた。60年代の東映アニメみたいな作風をコンピュータで描いていたような雰囲気で、色の数が少ない割に色んな表現ができるんだと驚いてしまうほど。圧巻は氷山が崩れるシーンだったかな。
まぁ1年も経ってるんだから、船員は生きてるはずもないし、医療品や食料を求めてダバイ号を捜す一行。淡々と進む割に、細かな描写が立体感を醸し出してくれて、あたかも流氷を彷徨ってしまう錯覚にも陥る・・・と言えば大げさかもしれないが、サーシャの信念、信ずる心がシロクマをも倒してしまったりする。う~ん、何となく最後はあまり感情を動かされなかったけど。
サーシャの意志の強さ
アニメ大国の日本が失った何かがある、良質で丁寧なアニメーション
日本人がいつの間にか作れなくなった高品質で素直で良質な、とてもアニメらしいアニメ。最高の形で少女の冒険・成長物語であり、目的は家族の誇りや夢といった王道的展開から軸はブレないものの、それが素晴らしいアニメーション技術とところどころよぎる死亡フラグ(そしてそのへし折り)のおかげで見てて退屈することがまったくない。
何よりキャラクターがしっかり「演技」しているところが素晴らしい。アニメとはかくあるべしだ。
図書館でにおいをかいだり、おじいさんに北極圏のハナシを聞いてごく小さなため息をついて想像をめぐらせたり、舞踏会に入るときの社交界用の感情の作り方だったり、シンプルな線で奇をてらった構図を使うわけでもなくしっかりとキャラクターの感情をその挙動の中で伝えられている。なので不要なセリフが存在しない。キャラクターのそれは、映画でいうところの役者の演技力であり、本来ならば最重要視されるスキルなはずだ。
日本のアニメーション制作者の中で、これを満足に果たそうとしているクリエイターが果たしてどれほどいるのだろうか?
大人が観ても新しい気付きが多いのも、王道ながら退屈しないポイント。
19世紀のロシア帝国という日本のエンタメ作品ではあまり取り上げられない題材だが、当日の貴族たちの生活や波止場の食堂の様子、北海の航海の様子などが表面的でない生活感を伴ったリアリティをもって描かれている点はどれも新鮮で面白かった。
シナリオ構成要素は本当にベタで王道で(悪く言えば既視感にも塗れていて)、世間知らずな女の子が泥臭く努力しながらたくましく成長していく姿はウジウジしない魔女の宅急便ともいうべきだし、サブキャラクター達の世界も過剰すぎない範囲で気持ちよくわかりやすいものにまとまっている。あくまでサブフレーバーとして、船長と航海士の葛藤や兄弟愛や、ガキの恋心とか、遭難に直面した船員たちの不安などが良い添え物として機能している。
しかしそんなベタな内容なのにまったく「クサい」と感じないのは、最近の日本のアニメが毒されている惰性でカマしているような過剰演出がないからだろう。ドラマチックなシーンのそれでも、前述のようなキャラクターの丁寧な感情描写はあるものの、辟易するようなキャラクターの長ったらしいセリフの独白(盛り上がるBGM添え)といったものが全く無い。とても清々しい後味のアニメーション映画になっている。
船長の死亡フラグがことごとくへし折られるのが凄い。ずっと死ぬものと思ってた…。
北極海の厳しさと色彩の美しさ
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