ミッドサマーのレビュー・感想・評価
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人間がもっとも忌避したいことをこれでもかと見せつける。そういう映画。
よくもここまで見たくないものを丹念に抽出して披露したものだ。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と種類は違えど比肩するほどの気分の悪さ。
ただ、ストーリー的には気になって最後まで観てしまう。 雰囲気も独特だし。
中身は「結局何もない」のだけれど、「興味の惹きつけ方」「他に類のない独特感」は凄いと思う。
素朴で明るい絵面は恐怖の額縁
急に怖いものが出てきて驚かされるということがないという風評を聞き、ホラーは苦手だが観に行った。結果、並のホラーよりメンタルにクリティカルなダメージを受けた。中辛のグロあり。身近な人間に理解されない傷を抱えた人だけは、最後に爽快感を得られるだろう。
この作品の舞台に限らず、地方の古い風習とは、それを見慣れないものの目には時にどこか得体の知れないものとして映る。主人公たちが村を訪れた時、観客もその得体の知れなさを感じるのだが、村人は友好的であり、自然や花と明るい光にあふれた空間がある。残酷な儀式はあるが、彼らなりの信仰に基づいて行われている。カルトではあるがこれは文化や信仰の違いとみなして侵さざるべきものなのか。などと思考がうろうろしているうちに、中盤以降どんどんとんでもないことになる。
監督へのインタビュー記事によると、ヴァイキングの風習に劇中で行われることと近いものがあったらしい(もちろんあくまで参考にしたということで、全てが事実そのままなわけではない)。北欧神話を下敷きにしていることも見て取れる。
ざっくりした言い方になるが、ホラー映画にありがちな、未知の怪物や幽霊や巨大生物やサイコパス等が敵として襲ってくるパターンならば、敵から逃げ切ったりやっつけたりして終われば鑑賞後の気持ちのキレはいい。だがこの作品で恐怖をもたらすものはそういった敵ではなく、おぞましいイベントがいにしえの風習とシームレスに融合し、明るくふんわりした風景の中で、素朴な善意をもって行われている姿だ。鑑賞後もなおまとわりつくような恐怖の後味が残るのはそのためかも知れない。
序盤で主人公に起こることは監督の実体験がモデルとなっており、映画製作は監督のトラウマの癒しになっているという。確かにアウトプットは優れたメンタルケアだし、そういうスタンスならラストはあれしかない。監督の作った箱庭をスクリーンで見せられたということか。
独特の世界観と重たいパワーを持った映画。2回観に行くエネルギーは、私にはありません。
観客の良識をひっくり返す“祝祭”ホラー、全編に漂う嫌な感じがたまらない
R15+指定の一部ショッキングな描写と、全体的に嫌な感じが漂う、好きな人にはたまらない1作。民俗学を研究する男女5人が僻地のコミューンで行われる“祝祭”に参加するためフィールドワークするなかで徐々に奇妙な出来事が起きていき……と、これ以上はぜひ作品を見ていただきたいです。男女が車でコミューンに向かうところをカメラが上下反転させて映していくカットが印象的で、観客も自らの常識や良識をひっくり返される気分を味わうことができます。
期待値を上げ過ぎてしまったか…
ご多分に漏れず、アリ・アスター監督のデビュー作「ヘレディタリー 継承」の衝撃が忘れられない。ミリー・シャピロが演じた娘の得も言われぬ不気味さ、トニ・コレットが演じた母の終盤の強烈な変貌ぶりなど、並みのホラーを寄せ付けない圧倒的なインパクトとオリジナリティがあった。当然、今作も大いに期待していた。
「ミッドサマー」の大筋は、ニコラス・ケイジ主演でリメイクも作られた「ウィッカーマン」などに代表される、人里離れたコミュニティに入り込んでしまった主人公(たち)が、その地特有の文化や価値観(カルト宗教、食人の習慣など)によってひどい目に遭うという類型をたどる。よって前作のような斬新さを期待しすぎると、肩透かしを食ってしまう。楽園のようなビジュアル、ヒロインを待つ結末などは確かにひねってあるものの、前作のトラウマ級の独創性には到達していない。比較しなければ、十分に良くできたホラーだとは思うが。
スウェーデンの美しい村の祝祭が次第に狂気へと変わる不気味さに圧倒さ...
スウェーデンの美しい村の祝祭が次第に狂気へと変わる不気味さに圧倒され、異文化に触れることの恐怖と同調圧力の怖さが鮮明に伝わってきました。人間関係の崩壊と再生が描かれており、随所にある映像がショッキングでした。
不気味〜
不気味ですね。個人的に主人公も彼氏も誰も感情輸入できませんでした。全員ムカつく。強いて言えば黒人のジョシュがまだまあ……かな。写真撮りたい気持ちも分からないでもないし。
ホラーとしてはじわじわくる人間的な怖さです。
カルト映画は自称したら冷める
因習村に迷い込んだ西洋人が村のイニシエーションに巻き込まれて悲惨な末路を辿るといった筋立ては古来よりホラー映画の設定として好まれてきたものだ。
その際たる例が『ウィッカーマン』であり、本作は明らかに『ウィッカーマン』を下書きにしている。村人たちがあくまで異人ウェルカムな雰囲気である点や、性風俗に重きが置かれている点など、とにかく共通点が多い。とはいえ『ウィッカーマン』に比べて本作のほうが優れているかといえば全肯定はできない。
確かに、舞台を白夜現象の起きるスウェーデンに設定したことで「ホラー映画なのに常に画面が明るい」という逆説的な異常性を打ち出した点は新鮮だが、ギミック性が強すぎてイマイチ乗り切れない。
舞台設定以外にもこうした悪い意味での「ギミック性の強さ」がみられる。中盤以降のゴア描写などもその好例だ。高所から飛び降りたものの脚の骨がグチャグチャのまま死にきれなかった信者を、観衆がハンマーで叩き殺す。画面の明るさとのギャップを狙ったゴア表紙やなのだということが全面化しすぎていて興が醒める。ハンマーというのはどう考えてもやりすぎだろう。
終盤のエロ描写に関しても同様だ。村娘たちの祝福を受けながら性交渉を行うくだりも、前述のゴア描写を見たあとではなんとなく予測できてしまい、あんまり盛り上がれなかった。
といった具合に、なんというか、全体的に「これがカルト映画ですよ〜」という自意識が充満してて嫌だった。
唯一よかった点があるとすれば大学生たちのギクシャクした人間関係だろうか。両親が死んでメンブレしてる彼女を仕方なくホモソ旅に連れていくとか、卒論の題目が友人と被っちゃって気まずくなるとか、その辺の無駄にリアルな関係性は見ていて楽しかった。というか、こっちを主題化すればよかったんじゃないかと思う。互いに足を引っ張り合った結果として全員生贄にされて死ぬ、みたいな。
神経症的なまでに作り込まれた大道具の数々は、おそらくアンドレイ・ホドロフスキー『ホーリー・マウンテン』を参照項としているのだろう。とはいえ作劇上色彩で遊べないのなら大して意味はない。
新興宗教に染まるまでTA
映画的には普通くらいの作品でした。
宗教団体自体はわかりやすいように生贄系のカルト教団でしたが、染めていく様はなかなか生々しいものを感じました。
映画というより宗教や信仰がどうやって洗脳していくか眺めるには良い作品だと思います。
日本人からしたら怖くない
たぶんキリスト教の価値観とは全然違うから理解不能で怖いということなんだろうと思うが、よくよく考えたら失礼な話だと思う。昔の日本の田舎にはありそうな話だし正直あまり怖いとは感じなかった。むしろ御神木に立ちションするなど傍若無人に振る舞う主人公たちが迷惑外国人観光客と重なって、村民たちに同情してしまう。
人身御供
2024年8月10日
映画 #ミッドサマー (2019年)鑑賞
スウェーデンの奥地の閉ざされたコミューンで90年に一度開かれる特別な“夏至祭”に友人に誘われ参加した大学生4人組だが
異常な儀式に飲み込まれていく男女を描くカルト映画
そこで生まれ育ったら疑問も持たずにカルトにハマるんだろうな
明るいことが恐ろしい…不快な恋愛映画⁉
この映画、アメリカでも日本でも話題となりヒットしたようですね。系統は、胸糞系といいますか後味が思いっきり悪くなります。ピッタリの言葉を選ぶと「不快感」でしょう。
私は、凹む映画が大好物という変り者なので耐性がありますし、『ウィッカーマン』を観ていたので内容はなんとなく理解してましたので、全く問題なかったのですが、評判だけで観た耐性が無い方は、気分を害されながら鑑賞したのでしょうね…。特にカップルとかお友達とかと一緒に鑑賞した後の帰り道はどれほど気まずかったでしょうか…(ひぃぃーー汗)
本作も『ウィッカーマン』もそうなのですが、両者の映画で一貫して言えることは、村人たちがどんなにおかしくても、残酷でも、その村では昔からの文化なんです。いわゆる、しきたりなのです。ある意味、それを外部の人間がどうこう言おうが、村人にとっては普通の事。ただ、それが外部の人間では想像がつかないような意味不明で、イカレタしきたりとしても…。
映画を観て、個人的に一番ヤバいと思ったのはラストシーンでも投身自殺で顔ぐちゃシーンでもなく、畸形児ルビンの存在でした。登場シーンが少なく詳細な説明はないのですが、近親相姦によって意図的に障害もつ子どもを生ませていたという事実は分かります。畸形児だけが、聖書「ルビ・ラダー」を書くことができるというしきたり。ルビンが死んだら、また近親相姦で畸形児を産み出すという、なんともぞ~っとしたルールなのでした…。
他にも、この映画のイカレっぷりをあげるとキリがないのですが、不思議なことになぜか村の文化に引き込まれる自分が居るのです。次はどんな突拍子なことがおこるのか、そしてどれほどイカレタしきたりがあるんだっていう妙な感覚です。何か村の魔術に観賞者も引き込まれるような。しかも、想像の斜め上を行ってくれるというご丁寧っぷりですから。
村が白夜ということもあり、終始明るいのです。村人も非常に明るい。でもやっていることが残酷で気持ち悪いという。これほどまでに明るく純白さが怖いものだとは、今まで想像もつかなかったのです。
最後にこの映画の注意事項!一人きりの鑑賞をお勧めします。一人じゃないと鑑賞後かなり気まずい雰囲気になると予想します…。
多様性を認められるか?
あの村の人々にとっては村で起こる数々のことは特別ではないのだろう。
だがいくら現代が多様性の時代と言われていてもあの村の風習を受け入れるのは私には無理だ…
そうなると私も血の鷲に…
評価は二択
コロナ禍で劇場鑑賞できず配信とBlu-rayをリピしていたら祝祭リバイバル上映の知らせがあり即予約して待望の劇場鑑賞してきました。内容については言わずもがな満点or零点の作品ですが、私には刺さりまくった超傑作です。Blu-rayのボカシなし高解像映像&ディレクターカット版を自宅の4K有機ELモニター鑑賞と比較すれば絵的にはボヤけ感は少し気になったけど音響はやはり劇場は素晴らしかったです。コニーの断末魔3連はとてもはっきり聞こえたしダンスバトルやアハンバトルシーンの臨場感は想像以上でした。酷評も多い作品ですが未見の方は1週間限定の祝祭公開に参加してほしいと思います、興味があればですが…
こんなに明るく美しい世界のホラーもあるのね
めちゃくちゃ美しい世界観。
色とりどりのお花に囲まれて催される、様々な儀式。
すごく優しい人々、全てが麗しく明るく輝いているのに、消せない不気味感がなんとも言えなかった。
今まで見た中で間違いなく一番素敵な花冠なのに、一生被りたくないと思ってしまうこの矛盾。
ホラーは苦手なのだけど、まあ所々怖かったけど、それに勝る面白さだった。
観てよかった!
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