ミッドサマーのレビュー・感想・評価
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人間の真理に突くような恐怖、この小さなコミュニティの文化に震え上がる
今回、Filmarksによる試写会ということで一足先に日本語吹き替え版を見させていただいた。ちなみに、字幕版は観ていない。
とにかく言葉が出ない。常軌を逸した儀式も文化として継承されており、この集落の住人は何ら抵抗がない。そこに迎え入れられた大学生たち。また、彼らの煩悩と言ったら。淀んだ感情を洗い流すように、儀式の参加者として身を投じる。これが、痛々しくもどこか府に落ちる。怖いのは、自己中心的な人間な気がしてきた。
これがヒットするのも、日本のホラーとは違った、針をただ刺していくような感覚がウケるからなのだろう。グロテスクであり、神聖であり、純度が高いところに技が光っている。
ホラー?
スウェーデンの奥地の村で行われてる90年に1度儀式。
崖から飛び降りて頭がぐちゃぐちゃになって老人が死ぬシーンなどグロい所あり。
次々人が殺されていくのは怖いが、白夜で明るいからそんなに恐怖でもない。
ダニー役のフローレンスビューがいい味出してた。
観るならディレクターカット版で
映像は綺麗です。ただ、問題作ということで、元々見るつもりがないけど気になってきていたのでネタバレレビューみていたのですが色々あって観ることになりました。
あ、これあれか!この絵は‥とか思いながら観ていたので通常の映画と観かたが違ってしまい。でもネタバレ見ていてても、後半怒涛の展開がついていけず、終了後に考察サイトにお世話になりました。
とりあえず、観るならディレクターカット版のほうがもう少しわかるかなと思います。
ディレクターカット
まぶしくてこわい
フローレンスピューは短躯でたくましい印象です。strong willな顔つきと相まって、強そう。健康美と太いパーツに新しい魅力がありました。かなり寄って映しますが、こまかい顔芸で自在に心象をあやつっています。
展開が巧みですいすいと進みます。トイレへ行くと言って、そこはもう航空機内トイレです。行程をうまく端折って、倦みを回避しています。
描写が寓意をはらんでいます。とうてい羅列できませんが、怪しさを重ねて観る者を煽ります。
カメラがよく動きます。固定しないトラッキングで、それが人物の動揺をあらわし、かつhorribleな空気をつくっていました。
よく映画を見ていると思います。
『アスターはその頃を回想して「僕は行ける範囲の全てのビデオ店に行き、その店のホラー映画コーナーにあった映画を片っ端から鑑賞した。』と監督のwikiに書かれていました。その博覧強記が画からほとばしっています。
光のおびただしい映画でした。おそらくもっとも色調の明るいホラー映画だと思います。それが闇よりも怖いことを知りました。
下にいる者の喫驚だけが映るなら、わたしもなんともなかったのですが、落下滅裂が、しかも見たこともないほどリアルなそれがあり、そこへ加えて、長大な胴突きで顔面を粉砕します。何年かぶりに見たtraumaticな衝撃でした。
屍体とその損壊のリアリティが半端ではありません。
終局、まるでタラのテーマのようなオーケストラのうしろで見たこともない狂乱が拡がります。
いっぱんに、ホラー映画とは、演出新参者のビギナー枠だと見られているふしがあります。しかしイットフォローズやゲットアウトやこの監督の前作、今作を見ると、かれらが、そのジャンルをすこしもあなどっていない──ことを痛烈に感じます。
新しい恐怖を考案したから映画をつくったわけです。たまたま世間においては、それがホラーに種別されますが、この、恐怖と不安が140分つづく新しい映画体験を、枠内で片付けていいとは思いません。
いま(2020/6)、おりしも政党をも擁するわが国最大規模の新興宗教団体が製作した映画が、解禁のどさくさで邦画興行のトップに躍り出ています。
映画をめぐって、この驚天動地の格差を反面視しないことは立派なことだと思います。
なにが面白いのか分からない
ただの明るいホラー風映画で
既視感満載だった。
いや、これはつまんないでしょ。
アリアスターは才能あるんだろうけど
才能が常に良作を作ると言うわけではない。
芸術はそんなに簡単じゃない。
アリアスターだから面白いとか絶対にない。
全く響かなかった。
そして期待しまくっていたのでなんだか腹が立った。
夏至の夜に
予告編で気になっていたところ、期間限定配信されていたので鑑賞。
導入から世界観に引き込まれました。綺麗な映像と不穏な音楽にわくわく感が掻き立てられますな〜と、この後の展開を楽しみにしていたのだが…… おや?おやおや?
ヘンリー・ダーガーっぽい絵がちゃちい。(予告でチラッと写るくらいだと雰囲気あったんだけど)飛び降りシーンが怖くない。(個人的に飛び降りシーンには弱くて、胸のあたりがひゅんってなるのだが、これはリアリティに欠けるのか全く平気)死体がちゃちい。(グロいと聞いていたのだが)ほんで、たいして何も起こらないまま、主人公にやりで終了…なんじゃこりゃ。
ホラーとしても、サスペンスやスリラーとしても弱く、どちらかと言えば愛憎劇か?
もっとぞくぞくしたかったです。
一番怖かったのは、コミュニティからの志願者の人が、最期の瞬間にファンタジーが解けてしまったところ。でも、熊さんが可愛い過ぎて、和んでしまったよ。
とんでも村のとんでも祭りに爆笑
もっと怖いと思っていたけどまったく怖さを感じず、自分エログロ耐性が割とあった様。村に入ってから村人の反応がいちいち面白すぎてほぼ爆笑しながらの鑑賞に…後でやってるアレコレが気になりすぎて真面目にみるのは無理!
主人公のメンヘラぷりや恋人やその友人の性格も中々酷くて良いし、白夜とドラッグのおりなす明るすぎる世界観は新しくて見応えありました。
いやでもあんなに白昼堂々と全てを見せ合うコミュニティ私には無理だなぁ(笑)
全編に渡って意味あり気な絵が大量に出てくるので鑑賞後に考察を検索して読んだらバイキングだルーんだで中2心がくすぐられてより楽しくなっちゃいました。
そのうちディレクターズカット版で見直そうかと思います。
しばらく笑顔の人が怖い
暗闇でワッと驚く!!お化けや呪いドロドロ〜みたいなホラーが苦手で、これなら多少怖くてもいけるだろう…と思って観たら酷い目にあった(褒めてます)
途中精神的にキツくて断念しそうになりながら最後まで観賞。
あんなにカラフルで綺麗な映像なのに観終わった後もしばらく気分がドヨーンとした。
画面に隠された情報量が多くて1度観ただけじゃ完全に状況や伏線をのみ込めず、映画解説ネタバレサイトをはしごしてようやく内容を把握。そしてまたドヨーン…
しばらく笑顔の人が怖い
(゚o゚;;ジワジワ恐怖を感じました。
コロナ明け、初映画館!見逃していたミッドサマー見に行きました。
スウェーデン秘境の村の夏至祭を文化人類学専攻の学生たちがレポートしにいくお話。
日本秘境の村まつりも鬼祭という物が多く見受けます。このスウェーデンの祭りも色々と隠された秘密があるお祭り。このお祭りの毒牙に学生たちがかかっていってしまいます。
祭りといえば文化人類学的に研究の宝庫。セックス、乱行、近親相姦、ドラッグ、生贄殺人となんでもありでこの映画もふんだんにその要素を含んでいます。
村人の笑顔がとても不気味で、映像も明るい中に狂気を感じさせてじわじわ恐怖に引き込まれてい来ます。ラストはもうグッチョグチョ。あらららら。という感じでした。
前半少しダルな感じ、ちょっと残念。
《ネタバレあり》意外な伏線かも!?
映画を見る前から、ヒグチユウコ氏の描いたミッドサマーのポスターが気になっていた。(ダニーが泣いてる顔のポスターも“何があったんだろう”と気にはなったが。)
私には、イラストの花に囲まれたダニーが生気を失っている=死んだ人の顔としか見えなかったのだ。目の下のクマや、視点の合ってない虚ろな目、半開きの唇…ただの“花に囲まれた可愛いヒロイン”には見えなかった。また、それだけではなく、何となく逆さに吊られている重力感も感じてしまっていた。ポスターのイラストがわざと逆さに配置されたのではなく、実際に逆さ状態を模写されたのではないかと、感じたのだ。
ダニーが最後にどうなったかは描かれていない。クリスチャンが目の前で焼け死んで、頭がおかしくなって(反転して)、とても可愛い笑顔で自分の置かれた環境をすっかり受け入れたかに見えた。あの後にペレと結婚したかもしれないとも考えた。
しかし、どうしても気になったのが、歴代の女王の写真の多さだった。今ごろ彼女達はどうしているのだろうと思った。また、彼女が女王と決まった時、他の女性が全く悔しそうではなく、むしろ“私じゃなくて良かった”とはしゃぐ気持ちを押さえたような、憐れむような目をしていた気がした。
だから、最終的にヒグチユウコ氏の描いたポスターの絵によって、私はダニーが女王に選ばれ、自然神に捧げられたのだという考えに至りました。
皆さんはどう思いますか?
主人公のフローレンス・ビューの存在感が救い
カルト宗教のコミューン村の新しい命を迎え入れるための儀式用の生贄と種馬のおびき寄せにまんまと引っかかった男子大学生グループの話。
というところでしょうか?
たまたま女子も来てしまい、たまたま美人だったため女王蜂的な女王に選ばれてしまい、その後は逆ハーレムみたいに好きな男を選んで子作りして用済みになったらまた生贄に、というパターンでしょうかね。
こういう話は不愉快なだけですが、映像の美しさでチャラにして、好奇心を煽って最後まで見せる技法ですね。
前半がもっとコンパクトだったら
平日の昼間、しかもコロナ禍の影響もあり、130席の劇場に観客は私一人。劇場でのホラー映画のふれこみのある作品(ディレクターズカット版)は久しぶりだったので、なんか嫌だな〜と思いながら鑑賞しました。前半部のダルさにうとうとしていると過剰なBGMで起こされることを繰り返していましたが、その分、中盤からの美しい映像やトリップ時のゆがみ、伏線回収は楽しめました(交わるシーンは不謹慎ながら笑ってしまいましたが)。今作は言わば若者たちが餌食になる生贄風習もの。凄惨なシーンの数々は大きな見どころになるのでしょうが、かの国の処刑動画を観てしまった後ではどうしても作り物として意識してしまうため、怖さは半減。鏡に写った顔の正体がわからずじまいだったり、主人公の最後の笑みの意味もよくわからないので、答え合わせのように、これから他の方のレビューを読みにいきます。
恐ろしくも魅力的な「家族の呪い」
今年の暫定ベスト!!!
アリ・アスター監督の前作『ヘレディタリー』には、私の前提知識の不足もあり若干の飲み込みづらさを感じたのですが、同作でも描いた「家族の呪い」をさらに拡大解釈し、再提示してみせた監督の手腕には只々脱帽するしかありません!
あらゆるセリフや描写がその後の展開を暗示する緻密な構成に唸らされ、結末には否応なしに納得させられてしまいました。一枚一枚の画を一時停止して確認したくなるほどの情報量です。
グロテスクなシーンもあり好き嫌いははっきり分かれると思いますが、細部まで仕掛けが張り巡らされた演出は間違いなく映画館の大画面で見る価値あり。
主役のフローレンス・ピューは、感情の振れ幅が大きい、難しい役柄に説得力を持たせる素晴らしい演技でした。脇役で言えば、『デトロイト』で凶悪な警官を演じたウィル・ポールターがまたしても嫌味な役を好演。序盤から「こいつはまともな最期を迎えない」予感ビンビンです。
「今後はジャンル映画から離れていくだろう」とインタビューで語る監督の次回作にも、大変期待しています!
恐怖とは違う何か
やっと観賞できた、上映期間中に観られてよかったです
見終わったあとに恐怖というよりは神経のすり減るような不安を感じた、久しぶりの映画館で2時間越えを抜きにしても
カルトのコミューンに赴いた若者が次々と殺される、なんて設定わりと良くあるけれど、例えば恐ろしい儀式の生け贄にされるとか、言い付けを守らずに殺されることはこの映画のメインの怖さではないような気がする、残酷シーンも控えめであまり怖くない
主人公は単なるホラー映画の犠牲者として殺されるのではなく、コミューンに取り込まれて女王にまでなってしまう、一人の人間の常識が覆される話だ、そしてその常識は私たちの社会のルールやモラルでもある
ホルガの風習はいかにもカルトチックで異様で受け入れがたい、こんな新興宗教がニュースで流れたら間違いなく殺人集団だと非難できるだろう、
しかしいったん社会というマジョリティを剥ぎ取ってコミューン内に踏み入っていまえば少数派で異常なのは私たちの常識で、神聖な掟を守らなかったり、先祖の霊を冒涜すれば断罪されるのはこちらの方だ
ホルガに着いてから学生たちは怪しげな薬草で幻覚を見続ける、ダニーが徐々にホルガに侵食されていくのをいつの間にか蔓延る植物の幻覚で表現しているのがアルチンボルドの肖像のようで美しく不気味だ
ホルガの民の生活は無言でダニーに問いかけ続ける「私たちが異常にみえるかもしれないけれど、あなただって薬で不安を紛らわし、他人に依存したり、食い物にしている、少なくとも私たちは幸福だ」と、
ダニーが最後にホルガを受け入れてしまうのはカルトの洗脳だけど、彼女のこれまでの生活が幸福なものではなかったからに他ならない、ダニーにとってあのラストは間違いなく解放と癒しのハッピーエンドだ
ダニーの中での現代社会の敗北が私たちの当たり前だと思っている常識は、実は依る辺ない脆弱なものかもしれないと思わせて、恐怖よりも不安な気持ちになるのかもしれない
穏やかな物腰や笑顔が時には頭蓋を粉砕する木槌よりも暴力になり得るとは
新しい恐怖が花開く
夏至、異国の村落、9日間の祝祭の果て… 生贄として導かれたとは知り得ない、予測もしない、奇妙な共同空間にありながら、徐々に共鳴を覚える一時に、カルト的狂気の沙汰が滲み出す。歪んだ認識と、目の前で繰り返される奇行とのシンクロで、不安が段階的に確信へ迫る反面、現実から逃避させる“日没の無い闇”が背後から忍び寄る、サイケデリックな白昼夢だ。焼失させたい記憶と、抗えない運命への導き方、妙な彩りを加えられた映像世界に、悍ましい新感覚をみたのである。
カルト教団の村物語
ようやく映画館も解禁❣️でも、新しい作品は未だお預けの中、3月に見逃していた、『ミッドサマー』を映画館で久しぶりに鑑賞。因みに、観客は私を含めて3人でした…(笑)
見終わった後味が悪いという評判通り、こんな異常な世界観はかなりヤバいし、イヤミスの境地のような感覚の作品でした。
それでも⭐️⭐️⭐️⭐️にしたのは、これまで鑑賞したホラーやスプラッター映画とは、格段に違う異常な怖さを作り上げたアリー・アスター監督への敬意を表しました。また、これまでのホラー映画ではなかった、胸をキューと締めつけるような効果音も、恐怖を一層煽ります。
舞台は、夏のスウェーデンの天国のような田舎村ホルガ。短い夏を謳歌するような自然に囲まれた美しい村とそこに住む親切な村人達。しかし、その美しさとは対照的な、昔から伝わるカルト教団のような、異常な慣習が次第に露わになります。そして、1人、また1人外部から来た人を呑み込んでいきます。
老人が崖から飛び降りるシーン、外部の男と娘との公開性交シーン、そして、クライマックスの火あぶりシーンのグロさとエロさには、目を背けたくなるほど…。一方で、その怖さと正反対な美しい自然に囲まれた村の描写とのアンバランスさが、観る人の心までも不安定にさせる作品でした。
ストーリーも、主人公・ダニーの心の葛藤から次第に新たな境地へと変貌する様は、人間の怖さをも描いていると思います。こんなに、イヤーな気分にさせられる作品を、2時間半も見せつけられましたが、その分、記憶には残る作品になりました。
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