ソワレのレビュー・感想・評価
全48件中、21~40件目を表示
作品を取り巻く様々な前評判や外部要因を通り抜けた先にあるもの
すべてを喪ってひとつのものを手に入れた人の物語。
人間の純粋な何かは決しておとぎ話や夢物語の中にあるのではなく、不条理で腐りきったこの世の中にあるのだと知らされる。
足は地面に着きながら目線は遥か彼方を見つめている。そんな気持ちにさせてくれる映画。
良かった。
ラストが最高。ずきゅんときました。
完成度高いのであえていくつか突っ込みを。
介護施設の最初の方のシーン、おばあちゃんが消えたの何故?
色々と丁寧に布石を回収していたのにここは分からず。
実家。近いとは言ってもどうやって帰ったのかな。車がないときついと思うが。
ラストの映像。上映会やろうといってたのだと思うが、中身はメイキングレベル。何故?
人がやり直すには
予告映像で虹郎くんが言っていた「なんで必死な奴ばかりこんな目に遭うねん」というセリフ。
とても強い言葉で、どのような場面で、経緯で放たれるのか楽しみでした。
それがほとんど導入のパートで出て来たからビックリ…
まあ、世の中の不条理さを嘆く方より、やり直せるんだよと伝えたい映画なのかなと思ったので、仕方がないのかな。
それにしても、この言葉に対する背景が薄過ぎたよな…
昨日、テレビで犯罪者向けの求人雑誌を発行している人のドキュメンタリー番組を見ました。
「道を間違った人たちがやり直したいと思ってもやり直せないのはおかしい。チャンス、希望が必要だ。」
この様なことが取り上げられていた。僕もそうだと思う。
だけど、中には加害者よりやり直すのが難しい被害者がいるのかもしれない。
芋生悠さんを見てそうも思いました。
昨日のテレビと、今日の映画を見て、人がまた立ち上がるには、自分とは別の人の存在が不可欠なのだと強く刻まれました。
この人だけは悲しませてはいけない、この人が一緒にいてくれるなら、と。
やはり人は1人では生きていけないんですね。
他の皆さんからも上がっているように、脚本に少し無理矢理な箇所が見受けられましたが、演出は好きでした。
音が生々しくて良かったのに、隣のお爺さんがうるさくて勘弁して欲しかったです 笑
映画に魂は映ると思う
とても不思議な映画だと思う。ものすごく単純な話に様々な角度からのアプローチしながら大胆に省略している。ほとんど主役ふたりしか映らないが、決してドキュメンタリータッチなわけでなく、セリフは意外にドラマっぽいが、話す以外はほぼ風景と身体性で攻めている。風景の中のふたりの立ち姿に泣かされたと言っていい。
芋生悠は素晴らしい。日本映画女優の中で断トツの走りっぷり。からっぽでボロボロで何かが宿っていた。
ほら。辛い時はこうやって笑ったらええよ。
最後の最後にドンと胸を突かれた。
「逃げなくてもいいのに」の思いで観ていながらも、安珍を追う清姫の焦りや怨念が二人の姿にかぶさっていき、タカラが「新しい場所」を求めていることに気付く。それは土地ではなく、翔太なのだ。たまたま翔太なのではなく、それは翔太でなくてはいけなかった訳が最後に明かされるが、それゆえ、逃避行の間の彼女は、幸せだったのだろう。神様は「逃げ道」を用意してくれた、という喜びとともに。生きる気力を失くしていたタカラだったから、その感情もうまく隠していた。それでも走る姿は力強かった。ほんとうはそうやって人生も颯爽と走りたかったんじゃないのかな、と思ったら不憫さが増してきた。
この映画は、誰かと感じた思いを語りたい映画だ。なぜ、二人は逃げたのか。なぜ梅干し農家の主人は見逃したのか。捕まる時、彼女はなぜ立ち止まったのか。空き家の影絵、夜の公園の意味も。そして、あのあと二人はどんな人生を過ごしてきて、これから過ごしていくのか。
たしかに、この映画は我慢を強いる映画かも知れない。でもそれは観客側に想像の余白を残してくれているとも言える。だから、わからない部分は自分で埋めればいい。皆生きてきた人生が違うのだから、たぶん、その想像も皆違うだろう。
※ひとつだけ妄想を言わせてもらうと、そもそも今回の事件で微罪の翔太ははやく社会復帰でき(もしかしたらオレオレ詐欺の罪も含め)、過剰防衛と逃亡の罪状のタカラは情状酌量で減刑されるも実刑で服役中。そして、翔太は、彼女の出所を待っている。だから、物語のラストで彼女の姿はない。だって、これから戻ってくるのだから。再会したときたぶん翔太は、口元を指でなぞって、笑ってあげるんじゃないかなあ。
キョンキョンは?
観ていてイライラしっばなし。警察官も言ってたように逃げるなら必死で逃げろ。だらだら放浪してるだけにしか見えない。資金稼ぎかしらんがパチンコ、競輪、ホステスやってる場合か。で、タカラは情状酌量で軽い刑かな?
そして「小泉今日子出てないやん」と大ボケ勘違いをしたのは私だけでしょうか?
夜の海だけが膨らんでいる
しょうもなく駄目な若い男と、言葉にできないほど痛めつけられてきた若い女に寄り添って見る風景は知らん顔していて辛い。夜の海だけが膨らんでいる。
どうしようもなく重たくだるい生活から逃げようと走るのか。
それでも戻っていくのは自分しかない。
力強く美しい。
痛々しくて、切なくて、滑稽で、無責任で、どうしようもなくて、でも力強くて美しい。
私はこんな1本を待ってました!
和歌山。ある事件をきっかけに始まる逃避行。でも決して愛の逃避行ではない。出会って間もない2人。
なぜ翔太はタカラの手を取って走り出したのか。
現実から逃げたかったのは翔太も同じだったから。
辿り着いた海岸。静かな波の音を聴きながら遠くを見つめる。寄り添うわけでもなく。そして「ソワレ」のタイトルコール。これはラストまで一瞬も目が離せないな、そう思った。
いつか終わると知りながらも走り続ける。どこまでいっても半端者の翔太とその前に1歩踏み出そうとするタカラ。
苛立つ翔太に「私の気持ちなんて分からない」とぶつける。
離れる2人。
対峙する。自分自身と。
所詮他人に分かるわけがない。
自分に向き合えるのは自分しかいない。
自分の罪に向き合えるのも。
もう逃げてばかりいられない。
そこには翔太の寝顔。ささやかな贈り物。
心を決めたタカラがスマホの電源を入れる。涙が溢れた。
神様は乗り越えられない試練も与える。でも逃げ道はある。
ありきたりで押し付けがましいかもしれない。
でもめちゃめちゃいいラストだった。
そして何より、村上虹郎と芋生悠がとにかく素晴らしい!これからも映画館で会いたい俳優さん。注目していきたい。
号泣してしまいました
和歌山出身なので、映画館に観に行きました。
懐かしい景色をたのしんでましたが、そのうちストーリーにのめりこみました。
孤独な2人のやりようのない息苦しさが切なかったです。
フェリーのシーンと、ラストのシーンで涙が溢れてきました。
映画を観て滅多に泣いた事がないのですが、ツボにはまってしまいました。
村上虹郎さんの演技に泣かされました。
当方50歳になりますが、心を揺さぶる映画にであえ嬉しく思います。
映画としては高評価の難しい作品
村上虹郎という俳優のよさが未だによくわからない。顔がキリッとしすぎているせいなのか、表情があまり読み取れないのだ。ヒロイン山下タカラを芋生悠が表情豊かに演じていただけに、なんとも落差のある印象である。ただ、道を疾走する場面だけは若いエネルギーが弾けている感じで凄くよかった。
論理的にものを考える習慣がないと、咄嗟の場合に変な行動に出てしまうことがある。村上虹郎の翔太がその典型で、何かに驚いて道路に飛び出して自動車に轢かれる猫みたいだ。その癖ときどき説教がましいことを言う。暴走族上がりの警官と同じである。
物語はよくある設定で不幸な少女時代を過ごした女性とロクデナシの男が出会うのだが、逃避行のエピソードが底が浅い上に互いの会話が少ないから、二人の関係性の変化がわからない。終盤になってタカラは心境の変化を自覚したが、翔太は結局少しも成長していないことがわかる。
最後になって翔太があることに気付く場面も、伏線の置き方に印象がないから殆ど響いて来ない。それよりも翔太が過去の悪事から逃げ切ってしまった終わり方に納得がいかない。山下タカラが学校の黒板に書いた、おそらく彼女の本名と思われる「大久保タカラ」についても回収され仕舞いである。登場する刑事が「幼稚な鬼ごっこ」という意味の台詞を言うが、まさにこの言葉が本作品を言い得ている気がする。フランス語の「ソワレ」は「夜会」の意味であって「夜の学芸会」の意味ではない。
親による子供の人権蹂躙はまだまだ解決を見ていない。それどころか解決に向かおうとする社会の意思さえ感じられない。親が子供を支配しようとするのは、未だに続く封建主義の精神性に基づく根深い問題だ。そこに光を当てようとした志は評価するが、映画としては高評価の難しい作品であった。
しっかりとした作品だったけれど謎でした
映像は魅力的に感じたけれど、そもそもの設定が自分には馴染めず、理解しかねる作品に感じてしまいました。
ストーリーに目がいくよりも、もっと素晴らしい映像に目が向くようにし向けてほしかったように思ってしまいました。
翔太ではなく、タカラのその後が知りたかった。。
とても興味深い映画です。
若い男女の逃避行。その気持ちが徐々にすれ違っていく心などをすごくよく表現しています。
でも、ちょっと翔太の変化がいきなり過ぎるかな??って思いました。
最後の別れのシーンからのラストですが、確かに翔太が主人公として物語が進んでいくので、
彼のシーンで終わることは想定していましたが、タカラちゃんがどうなっていったのか?を少し出して欲しかった。回想シーンだけでなく、捕まった後にどうしているのか?がとても気になりました。
雰囲気がありつつ、余韻も残すような独特な映画感がとてもよかったです。
本プロジェクトの次回作を期待しております。
翔太とタカラはあなたのそばにいる
外山文治監督「ソワレ」物語も映像も心に突き刺さるくらい素晴らしくて動揺。誰も空っぽの自分からは逃れられないという呪縛からの、ひとりぽっちだった2人の逃避行。映画を観終わったあと、翔太とタカラはあなたの心の中に残り続ける。
闇に消えていく市電からのあの光景の2人、廃校の踊り場から階段を上がるタカラ、商店街から路地に抜けるタカラ。それぞれのシーンはゾクゾクしましたね。
芋生さんが良かった
内容的には「映画上では良くある話」なのでしょうが、とにかく芋生さんの悲しげな表情が良かった。これに尽きます。
村上さんのだめ男ぶりも流石です。できればブカブカ煙草を吸うのは止めてほしかった。煙草でだめ男を演出するのは見飽きます。
後半が間延びした感じもしましたが、最後の1分できちんとまとめたのは見事です。
共感できないのにそれなりの満足感
若い男女の逃避行物語。
この手の話って、主人公たちの行動が少し暴力的だったり刹那的だったりする印象があるが、本作はとにかくやるせない行動のてんこ盛り。2人で逃げ出すまでの間に、おいおい!なんでそんな選択する!?と疑問に思うことだらけ。
特に男の方はどんな気持ちで一緒に逃げてるのかまったく理解できない。女の子の境遇とか雰囲気に同情したのか、流れに逆らえなかったのか、でもそれが情に変わっていったのかと思っていたら本人がグチグチ言い出す始末。
そもそもアルバイト感覚で男のやっていたことは立派な犯罪だったし、そのことは何も問われないというところは腑に落ちない。なんだよそれと思っていたのに、最後で何か急なオチをつけてきた。あのシーンだけで印象はかなり変わってしまった(いい方向で)。いや、それでも男になんら共感できないままだ。
エモいとはこのことか
村上虹郎さんのSNSから気になって拝見しましたが良いですね。
序盤から最終まで胸をギュッと掴まれる様な脚本で、見た後は暫く余韻に浸っておりました。
虹郎さん、昔モノクロの映画に出演されているのを見ましたが、その時より演技が上手くなっている気がします。末恐ろしい良い俳優さんです。
芋生悠さんはオーディションで選ばれたとのこと、幸薄い感じでこの映画の仄暗い世界観にぴったりの容姿だと思いました。また彼女、身体張ってます笑
ただ新人さんなのか虹郎さんに比べるとどうしても演技力に差がある様に思え、言葉を話すシーン等少々残念でした。
エモーショナルな気分を味わいたい方は見た方が良いです。
単館上映映画っぽい良い映画で好き
派手さはありませんが、しっとりじわりと来ました。
虹郎さんは言うまでもなく、充て書きされたような、しっくり具合。ダメ男っぷりと優しい男っぷりが良いバランスでした。
芋生さんもとても良かったです。傷ついた女性。絶望的と言ってもいいくらいですが、守りたい、応援したいと思いました。
過去に観た映画にも出演されていたのでびっくりしました。
単純な話かと思ったら、少し予想外なこともあり、「そういう事か!」と、ちょっと気持ちよかった。
胸糞悪い
と
切ない
を行ったり来たり。
単館上映映画っぽく?、テレビドラマなら「過剰演出」と言われそうな演出もありますが、映画っぽくて良い。
また良い映画を作って欲しい。
全48件中、21~40件目を表示