「加工」キャッツ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
加工
ステージ未見ながら…なんじゃこりゃ?
のっけからのビジュアルにやられる。
予告などで目にしてたはずなのに、結構、いやそうとう気持ち悪い。
大筋が意味不明で…猫の生態なんかに詳しい人にはロマンチックなのかもしれない。
子猫が捨てられて、そのコミュニティの一員として認められるのが本筋なのかな?そいでイベントとして天上界に召される猫を選出するイベントが起こってるとか、なんとか。
…いや、全く、サッパリだ。
猫は自らの屍を晒さないくらいの知識では、全く理解が追いつかない。
じゃあ、これを他人との邂逅と思って観ても…挨拶が全ての始まり程度のメッセージしかないように思う。
…なんでこんなモノが?
猫ビジネスは何兆円規模の経済効果があるらしく…これも潜在的にある「猫が好き」な大多数の人が支えているのであろうか?物語の面白みが俺にはサッパリ分からない!
ただ、歌唱とダンスは抜群。
…いや、歌唱って言っても正直「メモリー」だけにウルっとさせられた。
鉄道猫の歌詞とか、痕跡を残さない猫とか、ゴキブリを調教してる猫の歌詞とかには1ミリも感動しなかった。字幕を追うのが馬鹿らしくなってやめた程だ。
ダンス…というか動作とか人体の動かし方なんかアメージングで素晴らしい!
生で観るバレエは無重力感が凄くて…もう息を呑む程に美しく、同じ人間とは思えない動きの連続に圧倒される。
おそらくならば、ミュージカルとしての楽しさはここにあるんだろうと思う。
目前で繰り広げられる圧倒的なパフォーマンス!そのダンスは時にコミカルに、時にサスペンスにと目まぐるしく変化してく。
そんなに跳べるの!?
そこで止まるの!?
そっからそんな風に動けるの!?
関節ないの!?
もしくは関節3個くらい増えてんの!?
自分の経験値からくる身体能力の限度を軽々と超え、重力の鎖さえ断ち切るパフォーマー達。
ここが、重要なんだと思う…。
今作はその生身に手を加え過ぎた。
おそらくならば、新しい技術や撮影方法なんかが投入されている事だろう。
表情や指先なんかは実写に見える。でも身体はCGなんだろうな。猫スーツなんかは着てないと思われる。
が、しかし…俺にはダメだった。
元々、無重力感のあるバレエに、モーションキャプチャによるデータ処理が悪影響を及ぼし、滑るというかヌメる。
体幹の座標が変わり、最早、アニメーションに近い部分も散見される。
結果、類稀なる才能と技術は、最新鋭のデジタル処理に冒涜されていく。
最早、人の身体ではないのだ…。
いや、まぁ、猫設定ではあるけれど。
はっきり言おう。
「人面猫」ってフレーズが剥がれない!
それに加えて
「人面ネズミ」は不気味過ぎた!
楳図かずおの漫画で見たようなレベル!
さらに言うと
「人面ゴキブリ」ご丁寧に二足歩行で手は4本!こいつは「人面猫」にバリバリ喰われる!
…やり過ぎなんじゃねぇの?
猫ってゴキブリ喰うの?
喰うんだとして、なんで擬人化させたの?
それでも物語が良ければ、人面猫自体の印象は変わっていくのだろうが、物語の大半を占めるのはコンテストで、主人公の白猫は連れ回されてるだけなのだ。そのコンテストも劇場猫だの鉄道猫だの魔法猫だの…ただの白猫が出て何が出来るのかと頭を捻る。勿論、コンテストに優勝した結果などは分からない。「天上界にいける」…何それ?おもむろに気球に乗せられて飛んでいき、朝焼けの中に黄金に輝いて消えたよw
なんなんだよ、魂が次のステージに行ったのか?じゃあ現世はなんだ?掃き溜めか?ほいで長老は神とか悪魔か?猫又なのか?
そんな掃き溜めで、尊厳を持って凛として生きている猫がどおなの?
私たちは犬じゃない。
…鼻持ちならないプライドだけが高い勘違い野郎の事か、猫って?
………くだらない。
ああ、くだらないっ!
物語のラストに長老がカメラ目線で言うのよ。「皆さん、もうお分かりでしょうが」って。
何1つ分かんねぇよ!!!
したり顔で上から目線で話してんじゃねぇよ、三味線にすっぞ、コラァッ!!
物語を楽しめず、パフォーマンスは加工により凄味が薄れ…いいとこ無しだった。
ステージを観た事がなかったから、楽しみだったのだけど、残念だった。
元々ミュージカルは苦手で、それでも「シカゴ」から始まり何本かミュージカル映画を観て、案外楽しいかもって思ってだんだけど…やっぱりミュージカルは苦手だ。むしろ嫌いだ!と思えた作品になった。