「マーベルよりもDC?」ウエスト・サイド・ストーリー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
マーベルよりもDC?
どこまでリメイクするのか?それとも改悪か?などと期待と不安が入り混じりながらの鑑賞となりましたが、オリジナルの『ウエストサイド物語』では好きじゃない部分があったため、それを解消してるだけで満点にしちゃいました。もっともオリジナルを鑑賞した上での話です。
オリジナルの何が不満だったか・・・それはジョージチャキリスを中心としたプエルトリコ出身のシャーク団が顔に墨を塗っただけの偽物だったこと。舞台版をそのまま映画に移植したかのような美術。逆に舞台版を観たい欲求に駆られました。それがスピルバーグ版ではさすがにスクリーンの良さを前面に出していて、細かな設定や歌詞そのものも書き換えていて分かりやすかったところが非常に良かった。
最も大きな改変部分はドクの店の店長がドクではなく、彼と結婚していたバレンティーナが演じてドクは死んでいることになってたこと。それというのもオリジナル版でアニータ役としてアカデミー賞助演女優賞を獲得したリタ・モレノがバレンティーナ役として登場させるためだろう。彼女はまた製作総指揮にも名を連ねているのだ。
その他にもダンスホールでジェット団が青、シャーク団が赤という鮮やかな衣装でまとめられていて、そこに登場するマリアが赤のベルトをアクセントにした白いドレスだったこと。アメリカ国旗、プエルトリコ国旗ともにこの3色だというこだわりさえ感じる(じゃ、フランスはどうなる?って質問は受け付けません)。レンガの壁に描かれていたのもプエルトリコだったし、かなりリスペクトがありますね。また、シャーク団のリーダーであるベルナルドがボクサーという意表を突く職業だったことも青コーナー、赤コーナーといった意味を持たせていたのかもしれません。
細かな相違点を挙げればキリが無いのですが、ボーイッシュな女子の扱われかたもジェンダー差別といった点で現代的だったし、冒頭のベイビー・ジョンが受けた傷は痛々しいし、警察署内という場面(オリジナルでは路上)もあったし、地下鉄や教会も使われるし、なんと言っても決闘場所が高速道路下から塩の倉庫だったりすることが意外ではありました。チェックしていた車のナンバーなんかは全く違うものでした(相変わらずナンバーが気になる)。
そんな相違点の中、最もしびれてしまったシーンがアニータ(アリアナ・デボーズ)対元アニータ(リタ・モレノ)のやり取り。これはもうオリジナルを復習したモノ勝ち!デボーズもオスカーにノミネートされてるし、アニータが賞を取りやすい位置にあるってことですよね。もう一点、「トゥナイト」(クインテット)ではアニータのパートが追加になっていて、今夜決闘だ!今夜会おう!に加えてアニータが今夜エッチな夜を・・・と、艶っぽい部分もあり、最高のアレンジとなっていました。「サムウェア」もトニーとマリアが歌うはずのところを元アニータのリタ・モレノが歌ってましたね♪意味が変わってくるけど、オリジナルを回顧せずにはいられません♪
全体的な完成度で言うと、スピルバーグ版が上のような気がします(路上でのアメリカのシーンが超絶すごい)。そしてタイトルに書いたマーベルとDCですが、オリジナル版では武器を何にしようか迷ってるときに「光線銃を使わないキャプテンマーベル」の名が出るのに、今回はスーパーマンやバットマンの台詞が!ただ、漫画好きの少年が読んでいたのは「キャプテンアメリカ」だと思います。配慮してありますなぁ・・・
あるスピルバーグファンの方に言わせると、彼の作品には必ずといっていいほど“手のアップ”があるそうです(調べてないので定かじゃない)。『E.T.』ではモロだし、『ミュンヘン』にもあったし・・・等々。そして今作でもリフとベルナルドが握手するところ、拳銃を握るところなど。今後鑑賞するときには気をつけたいと思います。
さて、余談になりますが、曲目で「アメリカ」が一番好きだったのには理由があって、プログレッシブロック(死語?)のイエスが「アメリカ」という代表曲が好きだからです。これはサイモン&ガーファンクルの曲のカバーなのですが、イントロの中にバーンスタインの「アメリカ」が隠されているのです(サブリミナル効果か?)。そして同じくプログレッシブロックのエマーソン・レイク&パーマーも「アメリカ」を演奏しているのです。ちょと調べて改めて聴くと「アメリカ」のテーマ部分は最初だけで、「新世界第4楽章」やら「熊蜂の飛行」やら「トッカータとフーガ」といったクラシック曲がどんどん登場するという変わり種だとわかります。ぜひ聴いてみてくだされ・・・
こんな長文を読んでいただき、ムーチョス・グラシアス、ブエノスノーチェス。
kossy様コメントありがとうございます。こっちにレスします。なんと横浜博に行かれてたんですね。今はもの凄く変わりました。
あのガリバーはどこかに旅立ちました。嘘喰いは無理に観なくても・・・
ELPの話がここで出てくるとは、感服しました。クラシックの名曲を電子音楽化したキース・エマーソンが曲中にバーンスタインを入れ込んだことで、逆にバーンスタインのステータスが上がりました(というか、ロック界に名を馳せた)よね。
kossy様凄い!
S&Gの件、知らなかった。アメリカは他のレビューでも歌詞を書いたんだけど・・・
多分ですけど多分にアイロニーが込められているんですね。
「bad!」のMVを見てみました。
何度も見ていたのに『ウエストサイドストーリー』のオマージュになっているとは、知りませんでした。
(日の丸はちまき野郎が目に付きますね。)
アニタ、、、じゃなかった、バレンティーナの「サムウェア」は、シスターの「クライム・エブリマウンテン」を思わせました〜。
バレンティーナの立場で歌わせると意味に深みが出ますねぇ。
kossyさん
コメントへの返信有難うございます。
kossyさん、「ウエスト・サイド・ストーリー」の世界にどっぷりと浸ってらっしゃいますね 🇺🇸
「グレイテスト・ショーマン」以来となりますが、近いうちCDを買う予定です ☺️
これから観ようと思っている方は、kossyさんのレビューを読んでから観られるのも良いかも。素敵なレビュー有難うございます。
なるほどです。
オリジナルと音楽への造詣の深さが半端ないですね。勉強になります。
予告編がどうのこうの書いてる自分が恥ずかしくなります😂
その方向で期待していたのが、どうやらかなりの筋違いであることが今は分かりました🤗
kossyさん
kossyさんの熱く深いレビューを読ませて頂き、この作品の作り手の思いがより理解出来ました。観たばかりなので、どの解説にも、そんな意味合いがあったのかとその意図にふむふむと頷きながら読ませて頂きました。
kossyさんの熱い思いにも納得の素晴らしい楽曲と歌声、華やかでエネルギッシュなダンスシーンと、とても見応えのある作品でした。
映画「ブラッド・ブレイド」でレビュー7000投稿目でしたね ✨ あっという間にレビュー数7020という 👀
kossyさんのこの作品への熱い思いにも納得の、見応えのある素晴らしい作品でした。