「渋さがひかる映画」殺し屋 Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
渋さがひかる映画
この作品は、往年のスターがわきを固めているので、見た目がすごく渋くて、シナリオ自体もステレオタイプの殺し屋の宿命のような筋書きになっているところをその往年のスターが、味のある演技をしているので単なるNeo-noir映画としては、終わっていない。
ロン・パールマン。「美女と野獣」とくれば、ディズニーのアニメや実写版を思い出す方が大半だと思うが、個人的にはホワイトウォッシュを警戒するがあまり、時代を捻じ曲げてまでも黒人を重要な役で登場させる、ある意味拝金主義を垣間見ることができるのだが、そんなチンケなものよりは、彼が演じたテレビシリーズの「美女と野獣(1987~1990)」におけるヴィンセントをすぐに思い出す。またリンダ・ハミルトンの美しさが生えるものとなっていた。もうあれから30年以上になっているとは.....?このテレビシリーズはリンダ・ハミルトンが妊娠をしてしまい、代役が出てきたが、その後、すぐに終わりを迎えることとなった。
脇を固めているのが、往年の大スターでパニック映画の元祖、グランドホテル形式で一時代を築いたとも言ってよい「大空港(1970)」やピーター・イェーツ監督、第一回作品のスティーブ・マックイーン主演の「ブリット(1968)」などに出演し、バレエで鍛えた体と美貌の持ち主であるジャクリーン・ビセットが、ソフィアの母親役で認知症を患うという役柄を演じていたのだが、最初誰だか分らなかった。すみません。ミズ・ビセット。それともう一人、組織のボス役で悪役を何気なくさらっと演じていたのが、リチャード・ドレイファス。オスカー俳優であり、ゴールデングローブ賞も獲っている方であったのだけれどもドラックアディクトとしても有名になってしまっていた。しかし、最近では映画にもコンスタントに出演している。
組織のボスから、裏切り者として勘違いされ、そのボスから自分の命だけでなく、同じヒットマンの仲間と、彼の妊娠中の奥さんも一緒に始末をされてしまい、自分の命だけでなく、ただ知り合っただけで多少好意のあるソフィアまで命が狙われてしまう。そして、彼は、組織を追い詰めることができるかが、この映画のクライマックスとなっている。とにかく、この映画に出てくるスローテンポのロック?からクラッシックまで幅広く扱っていて、もちろん微塵にも映画を邪魔をすることなくいい感じで流れている。70歳近いロン・パールマンに激しい格闘やアクションを最初から望むのは諦めてもらうしかないといえば、言い過ぎかもしれないが、彼はそれなりに頑張っています。上から目線です。
自分の殺しの手配をするアダムスの洗濯屋が、いきなり爆破されるシーンは少し安直な仕上がりになっていたり、どう考えてもおかしいのは、殺す相手をおびき寄せるためにアパートの玄関でタバコを吸い、その煙でスプリンクラーを作動させるのだけれども、このスプリンクラーはどう見ても感温式で煙探知の消防器具ではないのだけれども......??? 安アパートに値段の張る煙感知器は備えないはずですけど。
イリノイ州シカゴの新聞紙(スタンドで売られている大衆新聞紙)Chicago Sun-Timesの一文「ドリフィスが端役なのにもかかわらす、精力的に取り組んでいる。その間、ビセットはその瞬間瞬間に全く違うものを同じような効果的な調子で作り上げている。毎度、低い評価しか受けていないヤンセンは相変わらず印象的で素晴らしく輝いた演技をしている。」新聞紙に高級というものがあるとすれば、このNew York Times、「まことに残念ながら、シナリオ自体くねくねと曲がったといえばいいのか、ペースが酷くのんびりとしていて、ジェイ・ザレツキーの脚本が、使い古されたものを詰め込んだように見える。」
とにかくヒットマンは眠れない。