「勝手にしすぎ」気狂いピエロ 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
勝手にしすぎ
キューブリックの「現金に体を張れ」と同じライオネル・ホワイト原作というから、本来はフィルム・ノワールの系譜なんだろうけど、ゴダールにはまともに物語を紡ぐ気はさらさらないので、正体不明の連中が出没し、主人公らも無軌道の限りを尽して、辻褄がよくわからない。この時期のゴダールはやたらと引用が多いが、台詞そのものもどこか引用めいて聞こえる。
随分以前に見た時はまだヌーヴェルヴァーグの熱狂の残滓があって、ゴダールを嬉々として追いかけていたものだが、今見るとあらが目立つ。そういうものも含めて愛すべき要素として、若さが惹きつけられていたのだろう。
タイトルはどうやら放送業界の自主規制の対象らしく、いつぞや深夜にTVで放送した時は「ピエロ・ル・フー」と原題のままのカタカナ表記になっていた。
巻頭、アルファベット順に浮かび上がるタイトルはめっちゃオシャレ。
コメントする