劇場公開日 2023年3月10日

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「司法が潰した画期的な新技術」Winny bionさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5司法が潰した画期的な新技術

2023年3月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 東出クン、開眼したんじゃないの。プログラミングのこととなると無邪気で話が止まらなくなる。刑事や検事の強面に臆してしまう。そんな金子さんの人となりがスクリーンを通して伝わってくる。
 東出クンを応援する気はさらさらないが、彼が出演する作品は見たくなるね。

 当時、金子さんの逮捕に驚いた。いくら悪用されているソフトの開発者とはいえ、無理筋にも程がある。
 京都府警の警察官がWinnyに生息するウイルスに引っかかって、捜査資料もろともPCの中身を晒された。京都府警のメンツは丸潰れで、著作権保護を大義名分にして金子さんを潰そうとしたのは間違いない。
 さらにもっと問題なのは、司法が機能しなかったことだ。作品中でも描かれているが、ソフトウェアが何たるかを理解できない裁判官が事件を担当している。京都地方裁判所の、いや日本の司法の無知蒙昧を全世界に知らしめてしまった。これは、恥ずかしい。

 愛媛県警の裏金問題をwinny事件に絡めて差し込んだのは、余計だった。金子さんは反権力を志向していなかったし、本人が語っているように「そこに山があるから登った」でしかないと思う。ちょっと焦点がぼやけたかも。
 全体から見ると、ちょっとしたマイナスでしかなく、それを上回る法廷シーンの面白さがある。弁護側が、京都府警の刑事の嘘を引っ剥がし、矛盾を突かれて歯軋りする刑事の顔には、胸がスッとしますよ。

 ビットコインの創始者のサトシ・ナカモトが金子勇氏であるとの都市伝説がある。拘置所でブロックチェーンのアイデアが浮かび、それを実現して換金せずにこの世を去ったとしたら。
 革命を起こして世を去ったと信じたい。

bion
いぱねまさんのコメント
2023年3月12日

共感ポイント、ありがとうございました

今作の登場人物は洩れなく『浅はか』だったのではないかと考え始めました
あの時代、思考自体が軽薄で、深く悩むことを良しとしなかった、自己完結が成せる技だったのではと・・・
翻って、現在は、その全てを言い切ることが困難です それは細かい配慮を放棄したことになるからです それ程人権意識が向上しているとも感じ取れます

人は悩み続けなければバージョンアップしません 正にプログラムと同じで、完成品を開発しても、常にそのバグを修正するパッチは絶えません
その永遠の継続性の必要性を説いたのかもしれませんね

失礼しました

いぱねま